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第5章:騎士の誇り
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「……こういうことであったか。」
エルシードに向かって歩くこと30分。
ヨハネは、何故自分の転移魔法にずれが生じたのか理解することになる。
「……わぁ……凄いですね……。」
隣を歩くシエラも、その風景に思わず息を呑んだ。
数年前までは、のどかな田園風景だったこの場所。
そこは、当時の面影は微塵もなく、『石畳の要塞』と化していた。
いたる所に積まれた石壁。
その陰には大砲が設置され、守備と攻撃を両立させる。
国境外からこの要塞までは、街路樹ひとつ植えられておらず、遮蔽物のないその風景は、国へと向かう人々を格好の的とする。
「ここまで様変わりしてしまっては……転移魔法など使えるわけもない。変わっていない風景の限界までしか飛べぬわ。」
やれやれ……とため息を吐くヨハネ。
「この辺り……近年で此処まで発展したと仰るのですか?」
ヨハネの言葉をいまいち理解できないガーネット。
「砦と言うのは、しっかり定着するのに5年は必要です。築城し、場に慣れ、戦術を構築し……その戦術に慣れて、早くて5年。それが『数年』と言うのはあまりにも早すぎる……。」
ローランド王国にも砦はある。
ゼロとシエラが攻めた、あの砦である。
築城3年。
しかし、砦を築いてからが大変だった。
周囲を伐採し、やはり遮蔽物を無くし……
砦の周囲に堀を設け……
ガーネットと言う『絶対的な戦術の象徴』に合わせた戦術・戦略を構築した。
此処までで、5年。
それだけ時を費やしても、ゼロとシエラに攻略された。
「それを……ここまで堅固な造り。戦術が間に合っているはずがない。」
このガーネットの言葉は、すなわちガーネットの騎士としての経験だった。
「ならば、試してみるか?」
その時、要塞の奥の方から威勢の良い男の声が響き渡る。
「……誰だ!」
声のする方をガーネットが見る。そこには……
「ようこそエルシードへ!!私はエルシード黒騎士団のカミュー!」
漆黒の鎧に身を包んだ騎士がいた。
「ほう……なかなか洗練された騎士のようじゃの。大方侵入者を察知して哨戒に来たか。」
その身にまとう闘気に、ヨハネが感嘆の声を漏らす。
「あなた方が『敵勢力』であればそうしたでしょう。しかしどうやらあなた方は敵では無い様だ。良く知るお方がいらっしゃる。」
カミューは、シエラを見てそう言った。
エルシードに向かって歩くこと30分。
ヨハネは、何故自分の転移魔法にずれが生じたのか理解することになる。
「……わぁ……凄いですね……。」
隣を歩くシエラも、その風景に思わず息を呑んだ。
数年前までは、のどかな田園風景だったこの場所。
そこは、当時の面影は微塵もなく、『石畳の要塞』と化していた。
いたる所に積まれた石壁。
その陰には大砲が設置され、守備と攻撃を両立させる。
国境外からこの要塞までは、街路樹ひとつ植えられておらず、遮蔽物のないその風景は、国へと向かう人々を格好の的とする。
「ここまで様変わりしてしまっては……転移魔法など使えるわけもない。変わっていない風景の限界までしか飛べぬわ。」
やれやれ……とため息を吐くヨハネ。
「この辺り……近年で此処まで発展したと仰るのですか?」
ヨハネの言葉をいまいち理解できないガーネット。
「砦と言うのは、しっかり定着するのに5年は必要です。築城し、場に慣れ、戦術を構築し……その戦術に慣れて、早くて5年。それが『数年』と言うのはあまりにも早すぎる……。」
ローランド王国にも砦はある。
ゼロとシエラが攻めた、あの砦である。
築城3年。
しかし、砦を築いてからが大変だった。
周囲を伐採し、やはり遮蔽物を無くし……
砦の周囲に堀を設け……
ガーネットと言う『絶対的な戦術の象徴』に合わせた戦術・戦略を構築した。
此処までで、5年。
それだけ時を費やしても、ゼロとシエラに攻略された。
「それを……ここまで堅固な造り。戦術が間に合っているはずがない。」
このガーネットの言葉は、すなわちガーネットの騎士としての経験だった。
「ならば、試してみるか?」
その時、要塞の奥の方から威勢の良い男の声が響き渡る。
「……誰だ!」
声のする方をガーネットが見る。そこには……
「ようこそエルシードへ!!私はエルシード黒騎士団のカミュー!」
漆黒の鎧に身を包んだ騎士がいた。
「ほう……なかなか洗練された騎士のようじゃの。大方侵入者を察知して哨戒に来たか。」
その身にまとう闘気に、ヨハネが感嘆の声を漏らす。
「あなた方が『敵勢力』であればそうしたでしょう。しかしどうやらあなた方は敵では無い様だ。良く知るお方がいらっしゃる。」
カミューは、シエラを見てそう言った。
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