ランブルビースト ~獣が強くて人類滅亡の危機なのでビッチがセックスで戦います~【東京編】

扶桑のイーグル

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荒ぶる獣

9体目 友情の芽生え

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 無数の水滴がタイルを叩き、くぐもった耳鳴りのような音がやけに大きく鳴っている。

 奈々に敗北した緑は汗その他もろもろを流すため、シャワールームに来ていた。幾百もの水滴が豊満な身体を伝い落ちていく。

 完膚なきまでに叩きのめされてしまった緑。当然気分は最悪……と思いきやそうでは無かった。

 緑に遅れること5分。奈々がドカリと扉を開けて入ってくる。

「ちっ。回復の早いこと」

「ん、その声は奈々か。先刻は世話になったな」

「はん。なに? もう開き直ってるわけ?」

 緑が使っているルームの隣に入ってくる奈々。

 シャワールームと言っても完全個室なわけではなく、隣からは顔と足しか見えない程度の、大きめのモザイクアクリル板が張ってあるだけである。

 当然、会話が可能だ。

「今回はアナルだったから負けた~とか思ってるの?」

「まさか。負けは負けだ。潔く認めるよ」

「そうね。汚ったない声で喘いでたもの」

「汚いかどうかは、審議物だな。私の声はどんな時でも綺麗だ」

「はっ! どーだか」

 シャアッ、と奈々が取っ手を捻り暖かな恵みを浴びる。

 それから暫しの間、清らかな水音しか流れなかったが、奈々が先に我慢の限界に来たらしい。僅かに思考を巡らせ口を開く。

 平穏を保っていた空気が、壊れた。

「……アンタ、悔しくないの?」

 大して機嫌が悪くなく、楽観的に考えていそうな緑に対してチクリと投げかける。

「………………悔しいさ。今すぐにでも再戦を申し込みたいくらいにな」

「じゃあなんでそんな飄々ひょうひょうとしていられるのよ。私だったら恥ずかしくて死んでる」

 一旦は表情を曇らせた緑だったが、その唇にはすぐに笑みが戻った。

「悔しい……けど、それ以上に嬉しいんだ」

「はあ?」

「……私は、こんなに強い仲間と戦っているのだと実感できてな。いつか……いつか、荒獣を倒せる。そう思えたのだ」

 拳を胸の前で固く握り締め、何かを確信したように。そんな様子の緑に菜々は短く息を吐いた。

「……ふん、呆れた。ポジティブシンキングもいい加減にしなさいよ」

「なんだ、つれないな……」

「但し、この私が強いって気づいた事は、評価してあげる。私がいれば何も問題ないもの。……気づくのがものすごく遅いような気もするけど、気がするって事に留めておいてあげるわ」

 奈々の機嫌はすこぶる良くなったようで、それだけ言うと鼻歌を歌いながら髪を洗い始めた。

「……素直じゃないな」

「なんか言った?」

「いや、独り言だ」

「……まあいいわ」

 柔らかな肢体が二つ、機嫌良さそうにシャワーを浴び続けている。



「ううん、難しいな。シノさん、何とかならない?」

「何とかなりそうなら、とっくにやってる」

「だよねえ」

 研究室では八雲が一人の女性と共にラットを使った実験を繰り返していた。ハンター達に荒獣の特性を付与できないかと始めた実験だったのだが……。

「既に、性技で倒すってところからしてふざけた話なのに、更にこんなモノ付ければ強くなれるよって……これどこのエロ漫画だい?」

「私達の目標はソイツを消すことじゃなく、強化することだ。集中しろ八雲」

「シノさん……これでいいのかなあ」

 珍しく疲れた顔で、八雲はラットの男性器をプルプルと揺らした。




「2時方向にハーピー、12体。短SAM用意」

「短SAMよーい!」

「撃て」

「撃てっ!」

 皇都防衛用に設けられた高台から短距離ミサイルが次々に放たれ、ハーピーと呼ばれる鳥型の荒獣を一匹残らず殲滅した。

 今のところ飛行する荒獣はハーピー以外確認されておらず、コアが無いため通常兵器を扱う防衛隊の格好の的となっていた。

 地上の戦いは苦戦することもあるが、制空権は未だ人間のものだ。

「次は俺らにも残しておいてくれよ」

 落としすぎて自走対空砲から文句を言われる。防空に関しては余裕があった。

 しかし彼らは気づいていない。

 落としたハーピーの翼が僅かに動いた事を……。





 狭く少々薄暗い部屋に多数のモニターが並び、その前に何人もの士官が座って画面を見つめている。一部は慌ただしく動いて指示を出している。

 その一番後ろに座り、静観する四十路が一人。少々運動不足気味のビール腹を椅子の上にこさえ、だが頭と目だけは誰よりも忙しく動かしている。

 そこに一人の士官が近づき、耳打ちで情報を伝えた。それまで首から下は微動だにしなかった男の身体が動揺したように震える。

「それは、確かか」

 ほんの少しだけ早口で鼻声の、低音。人の良さそうな、だがどこか鋭い声が唇の間から漏れた。
 士官が大きく頷くと男はため息をつき、面倒くさそうにキーボードを叩き始める。

「では早めに動かねばならんかもしれんな。戦力増強を急ぐ。と言っても、大部隊を内包する余裕は皇都にない。それどころか輸送能力に限界の兆しが見えている。少数精鋭の特殊部隊を強化せねばならんな。弾だけは増やしておこう。ハンターはどんな手を使ってもいい。強化を……八雲に打診してくれ。あいつなら何か動けるだろう。うん、ありがとう」

 士官に指示を出した男はそれを見送り、椅子に深く腰掛けて数秒考えをまとめてからもう一度PCの画面に向き直った。

「さあ…反撃の時間だ」
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