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第41話 配信者としての差
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怖がっている人もいる。何とか、安心させないと。
「ちょっと、いいかな?」
「なんでしょうか」
とはいえどう言葉を変えようか迷う。ただ「大丈夫」と声をかけても信じてもらえるかどうか。考えていると、ネフィリムか隣にやってきた。
「そちたちを傷つけるつもりはない。何かあったら、協力するぞ。そち達もわらわの仲間じゃからの」
「大丈夫、セラフィールも君たちも殺したりなんかしないから」
2人で、優しい口調で言葉を掛ける。それしかないよな。自分の気持ちを込めて精一杯言おう。うさ耳をつけた女の人が、真剣な表情でじっとこっちを見る。
「信じて、いいんですか?」
「大丈夫! 危害を加えないなら、こっちだって何もしないよ。セラフィールだって別に存在を抹消するためにいくわけじゃない。危害を加えないというのならこっちだって必要以上に戦う理由はないしね」
「そうじゃ。わらわたちは殺すことを目的としているわけではない。現に、こうして大切にしているではないか。対話しているではないか」
女の人達の表情に、安堵が灯る。大丈夫、こっちは戦う事を目的にしてるわけではない。
女の子たちが、きょろきょろと互いに視線を向け、一人がコクリとうなづいた。
「信じます。セラフィール様──勇者様」
「勇者様も、敵ではありましたがどんな人にでも優しい誰からも愛される存在だと知っています。信じていますよ」
「了解です。私達に戦う力はありません。通りたいなら通ってください。あの道を行って、階段を上がればセラフィール様の部屋です」
「ありがとう」
みんな、納得してくれた。複雑な感情なのか、納得しきれていないような表情をしている人もいるけど、最後まで異論は出なかった。まあ、俺が魔王軍にしたことを考えれば無理はない。どんな理由があろうと、俺が魔王軍と戦い彼女たちの居場所を奪ってきたのは事実。
それでも、こうして言葉を返してくれたのはうれしい。今度困ったことがあったら、力になろう。
「礼を言うぞ、大丈夫。罪を犯していない仲間であれば、攻撃する義理はない。これからも、セラフィールのためによろしくなのじゃ」
そして、ネフィリムは彼女たちに手を差し出した。女の子たちがまるで心を開いたかのように握手をする。
「ネフィリム様。ご無事で何よりです、勇者様に敗れて以降私たちの前から消えてしまっていましたのでどうなったか心配でした」
「わらわがくたばるわけがなかろう。配下たちとどのようにして生きていくか、どうすれば生きていけるか考えておったのじゃ」
「ありがとう。ネフィリムが本当は部下想いで優しい性格で本当によかったよ」
そして、俺たちはこの部屋を出た。セラフィールを心から慕っているから、こうして
戦いが終わった後もついてきている。
そんな人に、俺はなりたい。
「澄人、わらわの顔に何かついておるか?」
「あ、大丈夫だよ。何でもないから」
ついついネフィリムの顔を見過ぎてしまった。慌てて前を向く。なんていうか、連合軍の政府の人たちの中や、こっちの世界のゲームでは魔王様といえば恐怖と悪の象徴みたいな感じだけど、ネフィリムは違うというのがわかる。
悪いこともしたけど、自分を慕ってきたやつは(仲間に非道なことをしたやつは別として)全力で大切にしてきた。
敵だったとはいえ、見習えるところは見習ってこれからの役に立てて行きたい。少なくとも世界の半分を支配した器があるのは事実なのだから。
大広間を出てから、赤絨毯が敷かれている階段を登っていく。
上へあがっていくたびに、強い気配を感じるようになる。強力な力。
「やつの気配じゃ──確実上におる」
「戦いなんですね─絶対勝ちます」
「皆さん、ラスボスとこれから決戦です! 頑張りますので、応援よろしくお願いします!!」
璃緒がスマホを広げて、これから決戦だという事を視聴者たちに伝える。まずい……なつかしさに夢中でほとんど視聴者のことを見てなかった。
慌ててコメントを確認。
“さっきから話が読めないんだけど”
“どういうこと??”
“面識があるってこと?”
しまった……視聴者たちは俺が異世界に行ってたことを知らない。どう説明すればいいのか……。どうすればいいか考えていると、隣に璃緒が寄ってきた。
「そういう設定です。これから強い敵と戦いますけど、皆さん応援してくださいね!! 盛り上げるために、演技してたんですよ」
璃緒がそう言って笑顔で手を振る。
“あ! 梨緒ちゃんだ”
“そういう事だったんだ。頑張れよ!!”
