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第24話 まさかの、初デート?
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「あ、あ、ありがとうございます。これからよろしくお願いいたします!!」
璃緒の表情がはっと明るくなって、頭を下げてきた。礼儀正しくて、腰が低い人なんだな。ここまで人気なら、もっと偉そうにしてもいいのに。まあ、そういう所が彼女の魅力なんだろうけど。
再び視線が合う。
幸せそうな、喜びを感じる表情の璃緒ちゃん。それを見ていると、こっちまで幸せな子持ちになってくる。本当にかわいいなぁ。さすがはNo1配信者。
そして、今度直接会ってお話することとなった。流石に公開するわけにはいかないから璃緒ちゃんが日にちと場所をメモで渡してきたのだが。
「色々今後について話しましょう。会えるなんてとても嬉しいです」
「こちらこそ、こんな私ですが──よろしくお願います」
さすがにずっと見つめられると、こっちも照れてしまう。それもうっとりとした表情で。
そして、俺は璃緒の手をぎゅっと握った。冷たくて、柔らかくて滑らか。ずっと触っていたいと思えるものだ。
“爆発汁”
“彼女(2人目)おめでとう”
“堕 ち た な ”
“まさか、あの璃緒ちゃんを惚れさせるとは──”
コメントがすごいことになってる。ないから。俺に彼女なんて。ネタで言ってるんだろう。
今まで生きてきて──それは重々承知だ。これだって、璃緒のパーティーが復帰するまでのつなぎだし。
そんなことを考えていると、ネフィリムが思いっきり背中を叩いてきた。
「不愉快、帰るのじゃ!!」
いてて……結構強く叩いたせいで背中がひりひりする。なんなんだこいつ。
どこか不機嫌そう。
「このわからずや! すけこまし! ハーレム男!」
何で怒ってるんだ? 首をかしげて、しばし考えるが全然わからない。
腕を組んで考えていると、ネフィリムはやれやれといった感じであきれ果ててしまった
「もう、期待するだけ無駄じゃな」
「そうだな」
とはいえ、色々消耗したしいったん帰りたいのも事実。璃緒には悪いけど、こっちはここまでにしようか。
「まあ、今度はよろしくね。こっちはいったん戻るよ」
「あ、それなんですけどレポートが必要みたいです」
「何それ?」
「規約に細かく書かれてるんですけど、設定画面に入ってスタートボタンを押して出てくるレポートを押さないとまたあのチュートリアルからやり直しなんです」
「そうなのか」
さらに璃緒がSNSを見せてくると、この仕様を知らないでもう一度チュートリアルからやり直す羽目になった人の叫びがタイムラインにたくさん載っていた。
“レポートとか、昔のゲームかよ”
“必要ならどこかで説明しとけよ、だからクソダンジョンなんだよ”
やはり不評になってる。非難の嵐、これはクソダンジョン確定だな。
とりあえず、レポートだ。宙に設定画面を出す。一番下にレポートと書いてある。
このレポートをする必要があるということか。
なんか、昔のゲームみたいだな。とりあえず、レポートの場所を押す。
どこかのRPGみたいだ。そして、画面に文字が現れた。
今までの活躍を、レポートに書き込みますか?
▷はい
いいえ
はいを選択。
レポートに書き込んでいます。まだ退室しないでください。
そして数秒後、効果音とともにレポートが書き終わった。
からすみと璃緒はレポートにしっかり書き写した。
これで終わりだ。璃緒と向かい合う。
「今日はこれでお別れですね、後日──それとコラボ配信の時はよろしくお願いします」
「こっちこそ、役に立てるかわからないけどよろしくね」
互いに握手をしてからこの場を去る。
改めて自分の部屋に戻った。時間は夕方で、窓から陽光が部屋に入り込んでいる。
確認したら昨日から再生数も登録者数も伸びまくった──。これも璃緒と出会ったおかげなのだろう。
璃緒のおかげで、確実に収益化ラインまでは行けただろう。もしかしたら──専業で稼げるくらい行ける可能性だってある。
それもこれも、璃緒のおかげだ。今度会った時は、そのお礼もしなきゃな。
果たして、俺なんかに璃緒を楽しませることができるかどうか。ベッドに座って考えていると、ネフィリムが不満そうに顔をぷくっと膨らませてこっちを見ている。
「な、なんだよ」
思わず後ずさりすると、下がった分だけネフィリムは前かがみの姿勢でこっちに向かってくる。
「わらわというものがありながら、これはどういう事じゃ!!」
「どういうことって、あの流れからして仕方ないだろ……」
意外と怒ってるのに驚く。璃緒には世話になったしコラボを組むならあらかじめ色々話したいし──親睦を深めるためにも実際にあって話をしたい。
「別に、おまえは関係ないだろ。付き合ってるわけでもないんだし」
俺だって遊びでやってるわけじゃない。必要なことだと思い判断している。だからネフィリムとて引くわけにはいかなかった。ネフィリムは両手を強く握って体をプルプルと振るわせる。そして、地団駄を踏んで後ろを向いた。
「浮気者めが、勝手にしろ!」
そしてこの場から去ってしまった。悪いことしちゃったかな? でもこっちだって引くわけにもいかなかったし──今度会った時は謝るか。
なんにせよ──実質的なデート、生まれて初めてだ。
