ランブルビースト ~獣が強くて人類滅亡の危機なのでビッチがセックスで戦います~【東京編】

扶桑のイーグル

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地獄の黒狼

47体目 ヒマワリ週間3

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 涙も枯れ果てるほど菜々が泣いた後はちゃんと落ち着くように緑が二人分の紅茶を入れ、振る舞う。簡易なキッチンでシュルシュルと音を立てていた細身のケトルが、今もわずかな蒸気をくゆらせていた。
 ベルガモットの香りが立つ熱い紅茶を啜るうちに菜々の息も整い、ようやく普通に話せる様になる。

「おいしい……」

「なら良かった」

 緑も少しずつ飲んで喉を潤す。その赤茶色の透明な液体を飲む口が、少し笑った。

「な、なによ……」

 それが自分に向けられたものだと気づくと、不意に恥ずかしさがこみ上げてくる。

「こうして近くで顔を見るのも久しぶりだと思ってな」

「何だかんだすれ違ってる内に一週間経っちゃったのよね」

「寂しかったぞ?」

「ごめ……」

 また、目線が下がり泣きそうな顔になる。泣くのはいいのだが、それではいつまでも話が進まない。

「こら、謝るのは無しだ」

「う、うん……」

 緑に人差し指を鼻に当てられ、苦笑いながらも謝罪の言葉は飲み込んだ。

(しかし、まだ固いのか……)

 表情、雰囲気。そういうものがまだ菜々は固く、今までより一歩引いているような気がして、緑はそれが寂しいし嫌でもあった。
 自分が怒ってなどいない事を示すため、何より一週間苦痛でさえあった寂しさを紛らわすため、緑は次の行動に出る。

「菜々」

「……緑? んぅっ!?」

 身を乗り出し、まだ少し紅茶の香が残る口に短いキスをして、肩を押しベッドに倒した。

「寂しかったという言葉、まさか字面通り受け取ったわけではあるまい?」

「!」

 カアッ、と菜々の顔が朱色に染まる。意味を理解し、その上で視界に映りこんだ股間の盛り上がりをまじまじと見てしまったからだ。

「み、み、緑っ、あんたっ、そういう……」

「ダメか?」

「だっ、だ……ダメじゃな、い、け、ど、ぉ……」

 まさかこんな時に迫られるとは露ほどにも思っていなかった菜々は、段々声を小さくしながら横を向いてしまう。

「……」

「……」

 沈黙が部屋を包む。僅かな吐息の音と衣擦れの音が重なった。乱れた菜々の髪を緑の手が優しく退けると、期待に淡く色付いた白い肌が姿を現す。

「菜々、綺麗だ」

「……そういうのは、恥ずかしいわ」

 菜々の目が潤み、チラリと緑を確認する。それがまた恥ずかしかったのか、すぐに顔を横へ向け直してしまう。
 その隙だらけな首元に緑が吸い付いた。ピクリと肩が跳ねる。
 こそばゆい刺激、穏やかでもどかしい快感が吸われて赤くなった肌からジワリと身体に広がる。

「あっ……ん……んっ……」

「ちゅっ……ちゅぱっ」

 紅茶から微かに湯気が立ち上る。キシリとベッドが音を立てる。菜々の身体が反応する度に衣擦れの音がして欲情を煽る。

 一週間もの間できなかった行為。前戯ぜんぎだけで劣情が噴火のように湧き上がってくる。緑は首筋に散々キスマークを付けた後、手早く服を脱がしスポーツブラを一瞥いちべつした。

「あ、やだ……」

「ん?」

 緑の視線に気づいた菜々が恥ずかしそうに身体を揺らす。結局は、無意識にクネリとした女らしい動きをしてしまい緑の情欲を煽るだけになったが。

「き、今日こんな事するなんて思ってなくて……可愛くないのに……」

「そんな事か。菜々が可愛いから何の問題もないぞ」

「へっ!? あっちょっと、やだ……そう言われる方が恥ずかしいじゃない……」

 本当に気にしていないようにブラをずり下ろし、全部脱がせる時間も惜しいとすぐさま菜々の胸にむしゃぶりつく。胸の先端はみるみるうちに固く大きくなって渇求かっきゅうを表した。

「んぅっ! ……あっ! ん……緑、ごめんなさい……きゃんっ!」

(謝るなと言ったのに)

 咄嗟に出てきた謝罪の言葉に不満を表し、乳首に甘くかじり付く。だが次に出てきた言葉で、それは自分の思い違いだと知る。

「あっ! んふぅ……っ! 私おっぱい小さいから……面白くないでしょ……はぁんっ!」

(何を今更……もしかしてなじっていたのを気にしてたのか?)

