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家族旅行 ~アマルトゥス王国~
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時の流れは早いもので、つい先日学園に入学したと思っていたら、もう春休みだ。
長期休暇の始まりを告げる陽光が、広々としたアルディア邸の応接室に柔らかく降り注いでいた。
私はふかふかのソファに腰を下ろし、手元の美しい封筒をそっと指先でなぞった。
封筒の表面には、異国情緒あふれる装飾と、真っ赤な蝋に浮かび上がるアマルトゥス王国王家の紋章が輝いている。
ほら、映画とかで見る本物の貴族の封書のやつだよ。 かっこいい!
「これが、おじい様からの招待状……」
つぶやく私の隣で、お父様が軽くため息をついた。
「まさかこのタイミングで来るとは思わなかったな」
ヴィクトル・アルディア――私のお父様であり、現在アルディア家の当主代行を務める人物だ。
その表情には困惑と、わずかな緊張が混じっている。
最近まで知らなかったけれど、お父様はまだ正式な当主ではなかった。
当主が交代するのは、当主が亡くなった時か、病気や怪我などで引退を余儀なくされた時か、やむを得ぬ事情がある時。
おじい様は長年、王命でこの国を離れているだけで、まだご健在だから当主の座はおじい様のものだという。
だけどこの度、アルディア家から籍を抜くことになったそうで、手続きのついでにみんなで遊びに来いと招待状を送ってきたのだ。
「まあ、避けて通れぬことですものね」
お母様――セレスティナ・アルディアは、淡々と紅茶を一口飲みながら静かに答えた。
相変わらず落ち着き払った仕草で、何かの書類を確認している。
「ねえ、お兄様。おじい様ってどんな方ですの?」
私が問いかけると、兄のフェリクス・アルディアは小さく肩をすくめた。
「貴族らしくなくて気さくな方だよ。父さんとは正反対の性格かも」
「正反対?」
私は少し驚いてちらりとお父様を見る。 お父様はいつも厳しく冷静だ。
正反対ということは、つまり――
「おじい様は陽気で賑やかなタイプってこと?」
「そうだね。 周りを明るく照らすような人だよ。 良い人さ」
お兄様が笑うと、お父様は小さく咳払いをした。
別にお父様が暗くてジメジメした悪人と言っているわけじゃありませんよ?
「……ともかく、今回はただの家族旅行ではない。 正式な当主交代の手続きも兼ねているからな。 その点を理解しておくように」
お父様の言葉に、私とお兄様は揃って「はい」と答える。
そうは言っても行き先が行き先だ。楽しみが先に立つ。
「アマルトゥス王国かあ。 リゾート地としても有名なんだよね?」
私が話題を振ると、お母様がにっこり微笑んで答えた。
「ええ、穏やかな海辺や、まるで美術館のような街並み、それに新鮮な海の幸と美味しいワイン……きっとあなたも気に入るわ、リシェリアさん」
「それは楽しみね」
ちょっとした緊張をはらみつつも、心が浮き立つ。
アマルトゥス王国――祖母エルヴィラの故郷であり、まだ見ぬ親戚たちがいる国。
どんなところだろう?海に面したリゾート地だから、グアムとかハワイみたいな感じかな?
「それで、叔父のロドルフォ様はどのような方なのでしょうか?」
私の問いかけに、お父様は顔をしかめ、お兄様は苦笑いを浮かべる。
「あー……あの人か。 まあ、いい人なんだけど、まあ、なんというか……」
お兄様が言いよどむと、お母様が涼しい顔で続けた。
「リシェリアさんは、少し警戒した方がいいかもしれませんね」
「……え?」
私がぽかんとしていると、お兄様が小さく笑った。
「まあ、会えば分かるさ。気をつけてな、リシェリア」
こうして、私たち家族はアマルトゥス王国への旅路に踏み出すことになった。
長期休暇と家族旅行、そして私が知らなかったアルディア家の真実――そのすべてが待つ、新しい世界へ――
長期休暇の始まりを告げる陽光が、広々としたアルディア邸の応接室に柔らかく降り注いでいた。
私はふかふかのソファに腰を下ろし、手元の美しい封筒をそっと指先でなぞった。
封筒の表面には、異国情緒あふれる装飾と、真っ赤な蝋に浮かび上がるアマルトゥス王国王家の紋章が輝いている。
ほら、映画とかで見る本物の貴族の封書のやつだよ。 かっこいい!
