料理屋「○」~異世界に飛ばされたけど美味しい物を食べる事に妥協できませんでした~

斬原和菓子

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第1章 揚げ出し鶏と淡い恋 料理屋「〇」黎明編1

揚げ出し鶏と淡い恋2

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 …はぐはぐッ…「うみゃー♡」…はぐはぐ♡
勢いよく食べるのに喋るからご飯粒が飛んでほっぺに飛んだのをみて

「食べるか、喋るかどっちかにしなよ、ご飯は逃げないよ」
クスっと笑い口元につくご飯粒を取って食べる


「うみゃああぁぁ♡」と恥ずかしそうに照れながらご飯を食べ続けるミャオがとても可愛かった…



俺が彼女と出会ったのは、経営状況の改善の為、食材を取る為に入った森の中だった



実は俺には神からもらった能力の中に鑑定スキルと調合スキルがあったので、まずは旧レシピに圧倒的に足りない調味料やスパイス、ハーブ等の味の変化を生み出すものを集めることにしたのだ

鑑定スキル:言わずと知れた全ての物を情報として享受できる万能辞典の様なもの(人のステータスや感情等も読める)
調合スキル:万能薬から家庭の調味料まで作ることのできる錬金術の簡易版(エリクサー等の寿命にかかわる薬は不可)
正直言って神に真っ先にねだった能力達といっても過言ではない(照れ笑い)

一応、魔物もいる魔法も使える国と聞いたが、別に勇者になりたいとか武勲で栄誉を得るなどは全く考えていなかった
あくまで美味しい物を食べながら、ある程度不自由しない生活を望んで神にねだった結果、
では美味しい物と認定した魔物に関してはある程度の討伐スキルもあった方がいいだろうとの事で、魔物に負けない程度の魔力と全属性使用可能の魔法知識は想像魔法スキル(賢者)としておまけしてもらった

想像魔法スキル(賢者):思い描いた魔法を魔力に応じて使用できる威力、効果は魔力次第


賢者?少し気になったが、まあ多少の魔法が使える程度でこの魔法のあふれる国では対して珍しい事もないので、転移してからの生活ですっかり気にしないでいた

そんな力を貰った俺は何も臆する事もなく、食材への好奇心が抑えられず、転移して経営状況を確認し、生活にも慣れたころ直ぐに森に入ることにしたのだ

森で目指したのは、まずはキノコや野草(山菜の仲間)、天然のハーブ類だ

森に入ってすぐに食べれそうなキノコや野草に鑑定スキルをかけ、食べれそうなものは適度に残しながら採取した
一度にすべては使い切れないし、生態系の維持の為にもほどほどがいいと考えたのだ

腰に巻いてきたポーチに入れて採取していたのだが、よくよく考えたらマジックバッグならたくさん入るのでは?
と気づき、想像魔法スキルで四次〇ポケットを想像しマジックバッグと唱えると空間になぜか白いバッグが現れ、持っていたポーチに融合するかのように消えていった

そのバッグに手を入れると目の前に中身の書かれたウィンドウが現れ、今まで集めた食材が並んでいた

これは分かりやすくていいな!しかも外観は普通のポーチだから変に勘繰られることもないし、有難うF先生♡
と先人の知恵に感謝しつつ森の中に入っていったところで叫び声が聞こえた

「にゃああああ!助けてニャー」

助けを呼びながら森の奥から走ってくる何かが来る、それを追う大きな何かもいっしょに…
俺は内心ビビりながら少し開けた場所に下がり、叫んだ

「こっちだー!こっちに逃げてこい!」

ガサガサと茂みを揺らしながら方向をこちらに向けた何かが近づいてきてバサッと茂みを抜けたときに

「・・・猫?!」

俺は一瞬頭が思考停止したが、俺の脇を通り過ぎながら逃げたことを確認するとすぐにそれを追う大きな雉型の魔物も認識した
直ぐに鑑定を発動すると
ウッドバード:肉も美味いが、卵も美味い比較的捕まえやすい鳥、直進攻撃しかできない

「ウッドバードか!」

ウッドバードの肉はよく獲られるこの世界では良い御馳走の一つ
俺はテンションが上がり、魔法を唱える
「ウィンドカッター」
首を狙い風の刃が飛んでいく、スパンと切れ味のいい刃に首を切られて頭のないウッドバードは少しスピードを落としながらその場に倒れこんだ

初めて魔物を倒したのだが、意外に冷静だった、ビビってはいたものの…食材だからなのだろうか?
すぐに血抜きをするために首を狙ったのも正解だと足をロープで結び木にぶら下げた
血抜きをするしないでは、肉の価値が変わるからな

俺はどんな料理にするかホクホク顔でウッドバードの血抜きをしながら羽をむしっていると

後ろから先程の猫が現れ、すり寄ってきた
足先で鼻先をすりすりして俺を見つめる猫は礼を言っているようにも見えた

あれ?さっき助けてって叫んだのは別の何か?とふと考えた瞬間
「助けてくれてありがとうだにゃ」

「え?!!!」

正直驚いた、知識として獣人であることに直ぐに気付いたのだが、日本では当然見たことないし、此方の世界でも珍しい、獣人の国にでも行かなければなかなか出会えることもない
「君は獣人か!そうか!…まぁそれは良いとして怪我がなかったか?」冷静に俺が聞くと

「おかげさまで何ともないにゃ、お前様は命の恩人なのにゃ、本当にありがとにゃ」

「命の恩人は大袈裟だが、無事でよかったよ…ところで何でウッドバードに追いかけられていたんだ?」

「森の中であいつの巣を見つけたのにゃ、卵も…ちょっと隙を見て卵を貰おうとしたら見つかってしまったにゃ」

「それは残念だったな」俺は笑いながら猫を抱き上げた

「やっぱり美味い物は誰でも食べたくなるもんな」猫に向かって微笑みかけると
「当然なのにゃ」と猫がプンプンしながら言った後に残念がる姿が可愛くて二人で笑いあった




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