~~異世界帰りの最強勇者~~  なぜか理不尽だらけのクソダンジョンで実力を発揮。助けた美少女配信者や元魔王様から好意を受けバズってしまう

静内燕

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第19話 ディアボロス

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 一歩前に出たネフィリムを俺が止める。大丈夫、問題ないから。コメントに目を通す。

“クソゲーやクソダンジョンあるあるだな。当たり判定がおかしい”
“わかるわかる。ここもクソダンジョンなのかもな”
“以前やってたクソゲーであったな。当たり判定ガバガバとか”

 ここも、クソダンジョンかもしれないか──関係ない。
 デュラハン数体がこっちに突っ込んできた。

 確かに力は強いけど、イノシシのように突っ込んでくるだけ。当たり判定も一度コツがわかれば何とでもなる。それなら対応策はいくらでもある。

 剣を振りかざしてきたデュラハン攻撃をかわしてから、無防備な背中が視界に入る。

 一気に勝負を決めよう。デュラハンの背中に一気に向かって言って切りかかった。
 上下に分断されたデュラハンが吹き飛び、今度は振り返って背後にいたデュラハンに向かって剣を振り上げる。

 今度は上下に体が分断された。


 さらに、残りのデュラハンが突っ込んでくるがただ突っ込んでくるだけの奴らに負けるわけでもなく、背後をついて1体。殴りかかってきた所をかわしてカウンターを決めて1体。

 数秒で、デュラハンを片付けた。序盤にしてはそれなりに強い相手だ。これからもっと強い相手と戦っていくのだろうか?
 それなりに強い相手だった。そう考えコメントに目を移す。



“デュラハンを? Aランクパーティーでも数人がかりなんだぞアイツら”
“おかしい当たり判定をものともせず?”
“すっげぇ、Aランクともいわれる魔物数匹を、こうも簡単に”
“ 天 才 誕 生 ”
“ほんとにすげぇ。剣筋が見えなかったくらいだ”
“参考にさせていただきます”


 称賛のコメントが、たんまりとあふれてくる。ここまで好評だったことがないからどうしても戸惑ってしまう。

 何とか落ち着いて言葉を返していく。

「皆さん、そこまで言っていただいてありがとうございます」


“気にすんな、事実を言ったまでだ”
“ああ、ソロであれだのデュラハンと倒すなんて初めて聞いたぞ”
“期待してるぞ。これからもドンドン活躍してくれ”

 とりあえず敵は片付いた。後は薬草を探すだけ──そう考えていると、ネフィリムが話しかけてきた。

「いいか」

 ネフィリムが指出した先。そこには、薄暗くて黒い地面に生えている植物。あれ、薬草ではないのか? 地面から生えている中くらいの植物。その葉っぱは、モミジの形をしていた。


「あれっぽいのう」

「そうみたいだ」

 女の子が言ってたのと同じ形。意外と簡単に見つかった。初めてだから、難易度が低めなのだろうか。

 とりあえず、そこへ向かう。さっきデュラハンが隠れていた場所。彼らも薬草を欲しがっていたのだろうか。
 そこに近づいてから、用意していた籠に、大きな植物からモミジの形をしたはっぱを刈り取った。たくさんある。籠に半分くらい溜まった状態で話しかける。

「さあ、行こうか。これだけあれば大丈夫だろう」

「そうなのじゃ」


 そして、俺たちは獣道を進んで一旦家に帰った。

 家に帰って、薬草を水に入れる。水に薬草の成分が溶けて緑っぽくなったところで寝室に行って女の子に手渡し。

「お兄ちゃん、ありがとー」

 女の子は喜んではっとした表情になる。そして、薬草を入れた水を女の子に飲ませた。
 ゆっくりと女の子は水を飲む。次第に女の子の顔色が良くなってにっこりと笑顔になって起き上がった。

「待って、安静にした方がいいって」


 いきなり立とうとした女の子の肩をつかむ。まだ、安静にしてないと。

 でも、病気が治って良かった。
 そう考えて、ほっとした時だった──。


 ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!

 大きな爆発音がしたかと思うと、誰かが玄関の扉を蹴っ飛ばしてきた。

 こいつかよ……。

 黒と灰色の、筋肉質の肉体。恐怖感を前面に出したような、吊り上がった目つき。肉体からは邪悪なオーラが漂っている。

 元魔王軍で南部方面の指揮官を務めていた「ヒュドラ」。
 ヒュドラは周囲を見渡して一度俺と目が合うとピクリと体を動かした。

「ふ、ふはははは」

「なんだお前──」

「こ、この村は俺様達『ディアボロス』が頂いた」

「ディアボロス。世界中で暗躍している組織。資源のある領地を占領して現地人を奴隷のように働かせたり──違法な薬物を生産して売りさばいたり」

 おじいさん薬の人が言う。元の世界でもそんな奴らはいたな。これは、そのオマージュということか?

「その通りだ、お前たちの町はこれから俺たちのものだぁぁ」

 意気揚々に叫ぶ。つまり、こいつらと戦えばいいということだな。こいつの強さは、中堅上位程度。俺一人でもなんとかなる。
 なんと、俺とネフィリムの元に駆け寄ってきてひそひそと耳打ちしてきたのだ。

「これ、そういう設定なんだ。戦うのはちょっと待ってくれ。悪いようには扱わない」

 設定か、ちょっと怖がっているのがわかる。それくらい、俺の強さを理解しているということなのだろうか。
 とりあえず、進めないとストーリーもわからないしここはしたがっておくか。

「わかったよ、そういうことにしておくよ」


「わかったのじゃ」

 そして、ヒュドラは早足で数メートルほど距離を取ってからこっちを向いて指さしてきた。

「この村にの人間は、俺たちが豊かになるために奴隷になってもらう。街の外には、俺たちの部下を放っている。無駄な抵抗をやめて大人しく投降するんだな、ハハハハハ!!」


 演技なのかこれ……。
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