“絶対勝ってくれよ、応援してるからな”
視聴者たちも納得してくれた。流石は璃緒。こういうカバーも上手だ。
「私もありますよ、特別な思いがあって感情を込めているうちに配信だってことを忘れちゃうって。互いに助けあいましょ」
「あ、ありがとうございます」
リカバリーもアドリブも本当にうまい。こういう、常に視聴者への配慮ってところはまだまだだな俺。
見習っていかないと──。
“【速報】からすみ、二股してしまう”
“璃緒ちゃんから直々にフォローしてもらうなんて羨ましすぎだろ”
“そこかわれ”
璃緒と絡むと、やはりいろいろ言われるよな。璃緒と組むのに、ミスマッチにならないような存在になりたい。
「ちょっと、いいかな?」
「なんでしょうか」
とはいえどう言葉を変えようか迷う。ただ「大丈夫」と声をかけても信じてもらえるかどうか。考えていると、ネフィリムか隣にやってきた。
「そちたちを傷つけるつもりはない。何かあったら、協力するぞ。そち達もわらわの仲間じゃからの」
「大丈夫、セラフィールも君たちも殺したりなんかしないから」
2人で、優しい口調で言葉を掛ける。それしかないよな。自分の気持ちを込めて精一杯言おう。うさ耳をつけた女の人が、真剣な表情でじっとこっちを見る。
「信じて、いいんですか?」
「大丈夫! 危害を加えないなら、こっちだって何もしないよ。セラフィールだって別に存在を抹消するためにいくわけじゃない。危害を加えないというのならこっちだって必要以上に戦う理由はないしね」
「そうじゃ。わらわたちは殺すことを目的としているわけではない。現に、こうして大切にしているではないか。対話しているではないか」
女の人達の表情に、安堵が灯る。大丈夫、こっちは戦う事を目的にしてるわけではない。
女の子たちが、きょろきょろと互いに視線を向け、一人がコクリとうなづいた。
「信じます。セラフィール様──勇者様」
「勇者様も、敵ではありましたがどんな人にでも優しい誰からも愛される存在だと知っています。信じていますよ」
「了解です。私達に戦う力はありません。通りたいなら通ってください。あの道を行って、階段を上がればセラフィール様の部屋です」
「ありがとう」
みんな、納得してくれた。複雑な感情なのか、納得しきれていないような表情をしている人もいるけど、最後まで異論は出なかった。まあ、俺が魔王軍にしたことを考えれば無理はない。どんな理由があろうと、俺が魔王軍と戦い彼女たちの居場所を奪ってきたのは事実。
それでも、こうして言葉を返してくれたのはうれしい。今度困ったことがあったら、力になろう。
「礼を言うぞ、大丈夫。罪を犯していない仲間であれば、攻撃する義理はない。これからも、セラフィールのためによろしくなのじゃ」
そして、ネフィリムは彼女たちに手を差し出した。女の子たちがまるで心を開いたかのように握手をする。
「ネフィリム様。ご無事で何よりです、勇者様に敗れて以降私たちの前から消えてしまっていましたのでどうなったか心配でした」
「わらわがくたばるわけがなかろう。配下たちとどのようにして生きていくか、どうすれば生きていけるか考えておったのじゃ」
「ありがとう。ネフィリムが本当は部下想いで優しい性格で本当によかったよ」
そして、俺たちはこの部屋を出た。セラフィールを心から慕っているから、こうして
戦いが終わった後もついてきている。
そんな人に、俺はなりたい。
「澄人、わらわの顔に何かついておるか?」
「あ、大丈夫だよ。何でもないから」
ついついネフィリムの顔を見過ぎてしまった。慌てて前を向く。なんていうか、連合軍の政府の人たちの中や、こっちの世界のゲームでは魔王様といえば恐怖と悪の象徴みたいな感じだけど、ネフィリムは違うというのがわかる。
悪いこともしたけど、自分を慕ってきたやつは(仲間に非道なことをしたやつは別として)全力で大切にしてきた。
敵だったとはいえ、見習えるところは見習ってこれからの役に立てて行きたい。少なくとも世界の半分を支配した器があるのは事実なのだから。
大広間を出てから、赤絨毯が敷かれている階段を登っていく。
上へあがっていくたびに、強い気配を感じるようになる。強力な力。
「やつの気配じゃ──確実上におる」
「戦いなんですね─絶対勝ちます」
「皆さん、ラスボスとこれから決戦です! 頑張りますので、応援よろしくお願いします!!」
璃緒がスマホを広げて、これから決戦だという事を視聴者たちに伝える。まずい……なつかしさに夢中でほとんど視聴者のことを見てなかった。
慌ててコメントを確認。
“さっきから話が読めないんだけど”
“どういうこと??”
“面識があるってこと?”
しまった……視聴者たちは俺が異世界に行ってたことを知らない。どう説明すればいいのか……。どうすればいいか考えていると、隣に璃緒が寄ってきた。
「そういう設定です。これから強い敵と戦いますけど、皆さん応援してくださいね!! 盛り上げるために、演技してたんですよ」
璃緒がそう言って笑顔で手を振る。
“あ! 梨緒ちゃんだ”
“そういう事だったんだ。頑張れよ!!”
“絶対勝ってくれよ、応援してるからな”
視聴者たちも納得してくれた。流石は璃緒。こういうカバーも上手だ。
「私もありますよ、特別な思いがあって感情を込めているうちに配信だってことを忘れちゃうって。互いに助けあいましょ」
「あ、ありがとうございます」
リカバリーもアドリブも本当にうまい。こういう、常に視聴者への配慮ってところはまだまだだな俺。
見習っていかないと──。
“【速報】からすみ、二股してしまう”
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