 やっと菜々の気にしていた事に気づき、慌ててフォローを入れた。

「ま、まさか! ……可愛いから好きだ」

「ほんと?」

「本当だ」

 凛々りりしい目で菜々を正面から見据える。彼女の不安を取り除くように、しっかりと。

「いつも小さいって言ってたクセに?」

「ぅぐ!」

 その顔は一瞬で横に向けられた。

「エッチの時によく言ってたわよね?」

「あああれは……悪かったよ……」

 最初は威勢よく肯定したものの、痛いところをつかれて眉が歪む。そんな緑の慌てた様子に菜々は目を細めながらも、追及はしなかった。

「……ま、分かればいいです」

「な、菜々……でも可愛いと思っているのは事実だ」

「……ほんとに?」

  半信半疑に聞く。それに緑は真剣な顔で答えた。

「本当に」

「ほんとの、ほんとに?」

「本当の本当だ」

「ほんとのほんとのほん……んんっ」

「んっ。……何度も言わせるな。私だって、恥ずかしいのに」

 頬を赤らめてあらぬ方向を見ながら話す緑に、菜々はまず面食らった様な顔をし、次いで最初にはなかった余裕を取り戻す。

「恥ずかしいんだ?」

「あっ、当たり前だ!」

「じゃあ、私の服を脱がしておっぱいを吸ってる緑はもっともっと恥ずかしいわね?」

「はっ!? なっ! ~! ば、ばか! そういう事を言うな……ひぁんっ!?」

 意識させられ、恥ずかしくなっていた所に不意打ちで腰が突き上げられたせいで甘い声を上げてしまう。海綿体をグリュンと潰す衝撃が電気のように広がり、目尻に惚涙ほうるいを湛えた。

「一番恥ずかしい事、しちゃおっか……」

 熱い吐息を耳に吹きかけられ、扇情的に笑う唇と蕩けたような目に理性を奪われていく。
 思考にゾクゾクとしたかすみが入り込み、正常だった感覚が狂い始める。意思に反して口が開き目を閉じてしまう。

「あっあっ! 菜々っ! あぁ! 突き上げすごっ……くひゃああぁぁぁん!」

 柔らかな腹部にペニスが、服のクッションを挟んで押し付けられる。布が擦れる、焦らすような快感に感度が上がっていく。
 熱は流れるように下半身へ集まってきた。肉棒の中へ雪崩こみ、それは一段と硬度を増す。ゆさゆさと身体を揺らされる感覚がすでに心地よい。
 発情、興奮、快感。身を焦がし始める炎に当てられ、緑のワレメはパンツに染みを作っていた。

「服の上からなのに、ふたなりおちんちん刺激されて感じちゃってるんだ? いいのよ、そのまま精液ピュッピュッてしちゃっても」

「お前っ……さっきと……あっ! 雰囲気違いすぎるだろう! んんんっ!」

「緑が可愛すぎるんですもの。虐めたくなるのは当然じゃない?」

(こ、こいつ……少し隙を見せたら調子に乗って……緊張をほぐそうとした私が間違いだったか!? くうう、マズい……主導権を握ったまま菜々とゆっくり仲直りっクスぐらいに考えていたのに!)

 存外に菜々の精神的な回復が早く、激しいセックスに持ち込まれて強く感じてしまう。女陰よりも感じやすくなるのが早い男根が付いているため、尚更であった。

 まだ男性器が感じやすく、その上で一週間溜め込んでいた事。何より菜々と仲直りできて感情が昂っている事が災いして、菜々の責めが始まってから数十秒で限界を迎えてしまう。

 いつの間にか焚き付けられていた火が一気に燃え盛り、一瀉千里いっしゃせんりにペニスの先端から吹き出す。七日分の熱気が形を得て溢れ出る。
 我慢のために唇を肩へ押し付けていたが、身体中に走った電撃に薄っすらと丸みを帯びた背筋が仰け反り声が歯の間から漏れる。
 内蔵を引き抜かれ、下半身が空洞になってしまったかのような感覚に襲われる。だがそのあとを追うようにまた新しい熱が満たし、更なる興奮を呼び起こす。

