暴力系幼馴染と異世界に転生したら、幼馴染が魔王軍に裏切るとか言ったから、そのクソみたいな面を思いっきりぶん殴った

静内燕

文字の大きさ
9 / 51

第9話 俺が必要? 絶対おかしいだろ

しおりを挟む
「すいません。冒険者の皆さん!」

 誰かが村の方から走って来た。髪を結んだお姉さんが話しかける。

「伝令係さんね。そんなに走って何か用かしら?」

「大変です。突如村に魔王軍が攻めてきました。村にいる冒険者たちで何とか対処していますが。数が多くて、協力お願いできますか?」

「ど、どういうこと!?」

 冒険者たちの間に動揺が走る。とりあえず落ち着かせないと。

「多分。こいつらは俺たちをおびき寄せるための餌だ。俺たちがこいつらに食いついてる間に、防御が手薄な村を襲うって作戦だったんだ」

「それはあり得るわね。どちらにしろすぐに戻って加勢しましょう」

 俺たちはすぐに村に戻る。

 ──とその前に、ダルクを何とかしなきゃな。
 顔を膨らませ、ふてくされ気味のダルク。いくら理屈を言っても届きそうにない。

 だったら、俺の想いを押し通すまでだ。
 ダルクが村へ戻ろうと歩を進めようとしたとき、彼女の右手をつかみ叫ぶ。

「ダルク、話がある」

「なんだよ。お前も偉そうに説教か」

 ぶっきらぼう思想言いながら俺をにらみつけてくる。

「うまく言えないけれど。俺はお前に死んでほしくない」

「あっそう」

 ううん……、これじゃあダメか。理屈で行っても通じないのか。それなら、気持ちと勢いで伝えるしかない。

「そういうことじゃない。俺にはお前が必要なんだ!」

 そう叫び、ダルクの両手を強くぎゅっと握る。そしてさらに叫ぶ。

「俺だけじゃない。ダルクを必要としている人は、絶対にどこかにいる。俺が約束する。自暴自棄になるのはそれからでも遅くはないと思う」

 復讐はダメとか、自分を大切にしなさいとか。
 どうせ綺麗事を言ったところで彼女の心には届かない。

 だったら俺は 復讐のためだっていい、その力を、お前を必要としてくれる人がいる。それも口だけでなく、精一杯の感情をこめて叫んだ。

「はぁ──、俺が必要? 頭おかしいじゃねえのか」

 顔を赤くしてきょろきょろとしている。明らかに動揺していて、心に届いているのかがわかる。

「おかしくない。ダルクがいないなんて俺は嫌だ。短い間だけど、一緒の教会で暮らしてきた友だ。少なくても俺はそう思っている」

 ダルクはもじもじと顔を赤くしながらささやく。

「おかしいよおまえ。どうせお世辞で言ってるんだろ?」

「お世辞なんかじゃないし、おかしくないよ。まあ、答えを出すのは後ででも遅くはない。どうすべきか、ゆっくり考えてくれ」

 ダルクは戸惑いの表情を見せる。まあ、時間があるときにゆっくりと考えておいてくれ。

「とりあえず、村に戻ろう。みんなが俺たちを待っている」

「ああ、そうだな」

 そして俺たちは村へと戻った。村へ近づくにつれて、村人たちが走って逃げてきたり、時折村から叫び声が聞こえるのがわかる。

 すでに戦闘は始まっているのか。

 そして村へと到着。そこで見えるのははデュラハンや、女性の形をし、大きな弓を持った兵士スキュラや、凶暴な牙を持った魔犬ケルベロスなどが、村人たちを襲っている地獄のような光景。

「お前、なにボーっとしてるんだ。行くぞ!」

「ああ……。わかったわかった」

 ダルクは当然先陣を切って魔王軍に攻撃を仕掛けていく。
 魔王軍を目の前にして、ボルテージも最大になっているのがわかる。俺も出遅れないように、村人に襲い掛かっているゲルベロスに攻撃を仕掛けた。



 そして2~3分ほどでこの場を片付ける。

「よし。片付いた」

 すると、ダルクが休むそぶりもなく、逃げ惑う村人に話しかける。

「おい、魔王軍はどこにいる。早く俺はそいつをぶっ飛ばしたいんだ!」

「魔王軍なら、お前が住んでいる教会にいたよ」

「ああ、それで、他の冒険者がみんなやられちゃってるんだ」

 マジかよ。教会か、それも強い魔王軍がいるってのか。

「丁度いい。2人で、そいつをぶっ飛ばしてやろうぜ」

 当然ダルクはやる気満々だ。まあ、子供たちのためにも、戦わなくちゃいけないんだけどな。

 そして俺たちは教会へ。

 時折すれ違うのは、ボロボロになった冒険者。そして俺たちに話しかけてくる。

「おいよせ。あっちの魔王軍、相当強いぞ」

 引き留めてくる冒険者。しかしダルクがすぐに反論。

「気にすんな。どんな相手だろうと、俺がぶっ飛ばす」

「ずいぶんと自信満々だな……」

 ため息をつく冒険者。
 まあ、呆れたんだろうな。

「忠告ありがとう。けど、あそこは俺たちの居場所。逃げるわけにはいかないんでね」

 そういって俺たちはさらに道を進む。


 しばらく歩くと──。

「ついたな」

「ああ!」

 教会へ到着。裏庭に行き、壁伝いに隠れて敵の様子を確認。

 まず見えたのは、子供たちが壁際に座り込み、怯えている姿。
 そしてその前に立っている1人の人物。


 どす黒いオーラからそいつが魔王軍であることがすぐに理解できる。
 腕には大砲を持ち、筋肉質な男のような外観。
 見たことがないな、どんな兵士なんだ──。
 そんなことを考えていると。

「信一君!」

 後ろから声がする。慌てて後ろに振り向くと、ひとりの少女がこっちに向かってくるのがわかる。
 茶髪で俺より少し低いくらいの身長。
 メルアだ。

「メルア。どうしたの?」

「他の村人から、この辺りがまだ片付いてないって聞いたから来てみたんだけど──」

「え、うそ……。あれヒュドラじゃん!」

 その姿を見るなり、メルアの表情が引きつり、こわばり始める。

「どういうことだ。強いのか?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

転生調理令嬢は諦めることを知らない!

eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。 それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。 子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。 最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。 八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。 それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。 また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。 オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。 同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。 それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。 弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処理中です...