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最終章
第116話 ニナと、ウィンの活躍
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「協力するよ」
俺が話しかけると、ニナは顔を真っ赤にして驚いて言葉を返した。
「先輩──休みとってたんじゃないんですか?」
ニナは、俺とウィンをゆっくりと交互に見つめる。
ぽかんとした、心ここにあらずと言わんばかりの表情。おい、戦闘中だぞ……。
ニナは、やはり詰めが甘いところがある。
「きゃぁぁ!」
俺が心配した通り、ニナはよそ見をしているうちにオークから攻撃を食らってしまう。幸い、軽快なステップで攻撃に対応し直撃は免れたものの、額から血が垂れてしまっている。
「だ、大丈夫ですからね!」
「それはわかってる」
ニナが強気に拳を握って言い放つ。
ニナは確かにふわっとしていてやらかし癖こそあるものの、いざというときはしっかりと仕事をしてくれるし、芯が強くて多少痛い目にあっても戦うのをやめたりしない傾向がある。
苦手だった近距離も、下級程度の兵士なら圧倒するくらい強くなっている。
だから、これしきでやられはしないと確信できる。
俺ががニナの分まで対応しているうちに、ニナは傷口をシャツの裾で拭い、再び戦闘に加わった。
「先輩、すいません」
「気にするな。致命傷だけは気をつけろ」
その後も、ニナは自分が至近距離が苦手なのをものともせずに魔物たちに立ち向かっていく。
俺は、そんなニナが心配で、時折ニナが大丈夫か視線を向けながら戦い続ける。
いつもより若干魔物を倒していくペースが落ちてしまうが、ニナのためには仕方がない。せっかく、ニナが自分の短所を克服しようと一生懸命戦ってるんだ。
その思いを、絶対に無駄にはしたくない。
──しかし、そんな心配は全くご無用だった。ニナは、集団で魔物が襲ってきているにもかかわらずピンチに陥ることもなく少しずつ魔物たちを倒していく。
凄いな──以前より成長して、頼もしくなっている。今までのような、未熟で危なっかしいニナじゃなくなっている。
強敵ならともかく、一般兵クラスならしっかりと圧倒できる力を身に着けている。
「すごいよ、成長したね。ニナ」
「あ、ありがとうございます!!」
そして、戦っていくうちにこのあたりの敵は一層できた。
後は──ウィンに任せよう。後ろを振り向いて、ウィンに向かって叫んだ。
「ウィン──最後のとどめ、よろしく」
ウィンの表情が、はっと明るくなる。
「わかりました」
そしてウィンが、杖を振り上げて雷撃を放った。
放たれた雷撃は、魔王軍の兵士が集中している部分に直撃。耳が割れるくらいに大きな音
を伴って大爆発を起こす。
一撃で、何十体もの魔王軍の兵士たちが吹き飛ばされていく。
唖然とするこの場。戦っていた冒険者たちも、戦いの手を止めてウィンが放った攻撃に吸い寄せられるように視線を送る。
「何だあの女の子。すげぇ」
「何十体もの兵士を一瞬で……ただもんじゃないだろ」
その言葉通り、ウィンの攻撃が直撃した場所には、大きなクレーターが出来ている。
そして、魔王軍の兵士の残骸が、そこら中にあふれ出ていた。
そして、わずかに残っている兵士たち。直撃を避けて、ボロボロになりながらも立ち上がってきた。
すでに傷だらけで、戦う力が残っているようには思えない。
兵士たち自身も、戦おうとしている素振りはなく怯えたような表情で互いに視線を合わせたり、きょろきょろしたり──。
動揺が彼らの中に広がっているのが、わかる。
そして──。
「ギャォォォォォォォォォォォォォォッッッッッッッ!!」
戦線から逃げ出す兵士たちが出始めた。
もともと、そこまで士気が高くはないのだろう。一人逃げ出せば、あとはもう悪循環。
あるオークは腰を抜かし、あるアンデッドは持っていた剣を捨てて次々と逃げ出していく。
気がつけば、この場からすべての、魔王軍の兵士たちがこの場から逃げ去っていった。
敵が去ったこの場。冒険者たちの中に、安堵の雰囲気が流れる。
「よかった。これで脅威は去ったぞ」
「全部あの女の子のおかげだ。すげえよあれ」
ウィンはその言葉を聞いて照れてしまったのか、顔を赤くしてうつむいてしまう。
周囲を探る。敵の気配はない。とりあえずは、大丈夫だろう。
まずは、ウィンの方へと向かう。
ここまで歩いてきたこともあってか、だいぶ疲れているようだ。
草原で、仰向けになり寝っ転がっている。ちょっと、負荷をかけすぎたかもしれない。
「ウィン、大丈夫?」
そう言って、すっと手を差し伸べる。
「私は、大丈夫です」
そう言って立ち上がろうとするが、起き上がった瞬間によろけてしまう。
「無理しなくていいから──」
慌ててウィンの隣に移動し、肩を掴む。
そして立ち上がろうとしたとき、1人の人物がやってきた。
「先輩。大丈夫ですか?」
ニナが、駆け足でやってきた。戦いで、やや消耗しているせいか軽く息が上がっている。
服も、ボロボロだ。
「ああ、大丈夫だよ。ニナこそ、大丈夫?」
ニナは、俺が言葉を返した瞬間顔をほんのりと赤くし、ピシッと敬礼のポーズをとった。
何で……。頭の中に?マークが浮かぶ。
「だ、だ、大丈夫ですよ先輩。私にゃら、ぴんぴんしてますっ!」
しかも噛んでるし。何かあったのかな?
