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3章
激闘の戦場
しおりを挟む腹に覚悟を添えて、突っ込んでいく。
「みんな、いっせいに突っ込むぞ。逃げる出ないぞ。王国の兵士として、意地を見せよ!! 逃げたら、犠牲になるのは罪なき国民たちだ!」
そうだ、逃げるわけにはいかない。どれだけ厳しい戦況になろうとも。逃げるわけにはいかないのだ。
大量の兵士たちを、一人ずつ倒していく。一人一人はそこまで強くないとはいえ、この平原一体に魔王軍たちが埋め尽くすぐらいいる。
この数──魔力が持つかどうか。私だけじゃない。ありったけの魔術師を集めてはいるが──それで何処まで兵力を削れるか。
まずはそこが重要。
「シャマシュ、そろそろ反撃にでないと」
「わかったわ」
そして、私とミシェウも戦いに参加していく。ここにいる以上、黙って見ているわけにはいかない。みんなが死力を尽くして戦っている中で、自分達だけ見ているだけなんて性に合わない。
出来るだけ兵力を削って、前線の兵士の負担を軽くする。
深呼吸をして精神を集中させてから、一度視線を合わせて、同じタイミングで術式を放つ。
占星術 ──アストログラフ・フレイム──
天候は──雷。私たちに力を──集いし光が、新たに輝く閃光となる。
サンダー・ヨシュア・メタイオン
2人同時に強力な術式を放っていく。絶対に負けない。そんな誰にも負けない強い想いを込めて──。
大きな爆発音を放って、その場にいた魔王軍たちが何十人も吹き飛んでいく。
同じように周囲にいた魔術師たちが次々と術式を放っていった。どれも、王国でもランクの高い
放たれた攻撃たちは次々と命中していく。
戦線の後方。間違って味方に損害を与えることがないよう奥の魔王軍たちがこっちに突っ込んでくるところを狙う。
こっちの陣地から遠く離れた場所。
というより、こっちの領地に近づかれると攻撃が放てない。味方に当たってしまうからだ。
それでも、こうして遠距離攻撃で敵の数を減らしていけば、前線で戦う人たちの負担を減らせる。
というより、接近戦で戦えないこっちができることと言えば、これくらいしかない。
「次行くよ、ひるまないでシャマシュ!!」
「は、はい!」
ミシェウの強い掛け声に、私も、周囲の魔術師たちも強く呼応。次々と、威力の高い攻撃が繰り出されていく。
ひとつの攻撃で、何十人という兵士がなぎ倒されていくが──それだけで敵をすべて倒すことはできない。倒したところに、後ろから次々と兵士たちがこっちに向かってくる。
というより、敵の兵士は目の前で味方兵士の身体がバラバラに吹っ飛んでも進軍するのをやめない。
よほど士気が高いのだろうか。それとも、逃げられないのだろうか──。
攻撃を連打する中で、ロザリアの姿も見かけた。勇気をもって前線へ飛び出し、次々と相手をなぎ倒していた。部下らしき周囲の兵士たちも、ロザリアに呼応され、高い指揮で戦っているというのが見えとれる。
とはいえ一人が局地的に活躍しても、他が続かなければ出来ることは限られる。全体としては──互角の戦いといったところか。
今日の所は、周囲が奮戦して戦線が破られることはなかった。
向かってくる敵に、私たちや魔術師が何度も何度も攻撃を与えていく。そして、それをかいくぐった敵たちを前線の兵士たちが倒していく。その繰り返しといった形。
その繰り返しで夜になって、突撃してくる兵士たちはいなくなった。
奇襲に備えて警備役をしている人を除いて、ひとまずの休息となる。
一般兵は、食事をとったり負傷した人は負傷具合によって治療、もしくは後方へ帰還させたり──。
前線では、体を休めている人や仲間たちと故郷の歌を歌ったり、踊りを踊ったり──明日からも死闘が続くという事もあり各自短い休養ととっていた。
一方私達指揮官や上の立場の人間は──まだやるべきことがある。
戦線の後ろにある簡易的な建物。そこに戦場での指揮官クラスやこっちにいる貴族組が集まっていた。
現在の戦況の報告と確認を行う。
「とりあえず、敵の攻撃に耐えてはいます。被害も、こっちの方が敵の半分くらいに抑えております」
「そうね。私も確認したけど、戦線が突破された様子はなかったわ」
その言葉に、少しだけ安堵。しかし、私は表情を緩めない。
「それはよかったです。しかし、まだまだこれからです」
初日。何とか敵の攻撃を耐え、戦力の消費も魔王軍と比べて少なく済む結果となった。しかし、手放しに喜ぶわけにはいかない。
人間である以上疲労はしてくる。どこまで、この戦いは維持できるかは未知数だ。
真剣な表情で、周囲を見回しながら言う。
そう、兵力だって無限じゃない。相手も同じだけど、数で負けてる分時間が経てば不利になっていくのはこっちだ。
その前に、何とか策を施さないと。
「という事で、今日は長話はしません。手短に状況の共有をしたら現場で戦っている人は体を休めてください」
「わかりました」
指揮官だって、疲労を押して戦っている。早く休ませて体力の消耗を抑えたほうがいい。
それから貴族組同士で、今後の事や敵の攻撃予測などを行って──それで終わり。私たちも明日からも戦いが続くという事もあってこの場から返してもらった。
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