アイドル候補生の初めてもらったテレビの企画が「天才アイドルは異世界で勇者になれるのか」だった件

静内燕

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フィテアトル編

花まみれのベル

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「ああ、この辺りで勧誘していたな、1万eauと引き換えにやってほしいことがあるってな」

「どういった事ですか?」

 するとその男性は考えだす、そして1分ほどの沈黙のあと彼は口を開いた、このことは絶対に口外するなと。
 ベルが首を縦に振ると彼は答え出す、最初は内容は気かされなかったのだが前日になって内容が急に伝えられた。それはなんととあるカプセルを奪還するために家に侵入してほしいとのことだった、そして犯罪のにおいがした彼はすぐに逃げ出したらしい。

 それを聞いたベルはお礼を言い、決して口外しないと約束してこの場を去った。
 そしてベルはこの事を皆に伝えるため、ストレンセでも使っていた魔法の力がかかった手紙、 Falke(魔式)・litterae(手紙)と呼ばれる手紙を出す。手紙に今毛耳の男性から聞いた事をすべて書いて幸乃などの仲間たちに送信した。

 幸乃やシンクレア達はその情報を見てすぐにそのエリアへたどり着く。
 そして全員でそのエリアを捜索し始める。


 一方、パスカルを拉致した人たちは自分たちのアジトにいた。
 彼らは食いっぱぐれの貧困層が中心でカプセルを奪還をもくろむ連中によって目先の金に釣られただけの人たちだった。

 当然彼らの信用はなく、この子がカプセルを飲んだといっても誰ひとり敵の組織は信用しなかった。
 敵の組織が行ったのはだったらそのカプセルを取り出してからカプセルだけを持って来いという命令だった。

 結局彼らはパスカルから何とかカプセルを出そうと薬を飲ませるなどの試みをしていた。
 しかしどの試みもうまくいかずにカプセルはうんちとして出てくる気配はない。

 ガラの悪い彼らはしだいにストレスがたまり始める、そしてその時はやってきた……

「早くカプセル出せやクソガキ!!」

 目つきが悪く、ガラの悪い外見の男性がパスカルに当たり散らす、そしてストレスの発散のためパスカルが持っているクマさんのぬいぐるみと取り上げて壁に投げつけてしまった。


 そして──


「びえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええん」
 パスカルが再び大声で泣き出す。
 その声は部屋だけでなく建物の周りにも大きく聞こえだした。

 そう、その近くにいた幸乃とベルにも……


「パスカルだ!!」

 長男のバテルスがそう叫ぶ、そばにいた幸乃とベルも気づく。
 そこには5階建ての白いマンションに4階の部分だった。

「幸乃さん、行きますよ!!」

 ベルがそう叫び、二人は鳴き声がする建物へ飛び込んだ。
 幸乃はFalke(魔式)・litterae(手紙)をだしてシンクレアやリルカ、カラブロにこの事をすぐに伝え、ベルの後を追った。

 すぐに2人は階段を上る。そして泣き声がする部屋に前に到着しその建物の目的の部屋のドアをベルが蹴破る。

 中には武装した男女が15人ほどいた、魔法を使えるようですぐに戦闘に入る。

 続いてリルカとシンクレアが入る、そして敵の兵士と乱戦状態に入る、幸乃たちは一人ひとり片付けていく、5分もすると15人ほどいた敵兵士たちはすべてなぎ倒されていった。

「パスカルはどこ?」

 幸乃がパスカルがどこかわからずキョロキョロとあたりを見回す、するとシンクレアがパスカルを見つけたようでその名前を叫ぶ、しかしその場所は幸乃が想像を絶する場所だった。

「早く壁伝いからこっちへ来て、危ないから!!」

 そう、パスカルは窓から外に出てベランダのわずかにあったスペースに移動してしまっていた。

 落下しようとした刹那、ベルがその近くまで接近するがタッチの差で間に合わずパスカルは地面へ落下していく。

 ベルは周りをとっさに見る、そして何かに気づいてベルもパスカルに向かって飛び込む、そしてパスカルを抱きかかえる形になってそのまま落下していく。


 すると、ベルが自身の剣を振りぬき、光線状の遠距離攻撃を行う、その攻撃の先には花屋さんの手押し車があった、ベルの遠距離攻撃はその手押し車の車止めを破壊し、幸いベルとパスカルが落下する方向に向かって下り坂になっていたためその方向に向かっていく。

 そして最初のベルの狙い通りパスカルを抱きかかえたまま落下したベルの肉体は花が所狭しと並んでいる花屋さんの花が入った手押し車に落ちる。


 ズボッ──

 そして花まみれになったベルが手押し車の中から顔を出す。


 その場所に幸乃とシンクレアが走って駆け寄る。

 そこには花にまみれながらパスカルを抱きかかえていたベルの姿があった。
 ベルが安堵の表情をしてパスカルを抱きかかえながら手押し車から出る。

 その姿を見て幸乃が一言。

「ベルちゃん、全身花まみれで何かきれい」

「そう……ですか」

 手押し車の中に敷き詰められていた花がクッション代わりになりベルとパスカルは無事だったものの、そのせいでベルの服が花まみれになってしまう。
 ベルはいつもの無表情ながらも少し恥ずかしそうにほほを赤くして反応する。

 そして抱きかかえていたパスカルをシンクレアのもとに渡す。

「しかし、カプセルはどうしましょうか?」
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