国家魔術師をリストラされた俺。かわいい少女と共同生活をする事になった件。寝るとき、毎日抱きついてくるわけだが 

静内燕

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最終章

第104話 魔物との、戦い

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 街の郊外にある荒野地帯。

 そこに俺とウィンはいた。ニナ、ビッツ、エリアも。
 到着すると、すでに魔物たちが存在していて街の方向へと進路を向けて歩いている。

「ついたな、準備はいいか?」

「大丈夫ですよ、先輩」

「はい、行きましょう」

 ニナとウィンが言葉を返す。ビッツとエリアは──聞くまでもないだろう。それぞれ自分の武器を出して、いつでも戦う準備ができているとわかる。

 何が起こったか、簡単に説明すると街の北側に魔物たちが現れたのだ。
 俺たちがギルドについたときに、招集がかかりすぐに準備を終えて案内された場所にたどり着いた。

 そして、前方にいる魔物たちに視線を向けた。土埃が舞う地面がむき出しになった荒野に、多数の魔物たちがいる。

「この数なら、何とかなりそうだ」

 魔物たちと、俺たちの戦力を比較して出した結論だ。
 そして、周りには加勢に来た冒険者たち。その数100人ほど。

 対して敵──。
 そこまで強いとは言えない低級魔物が中心だ。デュラハンにオーク、その他アンデットなど。
 特に気を付けないといけない魔物はいない。
 この前のタツワナ王国の時とは違って、雑多な人種の混成軍といった印象。

 そこまでランクの高い魔物がいるわけではないし、普通に戦えば勝てるだろう。
 指揮官の人も、魔物たち戦う準備をして宣言した。

「敵はそこまで強くはない。皆が全力を出して戦えばこの戦い、勝利は間違いない」

「マジかよ、頑張ろうぜ!」

 その言葉にこの場の士気があがる。
 そして、俺たちは魔物がいる方向へと歩を進めていく。

 冒険者たちは、覚悟を決めて武器を魔物たちに向け、戦意をあらわに。魔物たちは、それに気が付いたのか次々とこっちへと向かってきた。

 指揮官の人が剣を魔物に向け、叫んだ。

「来るぞ。かかれぇぇぇぇぇ!」

 その掛け声を境に、戦闘が始まっていく。

 タツワナの時とは違い、冒険者たちの実力もそれなりにある。
 魔物の実力も、そこまでではない。みんな、次々と魔物達を倒していく。

 俺やニナたちも順調に戦い、魔物たちは少しずつ数を減らしていく。

 残りの数が半分くらいになったあたりで、ビッツが話しかけてきた。

「面倒だ、一気に片付けるぞ」

「そうだな」

 それから、不慣れながらも距離をとって俺を援護してくれていたウインに話しかける。

「ウィン──」

「何でしょうか?」

「一体一体片付けるより、まとめてウィンの攻撃で吹っ飛ばした方がいい。だから、協力してくれ」

「わかりました」

 そして、ウィンへ作戦を説明してから再び前線へと戻った。
 前線では、ニナやエリアたち──ほかの冒険者たちも死闘を繰り広げていた。

 戦況は──俺たちが優位に進んでいるといっても過言ではない。皆、有利に進んでいても油断したりせず少しずつ敵たちを追い詰めていく。

 俺もしばらくの間戦闘に加わった。

「ニナ、近距離も戦えるようになったんだ。偉いね」

 戦っているニナの表情がぱっと明るくなった。目の前の敵を倒しながら、言葉を返してくる。

「先輩──ありがとうございます」

 ちょっと浮ついたようなニナの表情。これは良くない……ニナは、時折こうして油断をして危ない目にあってしまうことがあるのだ。そして、攻撃を受けてしまう。

「ニナ、危ない!」

「あっ、すいません!」

 浮ついたニナの背後から、デュラハンが奇襲を仕掛けてくる。
 油断したこともあってか、攻撃を受けてしまう。完全にはかわし切れず肩にかすり傷を負ってしまった。

「すいません」

「まったく、油断するなよ」

 しかしすぐに反撃してデュラハンを始末。弱い敵だから何とかなったものの、強敵であれば致命傷になりかねなかった。まだまだニナは詰めが甘い。


 それからも、俺たちは敵を倒していく。ニナとうまく協力して、周囲の敵たちを減らしていった。

 ビッツやエリア、それに他の冒険者も特に苦戦することなく順調に敵を倒していっている。
 しばらくたってから周囲を見渡して、現状を把握。

 敵は──残り3割くらい。これなら、行ける。

 そして──後方に向かって叫んだ。

「ウィン、今だ!」

「わかりました」

 ウィンは自信を持った口調で叫ぶ。そこには、以前あったような不安や戸惑い──戦いへの恐怖とトラウマといったものはなかった。

「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 魔力を思いっきり込めて、叫ぶ。

 ウィンのモチーフである「赤い稲妻」が一度ウィンの杖から空高く舞い上がった後、魔物たちの方へと向かっていく。魔物たちに、ウィンの攻撃が直撃。

 強い魔物がいるわけではない、ただ目の前の敵を殴ってくるだけの彼らになすすべはなかった。ウィンの赤い稲妻が大爆発を起こし、魔物たちを吹き飛ばしていく。

「グォォォォォォォォォォォォォォォォォォ──」

「ブルワァァァァァァァァァッッッ」

 断末魔のような叫び声をあげながら、魔物たちの肉体は蒸発するように消滅していく。
 ウィンの一撃で、この場にいた魔物たちはすべていなくなった。

 すぐに、ウィンに向かって早足で歩み寄る。

「すごいよ、ウィン」
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