俺にとっては初めての経験だが、璃緒はあの性格とルックスからして交際経験がないはずがない。
それでも絶対に璃緒を幻滅させるわけにはいかない。しっかりと、彼女を喜ばせないと。
璃緒の表情がはっと明るくなって、頭を下げてきた。礼儀正しくて、腰が低い人なんだな。ここまで人気なら、もっと偉そうにしてもいいのに。まあ、そういう所が彼女の魅力なんだろうけど。
再び視線が合う。
幸せそうな、喜びを感じる表情の璃緒ちゃん。それを見ていると、こっちまで幸せな子持ちになってくる。本当にかわいいなぁ。さすがはNo1配信者。
そして、今度直接会ってお話することとなった。流石に公開するわけにはいかないから璃緒ちゃんが日にちと場所をメモで渡してきたのだが。
「色々今後について話しましょう。会えるなんてとても嬉しいです」
「こちらこそ、こんな私ですが──よろしくお願います」
さすがにずっと見つめられると、こっちも照れてしまう。それもうっとりとした表情で。
そして、俺は璃緒の手をぎゅっと握った。冷たくて、柔らかくて滑らか。ずっと触っていたいと思えるものだ。
“爆発汁”
“彼女(2人目)おめでとう”
“堕 ち た な ”
“まさか、あの璃緒ちゃんを惚れさせるとは──”
コメントがすごいことになってる。ないから。俺に彼女なんて。ネタで言ってるんだろう。
今まで生きてきて──それは重々承知だ。これだって、璃緒のパーティーが復帰するまでのつなぎだし。
そんなことを考えていると、ネフィリムが思いっきり背中を叩いてきた。
「不愉快、帰るのじゃ!!」
いてて……結構強く叩いたせいで背中がひりひりする。なんなんだこいつ。
どこか不機嫌そう。
「このわからずや! すけこまし! ハーレム男!」
何で怒ってるんだ? 首をかしげて、しばし考えるが全然わからない。
腕を組んで考えていると、ネフィリムはやれやれといった感じであきれ果ててしまった
「もう、期待するだけ無駄じゃな」
「そうだな」
とはいえ、色々消耗したしいったん帰りたいのも事実。璃緒には悪いけど、こっちはここまでにしようか。
「まあ、今度はよろしくね。こっちはいったん戻るよ」
「あ、それなんですけどレポートが必要みたいです」
「何それ?」
「規約に細かく書かれてるんですけど、設定画面に入ってスタートボタンを押して出てくるレポートを押さないとまたあのチュートリアルからやり直しなんです」
「そうなのか」
さらに璃緒がSNSを見せてくると、この仕様を知らないでもう一度チュートリアルからやり直す羽目になった人の叫びがタイムラインにたくさん載っていた。
“レポートとか、昔のゲームかよ”
“必要ならどこかで説明しとけよ、だからクソダンジョンなんだよ”
やはり不評になってる。非難の嵐、これはクソダンジョン確定だな。
とりあえず、レポートだ。宙に設定画面を出す。一番下にレポートと書いてある。
このレポートをする必要があるということか。
なんか、昔のゲームみたいだな。とりあえず、レポートの場所を押す。
どこかのRPGみたいだ。そして、画面に文字が現れた。
今までの活躍を、レポートに書き込みますか?
▷はい
いいえ
はいを選択。
レポートに書き込んでいます。まだ退室しないでください。
そして数秒後、効果音とともにレポートが書き終わった。
からすみと璃緒はレポートにしっかり書き写した。
これで終わりだ。璃緒と向かい合う。
「今日はこれでお別れですね、後日──それとコラボ配信の時はよろしくお願いします」
「こっちこそ、役に立てるかわからないけどよろしくね」
互いに握手をしてからこの場を去る。
改めて自分の部屋に戻った。時間は夕方で、窓から陽光が部屋に入り込んでいる。
確認したら昨日から再生数も登録者数も伸びまくった──。これも璃緒と出会ったおかげなのだろう。
璃緒のおかげで、確実に収益化ラインまでは行けただろう。もしかしたら──専業で稼げるくらい行ける可能性だってある。
それもこれも、璃緒のおかげだ。今度会った時は、そのお礼もしなきゃな。
果たして、俺なんかに璃緒を楽しませることができるかどうか。ベッドに座って考えていると、ネフィリムが不満そうに顔をぷくっと膨らませてこっちを見ている。
「な、なんだよ」
思わず後ずさりすると、下がった分だけネフィリムは前かがみの姿勢でこっちに向かってくる。
「わらわというものがありながら、これはどういう事じゃ!!」
「どういうことって、あの流れからして仕方ないだろ……」
意外と怒ってるのに驚く。璃緒には世話になったしコラボを組むならあらかじめ色々話したいし──親睦を深めるためにも実際にあって話をしたい。
「別に、おまえは関係ないだろ。付き合ってるわけでもないんだし」
俺だって遊びでやってるわけじゃない。必要なことだと思い判断している。だからネフィリムとて引くわけにはいかなかった。ネフィリムは両手を強く握って体をプルプルと振るわせる。そして、地団駄を踏んで後ろを向いた。
「浮気者めが、勝手にしろ!」
そしてこの場から去ってしまった。悪いことしちゃったかな? でもこっちだって引くわけにもいかなかったし──今度会った時は謝るか。
なんにせよ──実質的なデート、生まれて初めてだ。
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