「これが、おじい様からの招待状……」
つぶやく私の隣で、お父様が軽くため息をついた。
「まさかこのタイミングで来るとは思わなかったな」
ヴィクトル・アルディア――私のお父様であり、現在アルディア家の当主代行を務める人物だ。
その表情には困惑と、わずかな緊張が混じっている。
最近まで知らなかったけれど、お父様はまだ正式な当主ではなかった。
当主が交代するのは、当主が亡くなった時か、病気や怪我などで引退を余儀なくされた時か、やむを得ぬ事情がある時。
おじい様は長年、王命でこの国を離れているだけで、まだご健在だから当主の座はおじい様のものだという。
だけどこの度、アルディア家から籍を抜くことになったそうで、手続きのついでにみんなで遊びに来いと招待状を送ってきたのだ。
「まあ、避けて通れぬことですものね」
お母様――セレスティナ・アルディアは、淡々と紅茶を一口飲みながら静かに答えた。
相変わらず落ち着き払った仕草で、何かの書類を確認している。
「ねえ、お兄様。おじい様ってどんな方ですの?」
私が問いかけると、兄のフェリクス・アルディアは小さく肩をすくめた。
「貴族らしくなくて気さくな方だよ。父さんとは正反対の性格かも」
「正反対?」
私は少し驚いてちらりとお父様を見る。 お父様はいつも厳しく冷静だ。
正反対ということは、つまり――
「おじい様は陽気で賑やかなタイプってこと?」
「そうだね。 周りを明るく照らすような人だよ。 良い人さ」
お兄様が笑うと、お父様は小さく咳払いをした。
別にお父様が暗くてジメジメした悪人と言っているわけじゃありませんよ?
「……ともかく、今回はただの家族旅行ではない。 正式な当主交代の手続きも兼ねているからな。 その点を理解しておくように」
お父様の言葉に、私とお兄様は揃って「はい」と答える。
そうは言っても行き先が行き先だ。楽しみが先に立つ。
「アマルトゥス王国かあ。 リゾート地としても有名なんだよね?」
私が話題を振ると、お母様がにっこり微笑んで答えた。
「ええ、穏やかな海辺や、まるで美術館のような街並み、それに新鮮な海の幸と美味しいワイン……きっとあなたも気に入るわ、リシェリアさん」
「それは楽しみね」
ちょっとした緊張をはらみつつも、心が浮き立つ。
アマルトゥス王国――祖母エルヴィラの故郷であり、まだ見ぬ親戚たちがいる国。
どんなところだろう?海に面したリゾート地だから、グアムとかハワイみたいな感じかな?
「それで、叔父のロドルフォ様はどのような方なのでしょうか?」
私の問いかけに、お父様は顔をしかめ、お兄様は苦笑いを浮かべる。
「あー……あの人か。 まあ、いい人なんだけど、まあ、なんというか……」
お兄様が言いよどむと、お母様が涼しい顔で続けた。
「リシェリアさんは、少し警戒した方がいいかもしれませんね」
「……え?」
私がぽかんとしていると、お兄様が小さく笑った。
「まあ、会えば分かるさ。気をつけてな、リシェリア」
こうして、私たち家族はアマルトゥス王国への旅路に踏み出すことになった。
長期休暇と家族旅行、そして私が知らなかったアルディア家の真実――そのすべてが待つ、新しい世界へ――
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