 足りない、まだ足りない。もっと菜々が欲しい。もっと大きくて強い快感が欲しい。こんなものでは飽き足らない。だと言うのに。

「んっ!? ぐううううぅぅぅーっ……」

「あ、あら? ……イっちゃったの?」

 菜々は自分のお腹の上で激しく跳ねる男根の脈動を感じながら、一回出しただけでヘロヘロになって覆いかぶさってくる緑に困ってしまう。
 いつもより体力が無い理由が栄養不足である事は明らかだった。

 となると、元気にできるのは一回分のみでした、なんて可能性も無くはない。それでは生殺しもいい所ではないか……。

「ね、ねえ緑? まだ、できるわよね?」

「も、もちろんだ。しかし……身体が動かない」

「それをできないって言うのよ」

「うぐぐぐっ……」

 見栄を否定されて脱力する緑。その様子を見かねた菜々が助け舟を出した。

「私が動いてあげる」

「いいのか?」

「いいも何も、ここで終わられたら私が大変なのよ」

 そう言って緑を持ち上げた菜々は、酷く軽い戦友に驚いた。

(軽っ!? 何よこれ! 良く見たら少し痩せてるし……引きこもってても何かしらは食べてると思ってたのに、まさか!)

 菜々の顔が若干青ざめる。キッチンの水切りかごには皿一枚入っていない。フライパンはシンク下の収納棚に隠れている。炊飯器の液晶も暗いまま。
 食べていた形跡が一切ない。

「緑、あんたもしかして食べてなかったの……?」

「あ……い、いや食べてはいたぞ? ただその……喉を通らなくてな……」

「だからそれを食べてないって言うのよ! こんな事してる場合じゃないわ!」

 菜々は立ち上がろうと腰を上げるが、緑に太ももを抑えられてしまった。一週間何も食べていなかった人間の力とは思えないほど強い。
 まるで、緑の願いを体現したかのような圧力があった。

「菜々、今行っても食堂は閉まってる」

「ならどっかで買ってくれば……」

「そうじゃない。……菜々が欲しい。まだ、終わってない」

 切なそうに潤んだ目。期待に揺れる吐息。熱く火照った身体。甘くすえた少女の香り。
 その身体は、深い欲求を愚直に伝えてくる。

「だ、ダメ……あんた栄養失調でしょ。なのにこんな事してちゃ……」

「何よりも辛かったのは、腹が減った事より寂しかった事だ。今は菜々の温かさが一番に欲しいんだ」

「あ、そ、そんな言い方……」

 困ったような顔をしながらも緑の想いを無下にはできず、挿入を持って了承の合図とした。ピンク色が繋がり、白い肌の中へ隠れていく。

 ラバーのような固い亀頭が、肉ヒダを押し広げていく。潤滑液に塗れた膣肉は、むき出しの神経を舐めるようになぞった。
 それだけで肉棒が溶けてしまいそうになる。剛直などではなく、アイスバーであったかと思うほどに、熱に晒されると呆気なく蕩けてしまう。

「バカ、こっちの気持ちも知らないで……ん……うっ…ああっ!」

「んっ……ぅく!」

 ゆっくりと腰を上下させ、できるだけ自分の気持ちいいところに当たるよう動く。背筋をピリピリと電気が流れ、菜々はいつでもイケる具合になった。

 意思一つで絶頂できるが、まだ限界には至らない状態「マージンズピーク」。感覚が鋭敏になるため、ハンターの仕事では愚策とされ、単なる身体の状態の一つとして教えられているが……。

「ひんっ! ……こういう時だけ便利ね……あぁんっ!」

「は、あっ! な、菜々っ! もっと、もっとキてくれ!」

 緑の律動を感じ取り、あくまでも主導権は渡さずに翻弄していく。
 膣肉がせり上がる。裏筋を、亀頭を圧迫するように締め付ける。一番気持ちのいい所を刺激され、熱が練りあがっていく。腰が一往復する毎に、白濁液が精道を駆け上がっていく。

 グズンッと剛直が菜々の子宮口を叩く。快感がハンマーで叩かれているように脳を目掛けて打ち込まれる。絶頂信号が下から頭を叩く。
 熱は冷めることなく溜まり続ける。乾いた花の蜜のように、溶けて冷めた鉄のように、こびりついて離れようとしない。

