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第20話 励まし、そして迷惑系
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高らかに笑い声を浮かべるヒュドラ、その瞬間外から「助けて──」「なんか現れたぞ」などと叫び声が聞こえ始めた。
そして、なんといきなり走り出してこっちに向かってきたのだ。そのまま走って
俺の肩に当たり、俺は肩を抑えてヒュドラの方を見る。
ヒュドラはずっと走り続けたままこの場からいなくなってしまった。いきなり走り出す行動に、思わずびっくりしてしまった。なんなんだアイツは。
「村から悲鳴が聞こえるわ、何かあったのかしら」
「2人とも戦えるかい?」
女の子とおじいさんがこっちを見ていってくる。こいつらと戦って倒してくれということか。
「わかった。戦ってくるよ」
「わらわもたたかうのじゃ」
「ありがとう。気を付けていってくれ」
「無理しないでね」
2人は、心配そうに見送ってくれた。そして俺たちは玄関を出て外へ。
外に出ると──さっきまでのどかで平和だった村が大きく一変していた。
逃げまどう村の人たち。襲い掛かろうとする数々の魔物たち。
そこには、他の冒険者もいた。さっきまで全く姿を見せていなかったのに。
考えてみればそれもおかしい──入り口にはそれなりの人がいたはずなのに、こうなるまでそれがひとりも見かけなかった。仕様なのだろうか。
“そういう設定みたい。さっきまでのチュートリアル的な部分までは他の人たちと共通のストーリーになっていて、それを過ぎると他の人たちと共通のプレイになる──ほかの配信者が解説してた”
“そうなのか。それを説明する場面なかったろ”
“多分、始まりの時点で村人に話しかければわかったんじゃないかな。誰に話せばいいかまたくヒントがないだけで”
“ヒントがない時点で配慮0なんだよなぁ”
“もしかして クソダンジョン”
とりあえず、加勢するしかない。剣を取り出し一番近くにいる敵に突っ込んでいく。
地面からニョキニョキと細長いものが生えていて、それが口から光線を吐いているのだ。
まるでチンアナゴみたいな外見。だが紫と灰色の醜い肉体でいかにも強そうに見える。
確か「ヘルワーム」っていうんだっけ。
前方では、地面から生えているヘルワームが四方八方に攻撃を放ち冒険者パーティーと戦っていた。
戦っているのは3人ほどのパーティー、しかしコンビネーションはバラバラ、技術もぎこちないしどこかつたない。見たこともない人たち、Dランクくらいか?
前線の男が斧をぶんぶん振り回しているが、攻撃は当たらないし当たっても効いている様子はない。
「なんだ、つええ」
「ちょっと、なにやってんのよ」
「待ってくれ、攻撃が全然通らないんだって」
あまりにうまくいかなくて、仲間割れしかけてる。しかし敵の攻撃は止まることはない。
戦いの最中に敵を向かずに仲間割れ──出来たばかりの互いに信頼関係のないパーティーにありがちなことだ。とはいえあのままでは全滅は不可避、何とか助けないと。
一気に飛び込んで、ヘルワームとの間に割り込む。頭突きのような攻撃をしてきたヘルワームにカウンターを食らわせた。
最初は当たり判定がなかったものの、口から下あたりから切り刻んだような感触がし始める。
そのまま、剣で真っ二つにヘルワームを切り裂いた。
後ろを振り向いて、パーティーに視線を向ける。恐怖に震え、3人で抱き合っていた。
「まったく、仲間割れとは情けない。心の弱きものによくあるのじゃが、見苦しいのじゃ」
やれやれとあきれ果てるネフィリム。その気持ちは、俺もよくわかる。結束の弱いやつらがここぞというときに言い争ったり仲間割れするのはよくあるが、やはり見苦しいな。
ネフィリムだってそれは理解している。だから言っているのだろう。ネフィリム、そういうのを放っておけないおせっかいなとこがあるから。
「でもさ……」
「でもさではない。ともに戦う戦友なのじゃから、罪を擦り付け合うのはやめい」
「わかったわ」
シュンとしながらも、3人はコクリとうなづいた。戦い中だし、励まそうか。
「まあ、あんなふうに言い争ったって自分が後悔するだけだから──。そういうのは、最初は誰にだってある。でも、それを乗り越えれれば絶対に強くなれるから」
「は、はい」
「えーと、俺も応援するし配信ちゃんねるとかあったら見るから。頑張ってくれ」
「あ、ありがとうございます」
そして、3人は再び戦いに戻った。俺も、最初のころはあんなんだった。未熟なところはあったし、仲間や指揮官と口論になったことだってあった。それでも、最後は一つになって
ネフィリムを倒すところまで行ったんだ。
彼らにだって、出来るはず。さて、俺たちも戦わないと──そう考えた時背後からはやし立てるような声が聞こえる。
「おうおうまぐれで雑魚を倒して、粋がってるねぇ」
「何あの男、チーズ牛丼でも食ってろよ」
煽るような口調で嫌味を言ってくる人物。誰かと思い振り返った。
「なんだよ、誰かと思えばこの前まぐれでバズったからすみじゃねぇか」
「うわっ、なんか女連れてきてるし。キショッ」
配信者パーティー「カタストロフ」だ。Aランクの強さを持ち、物理攻撃を中心にした攻撃で戦っているグループ。
実力こそあるものの、他パーティーや配信者を挑発してきたり、煽ったりで評判が悪い。ダンジョン側か出禁になったところもしばしば。