俺が話しかけると、ニナは顔を真っ赤にして驚いて言葉を返した。
「先輩──休みとってたんじゃないんですか?」
ニナは、俺とウィンをゆっくりと交互に見つめる。
ぽかんとした、心ここにあらずと言わんばかりの表情。おい、戦闘中だぞ……。
ニナは、やはり詰めが甘いところがある。
「きゃぁぁ!」
俺が心配した通り、ニナはよそ見をしているうちにオークから攻撃を食らってしまう。幸い、軽快なステップで攻撃に対応し直撃は免れたものの、額から血が垂れてしまっている。
「だ、大丈夫ですからね!」
「それはわかってる」
ニナが強気に拳を握って言い放つ。
ニナは確かにふわっとしていてやらかし癖こそあるものの、いざというときはしっかりと仕事をしてくれるし、芯が強くて多少痛い目にあっても戦うのをやめたりしない傾向がある。
苦手だった近距離も、下級程度の兵士なら圧倒するくらい強くなっている。
だから、これしきでやられはしないと確信できる。
俺ががニナの分まで対応しているうちに、ニナは傷口をシャツの裾で拭い、再び戦闘に加わった。
「先輩、すいません」
「気にするな。致命傷だけは気をつけろ」
その後も、ニナは自分が至近距離が苦手なのをものともせずに魔物たちに立ち向かっていく。
俺は、そんなニナが心配で、時折ニナが大丈夫か視線を向けながら戦い続ける。
いつもより若干魔物を倒していくペースが落ちてしまうが、ニナのためには仕方がない。せっかく、ニナが自分の短所を克服しようと一生懸命戦ってるんだ。
その思いを、絶対に無駄にはしたくない。
──しかし、そんな心配は全くご無用だった。ニナは、集団で魔物が襲ってきているにもかかわらずピンチに陥ることもなく少しずつ魔物たちを倒していく。
凄いな──以前より成長して、頼もしくなっている。今までのような、未熟で危なっかしいニナじゃなくなっている。
強敵ならともかく、一般兵クラスならしっかりと圧倒できる力を身に着けている。
「すごいよ、成長したね。ニナ」
「あ、ありがとうございます!!」
そして、戦っていくうちにこのあたりの敵は一層できた。
後は──ウィンに任せよう。後ろを振り向いて、ウィンに向かって叫んだ。
「ウィン──最後のとどめ、よろしく」
ウィンの表情が、はっと明るくなる。
「わかりました」
そしてウィンが、杖を振り上げて雷撃を放った。
放たれた雷撃は、魔王軍の兵士が集中している部分に直撃。耳が割れるくらいに大きな音
を伴って大爆発を起こす。
一撃で、何十体もの魔王軍の兵士たちが吹き飛ばされていく。
唖然とするこの場。戦っていた冒険者たちも、戦いの手を止めてウィンが放った攻撃に吸い寄せられるように視線を送る。
「何だあの女の子。すげぇ」
「何十体もの兵士を一瞬で……ただもんじゃないだろ」
その言葉通り、ウィンの攻撃が直撃した場所には、大きなクレーターが出来ている。
そして、魔王軍の兵士の残骸が、そこら中にあふれ出ていた。
そして、わずかに残っている兵士たち。直撃を避けて、ボロボロになりながらも立ち上がってきた。
すでに傷だらけで、戦う力が残っているようには思えない。
兵士たち自身も、戦おうとしている素振りはなく怯えたような表情で互いに視線を合わせたり、きょろきょろしたり──。
動揺が彼らの中に広がっているのが、わかる。
そして──。
「ギャォォォォォォォォォォォォォォッッッッッッッ!!」
戦線から逃げ出す兵士たちが出始めた。
もともと、そこまで士気が高くはないのだろう。一人逃げ出せば、あとはもう悪循環。
あるオークは腰を抜かし、あるアンデッドは持っていた剣を捨てて次々と逃げ出していく。
気がつけば、この場からすべての、魔王軍の兵士たちがこの場から逃げ去っていった。
敵が去ったこの場。冒険者たちの中に、安堵の雰囲気が流れる。
「よかった。これで脅威は去ったぞ」
「全部あの女の子のおかげだ。すげえよあれ」
ウィンはその言葉を聞いて照れてしまったのか、顔を赤くしてうつむいてしまう。
周囲を探る。敵の気配はない。とりあえずは、大丈夫だろう。
まずは、ウィンの方へと向かう。
ここまで歩いてきたこともあってか、だいぶ疲れているようだ。
草原で、仰向けになり寝っ転がっている。ちょっと、負荷をかけすぎたかもしれない。
「ウィン、大丈夫?」
そう言って、すっと手を差し伸べる。
「私は、大丈夫です」
そう言って立ち上がろうとするが、起き上がった瞬間によろけてしまう。
「無理しなくていいから──」
慌ててウィンの隣に移動し、肩を掴む。
そして立ち上がろうとしたとき、1人の人物がやってきた。
「先輩。大丈夫ですか?」
ニナが、駆け足でやってきた。戦いで、やや消耗しているせいか軽く息が上がっている。
服も、ボロボロだ。
「ああ、大丈夫だよ。ニナこそ、大丈夫?」
ニナは、俺が言葉を返した瞬間顔をほんのりと赤くし、ピシッと敬礼のポーズをとった。
何で……。頭の中に?マークが浮かぶ。
「だ、だ、大丈夫ですよ先輩。私にゃら、ぴんぴんしてますっ!」
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