 溜まりに溜まっていた性欲は、早くも二度目を膣内に吐き出されようとしていた。ふたなりペニスが、電気が流れたように何度も震え限界を訴える。

「うああっ! 菜々っ! イくっまたイくっ!」

「イッて! 緑の……仲直りザーメンいっぱいぶち込んで!」

「!? うああああっ!」

「くぅうううううっ!」

 熱の奔流が膣内を満たした。ブクリと膨れた肉棒から白濁液が勢いよく飛び出す。
 緑の身体は、何日も食べていない状態から与えられた快感に全てを託そうとしていた。生殖機能はない。だが本能が菜々を孕まさんとばかりに多量の精液を注ぎ込む。
 菜々の子宮もまた、緑の射精を懸命に受け止めていた。ポルチオ性感にゼリーのような白濁が何度も打ち付けられる。

 意識が風に紛れ、無限に続く澄んだ深青の空のどこかへ消えてしまいそうな、そんな開放感に打ち震えた。

 菜々の子宮に大量の精液が注がれ、満足感を得て二人共に脱力する。汗と愛液を吸って水たまりのようになったシーツが音を立てた。
 乱れた黒髪が紋様を描いている。そこへツインテールが落ちる。二つは不思議と混ざり合う。それは水墨とワインのよう。

 汗に濡れた肌に互いが張り付く。二人は個でありながら滑らかに溶け合う。艶やかに光る身体がしっとりと寄せ合い、皮膚と皮膚が一体化する。

 吐息が重なり、興奮の早鐘を打っていた鼓動も歩調が合い始める。身体を悩ましげに包んで離さなかった熱が静かに冷めていく。
 だが緑の様子がおかしい。困ったように眉を八の字に曲げ、驚いたような顔で菜々を見つめている。

「はーっ、はーっ……お前、何を……」

「ふう……何って、淫語を大声で叫んでみただけよ」

 淫語。その言葉に顔を真っ赤に染めて横を向いてしまう。

「……恥ずかしすぎるぞ」

「へーえ? でも緑好きでしょ?」

「なっ!? そ、そんなわけない……」

 図星である。緑は自分でも知らなかった性癖を暴露されてしまい、困惑する。

「前から思ってたけど、おちんちんを『チンポ』とか『ぶっとい』って言うと喜ぶから、そういうの好きかなって」

「は!? なんでその事を……じゃなくて! 違う! 絶対違うぞ!」

「……緑のザーメン工場に、まだ精液在庫たっぷり残ってるでしょ? それを全部ビュービューって出荷して、私の卵子に届けて赤ちゃん孕ませたくないの?」

「わーっ! バカバカ! ていうかお前も慣れてないだろ! 上手くないぞ!」

 子供などできないのは百も承知だが、そう言われた緑は色々と想像してしまいまた興奮を表してしまう。手で耳を塞ぎ、真っ赤な顔をぷいと横に向けてしまった。

「上手くない淫語でまーたチンポバキバキにおっ立ててる人が何言ってるのかしら。……シコシコされたい?」

「~っ!」

(やだ、恥ずかしくなってきた)

 緑の性癖暴露といういささか激しいピロートークをしていたら恥ずかしくなってしまい、菜々まで恥ずかしなり顔を見られなくなってしまった。

 背を向け合って横になる事数分。次第に強くなる眠気に最初は抗っていたが、それ以上話すことも見つからず睡魔に負けようとしていた時。
 不意に後から髪を触る感触がして、菜々はゆっくりと緑の顔を見た。

「ん……」

 緑は、菜々の髪をひと房手に取り、匂いを嗅いでいた。

「何やってんの」

「菜々の髪の毛、いい香りがする」

「……ありがと」

 柄にも無く素直に感謝すると、緑はそれをある種の同意だと受け取ったのか紅い髪に顔を埋めて思い切り匂いを嗅ぎ出した。

「ちょ、ちょっとやめなさいよ……」

「……柑橘系の香りか?」

「やっ……恥ずかしい!」

「あう……」

 菜々は緑の頭を両手で引き剥がし、頬を膨らませる。

「むー」

「悪かった。つい、な?」

 緑は両手を顔の前に広げ、片眉を上げて笑った。

「つい、じゃないわよ。さっさと眠りなさい」

「これ以上怒られてはたまらないな。そうするとしよう」

「ちょっ、そう言いながらなんで顔近づけて……って近い近い!」

 キスされるのかと身構える菜々だったが、実際は額を付けられるだけに留まった。
 柔らかな香りと暖かさが、前頭部を通して菜々の身体に染み渡っていく。

「おやすみ」

「おおお、おやすみ……」

(じゃないわよ! 今ので眠気全部吹き飛んだわよ! 心臓バクバク言ってるし!)