SNSでは「迷惑系配信者」とか言われていた。
それで、今度は俺を煽ってきたということか。
そして、なんといきなり走り出してこっちに向かってきたのだ。そのまま走って
俺の肩に当たり、俺は肩を抑えてヒュドラの方を見る。
ヒュドラはずっと走り続けたままこの場からいなくなってしまった。いきなり走り出す行動に、思わずびっくりしてしまった。なんなんだアイツは。
「村から悲鳴が聞こえるわ、何かあったのかしら」
「2人とも戦えるかい?」
女の子とおじいさんがこっちを見ていってくる。こいつらと戦って倒してくれということか。
「わかった。戦ってくるよ」
「わらわもたたかうのじゃ」
「ありがとう。気を付けていってくれ」
「無理しないでね」
2人は、心配そうに見送ってくれた。そして俺たちは玄関を出て外へ。
外に出ると──さっきまでのどかで平和だった村が大きく一変していた。
逃げまどう村の人たち。襲い掛かろうとする数々の魔物たち。
そこには、他の冒険者もいた。さっきまで全く姿を見せていなかったのに。
考えてみればそれもおかしい──入り口にはそれなりの人がいたはずなのに、こうなるまでそれがひとりも見かけなかった。仕様なのだろうか。
“そういう設定みたい。さっきまでのチュートリアル的な部分までは他の人たちと共通のストーリーになっていて、それを過ぎると他の人たちと共通のプレイになる──ほかの配信者が解説してた”
“そうなのか。それを説明する場面なかったろ”
“多分、始まりの時点で村人に話しかければわかったんじゃないかな。誰に話せばいいかまたくヒントがないだけで”
“ヒントがない時点で配慮0なんだよなぁ”
“もしかして クソダンジョン”
とりあえず、加勢するしかない。剣を取り出し一番近くにいる敵に突っ込んでいく。
地面からニョキニョキと細長いものが生えていて、それが口から光線を吐いているのだ。
まるでチンアナゴみたいな外見。だが紫と灰色の醜い肉体でいかにも強そうに見える。
確か「ヘルワーム」っていうんだっけ。
前方では、地面から生えているヘルワームが四方八方に攻撃を放ち冒険者パーティーと戦っていた。
戦っているのは3人ほどのパーティー、しかしコンビネーションはバラバラ、技術もぎこちないしどこかつたない。見たこともない人たち、Dランクくらいか?
前線の男が斧をぶんぶん振り回しているが、攻撃は当たらないし当たっても効いている様子はない。
「なんだ、つええ」
「ちょっと、なにやってんのよ」
「待ってくれ、攻撃が全然通らないんだって」
あまりにうまくいかなくて、仲間割れしかけてる。しかし敵の攻撃は止まることはない。
戦いの最中に敵を向かずに仲間割れ──出来たばかりの互いに信頼関係のないパーティーにありがちなことだ。とはいえあのままでは全滅は不可避、何とか助けないと。
一気に飛び込んで、ヘルワームとの間に割り込む。頭突きのような攻撃をしてきたヘルワームにカウンターを食らわせた。
最初は当たり判定がなかったものの、口から下あたりから切り刻んだような感触がし始める。
そのまま、剣で真っ二つにヘルワームを切り裂いた。
後ろを振り向いて、パーティーに視線を向ける。恐怖に震え、3人で抱き合っていた。
「まったく、仲間割れとは情けない。心の弱きものによくあるのじゃが、見苦しいのじゃ」
やれやれとあきれ果てるネフィリム。その気持ちは、俺もよくわかる。結束の弱いやつらがここぞというときに言い争ったり仲間割れするのはよくあるが、やはり見苦しいな。
ネフィリムだってそれは理解している。だから言っているのだろう。ネフィリム、そういうのを放っておけないおせっかいなとこがあるから。
「でもさ……」
「でもさではない。ともに戦う戦友なのじゃから、罪を擦り付け合うのはやめい」
「わかったわ」
シュンとしながらも、3人はコクリとうなづいた。戦い中だし、励まそうか。
「まあ、あんなふうに言い争ったって自分が後悔するだけだから──。そういうのは、最初は誰にだってある。でも、それを乗り越えれれば絶対に強くなれるから」
「は、はい」
「えーと、俺も応援するし配信ちゃんねるとかあったら見るから。頑張ってくれ」
「あ、ありがとうございます」
そして、3人は再び戦いに戻った。俺も、最初のころはあんなんだった。未熟なところはあったし、仲間や指揮官と口論になったことだってあった。それでも、最後は一つになって
ネフィリムを倒すところまで行ったんだ。
彼らにだって、出来るはず。さて、俺たちも戦わないと──そう考えた時背後からはやし立てるような声が聞こえる。
「おうおうまぐれで雑魚を倒して、粋がってるねぇ」
「何あの男、チーズ牛丼でも食ってろよ」
煽るような口調で嫌味を言ってくる人物。誰かと思い振り返った。
「なんだよ、誰かと思えばこの前まぐれでバズったからすみじゃねぇか」
「うわっ、なんか女連れてきてるし。キショッ」
配信者パーティー「カタストロフ」だ。Aランクの強さを持ち、物理攻撃を中心にした攻撃で戦っているグループ。
実力こそあるものの、他パーティーや配信者を挑発してきたり、煽ったりで評判が悪い。ダンジョン側か出禁になったところもしばしば。
SNSでは「迷惑系配信者」とか言われていた。
それで、今度は俺を煽ってきたということか。
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