 緑は半分寝ぼけながらやったらしいが、やられた方の菜々はたまったものではない。暫く心臓が痛くなるほど緊張していたが、緑の寝息が聞こえてくると落ち着きを取り戻した。

(……よ、よく見ると寝顔可愛いわね)

 夢を見ているらしく、超至近距離にある顔が時折不安そうにしたり、悲しげに眉をひそめたりして歪む。

(……怖い夢を見てるのかしら。いいわよ、安心して)

 そう思った菜々は優しく緑を抱きしめ……すると、緑の顔が安心したように微笑んだ。

(よしよし。それでいいのよ)

 額だけでなく体全体で相手を抱擁し、足を絡ませ温かさを共有しながら、二人は深い深い夢の中へと落ちていく……。



 携帯のアラームが鳴り、緑はいつもの慣れた手つきで一瞬にして止める。起きるのも一瞬なら止めるのも一瞬。二度寝に入るのもまた一瞬だった。

(………………そろそろか)

 寝るとは言っても、一応意識はあった。体感時間で約10分。いつも緑が食堂に行く時間になる。

(……ん……んんっ!?)

 だが、実際には40分近くが過ぎ去っていた。意識が飛んでいたらしい。携帯を投げかねない勢いで起き上がる。

「おい菜々! 起きろ!」

「んにゅう~なーにー?」

「飯だぞ! 早くしないと閉まってしまう!」

「んー? んー……ご飯?」

「そうだ! ほらっ! 早く着替えろ! 私のを貸してやる!」

 ドタバタと支度を始める緑の雰囲気に無理やり起こされた菜々だったが、緑よろしく時計を見ると目が覚めたようである。

「んー……ふあっ!? 後20分で閉まるじゃないの!」

「そうだ! だから早く……」

「ん……ふふ……あははは!」

 しかしどうしたことか、慌てているはずなのに菜々はいきなり笑い始める。しかもとても幸せそうだ。

「何を笑っている!」

「だって緑が慌ててるのが面白くって……しかもご飯の事で! ……それに……」

 菜々はいつも見ない緑の様子に笑いながら、目から涙をこぼす。そんな彼女の様子を見て、なおも急かすことが出来るほど緑も図太くはなかった。

「ちゃんと食欲あるんだって思ったら安心して……」

 本当に、柔らかな顔で笑うものだと関心さえ覚える。嬉しそうに目を閉じ、そこから涙を流しているのに、はにかみながら笑っている。
 安堵の笑顔は伝播し、緑もまた肩の力を落として静かに笑った。

「……全く。大丈夫だと言っているだろう。ほら、置いていってしまうぞ」

「あ、もう待ってよ……」

 緑は菜々な頬にキスをすると、シャツを羽織る。菜々も涙を拭うと、緑に遅れて着替え始めた。



「おっそいねー」

「このまま来ないんじゃないだろうね」

「心配です……」

 食堂では既に食べ終えた三人が緑と菜々を待っていた。
 人も大分捌け、疎らに残ったハンター達が駄弁っているばかり。
 天井のLEDが柔らかなオレンジ色の光で多数のテーブルを彩っている。

「うむむ、これは何かあったに違いないよ!」

 菜津美の少し妄想が入った考察が開始され、楽はまた面倒な事を言い始めたぞと適当に返事する。

「何さ」

「可能性は三つ! 一、また喧嘩して二人共部屋に引きこもった!」

「やめてくれよ。最悪のパターンだ」

「最悪……? 楽ちんは甘いなあ……。二、喧嘩して殴り合いになった!」

「いや、流石にそれは……というか、なんでそんな事考えておいてテンション高いまま話せるんだい?」

「肉体言語ってあるじゃん……いや今思いついただけです、はい。いやね? もちろん三つ目の可能性が高いと踏んでいるからだよ?」

「三つ目?」

「そう! 可能性その三! それは……」

 菜津美が最後の可能性を言いかけたところで、騒々しく二人が食堂に入ってくる。
 慌ててはいるがどことなく楽しそうだし、何より二人で笑顔で会話している。誰の目にも、仲直りできたのは明らかだ。

 菜津美はそんな二人を見て、ドヤ顔で一番言いたかったことを言い切った。

「三つ目の可能性……それは! 仲直りイチャラブセックスして滅茶苦茶疲れたからなかなか起きてこない、でした!」
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