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少女達の守護者
52体目 少女と守護者の戯れ5
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「お前、頭おかしいんじゃねえのか?」
「何がです?」
「俺は! 荒獣が大嫌いなんだぞ? 今すぐこの頭と胴体を引きちぎっても良いんだぞ? それなのに頭を触らせるってどういう事だ?」
「でもそんな気は無いんでしょ?」
「……怖くねえのかよ」
「ぜーんぜんっ」
終始威嚇し続ける良太郎と、動じてないように
振る舞うレモン。やはり心配な楽が誠一郎の言葉を否定する。
「いや、やっぱり敵対してますよ」
「いえいえ、あれは反応を見ているのです」
「どうしてそう言い切れるんですか」
「では、私が良太郎の言葉を訳しましょう」
誠一郎はコホンと咳をすると、良太郎の言葉の後に訳を続けた。
「ふん……しっかし『レモン』かよ」
『確か、貴女の名前はレモンでよろしかったですか』
「……何ですか?」
「だっせえ名前だな」
『可愛い名前ですね』
「……ちょっと、言っていいことと悪い事があります。この名前はご主人様から貰った名前です。この名前を侮辱する事は許しません」
「お……おお?」
「分かりましたか?」
「……へっ、そーかよ。大層なお名前のようで。精々ご主人様とやらに感謝してな」
『ああ、そうですか。失礼しました、随分思い入れがあるのですね。ご主人様は良い人だったのですね』
「……あなたには分かりませんよ!」
「ああ、分かんねえな。そんなに好きになれるたあおめでてえこった」
『ええ、きっと僕では分からないほど素晴らしいご主人様だったのでしょう。そこまで好き合えていたのなら、喜ばしい事ですね』
「え、何この初見殺し」
会話が途切れても理解が追いつかず、楽は(当然だが)意味が分からないという顔をしていた。
頭の上にはてなマークが透けて見えそうな顔になる。
楽の理解が追いつかないまま、会話は再開された。
「……ま、そのご主人様とやらもどこ行っちまったんだかな」
『それだけ素晴らしいご主人様はどこにいらっしゃるのでしょうね』
「……」
「なんだ、何も分かってねえ感じだな? 残念残念」
『何もわからないのですか……残念な事です』
「……」
「おい、泣いてんじゃねえよ。おい……あーめんどくせえな! 今は別のがいんだろ。それで我慢してろよ!」
『ああ泣かないでください。調子が狂ってしまいます。今は楽様がいるのですから、あまり悲しげな姿を見せるのも失礼ですよ』
「でも……やっぱり悲しいです」
「あーはいはい、この話をした俺が悪かったよ。すみませんでしたー」
『……』
「あ、そこはそのままなんだ?」
この翻訳は本当に合っているのかと疑念を抱きつつも、誠一郎の言葉に注意する。
「……お前さ、正直人間の事はどう思ってる」
『見識の違いがあると困るので聞きたいのですが、正直人間の事はどう思っていますか』
「色んな人がいると思ってます。楽様のような、とてもとても優しい方から……あなたのような嫌味な方まで」
「悪かったな嫌味で」
『すみませんでした。嫌味に聞こえてしまったなら、以後気をつけます』
「そういうあなたは荒獣が嫌いなんですよね」
「ああ、嫌いだ。一応お前は味方だが……俺は……いや、止めておこう」
『……』
(これは本当の事か)
「どうしたんです?」
「人がわざわざ止めたのに聞くなよ……妹を殺されてな」
「う……」
「それで人生も性格もねじ曲がっちまった。まーなんだ、そういう事で荒獣は嫌いだ、が、味方ならまあ見逃してやる。あんまり酷いことすると後ろの女神様に怒られそうだしな」
「……」
「お前、さては素直だな?」
自分語りをした途端、黙り込んでしまったレモンに良太郎は茶々を入れる。
「……悪いですか」
「おう、バカって言い直そうか?」
「むっ……」
「俺みたいな奴はゴロゴロいんだ。店の中に入ってもそれじゃ長く持たねえぞ」
「!」
良太郎は最後に、クシャクシャと頭の毛を撫でて一人寂しく先頭を歩く。
一匹狼。あくまでクールに。おかげでレモンは随分顔を赤くしてしまった。
「あのように、良太郎は『気になっているのにどう接していいか分からず、ついついキツい言葉を投げかけてしまう上に、少々のイタズラをして反応も見たい』という大変純情かつ可愛らしく、それ故に時折見せるイケメンが最高に丁度いい具合な男なのです」
「……一つ、言っていいですか」
「はい」
楽は目を瞑りながら、険しい顔をしてその場で小さく叫んだ。
「小学生かよ!」
「何がです?」
「俺は! 荒獣が大嫌いなんだぞ? 今すぐこの頭と胴体を引きちぎっても良いんだぞ? それなのに頭を触らせるってどういう事だ?」
「でもそんな気は無いんでしょ?」
「……怖くねえのかよ」
「ぜーんぜんっ」
終始威嚇し続ける良太郎と、動じてないように
振る舞うレモン。やはり心配な楽が誠一郎の言葉を否定する。
「いや、やっぱり敵対してますよ」
「いえいえ、あれは反応を見ているのです」
「どうしてそう言い切れるんですか」
「では、私が良太郎の言葉を訳しましょう」
誠一郎はコホンと咳をすると、良太郎の言葉の後に訳を続けた。
「ふん……しっかし『レモン』かよ」
『確か、貴女の名前はレモンでよろしかったですか』
「……何ですか?」
「だっせえ名前だな」
『可愛い名前ですね』
「……ちょっと、言っていいことと悪い事があります。この名前はご主人様から貰った名前です。この名前を侮辱する事は許しません」
「お……おお?」
「分かりましたか?」
「……へっ、そーかよ。大層なお名前のようで。精々ご主人様とやらに感謝してな」
『ああ、そうですか。失礼しました、随分思い入れがあるのですね。ご主人様は良い人だったのですね』
「……あなたには分かりませんよ!」
「ああ、分かんねえな。そんなに好きになれるたあおめでてえこった」
『ええ、きっと僕では分からないほど素晴らしいご主人様だったのでしょう。そこまで好き合えていたのなら、喜ばしい事ですね』
「え、何この初見殺し」
会話が途切れても理解が追いつかず、楽は(当然だが)意味が分からないという顔をしていた。
頭の上にはてなマークが透けて見えそうな顔になる。
楽の理解が追いつかないまま、会話は再開された。
「……ま、そのご主人様とやらもどこ行っちまったんだかな」
『それだけ素晴らしいご主人様はどこにいらっしゃるのでしょうね』
「……」
「なんだ、何も分かってねえ感じだな? 残念残念」
『何もわからないのですか……残念な事です』
「……」
「おい、泣いてんじゃねえよ。おい……あーめんどくせえな! 今は別のがいんだろ。それで我慢してろよ!」
『ああ泣かないでください。調子が狂ってしまいます。今は楽様がいるのですから、あまり悲しげな姿を見せるのも失礼ですよ』
「でも……やっぱり悲しいです」
「あーはいはい、この話をした俺が悪かったよ。すみませんでしたー」
『……』
「あ、そこはそのままなんだ?」
この翻訳は本当に合っているのかと疑念を抱きつつも、誠一郎の言葉に注意する。
「……お前さ、正直人間の事はどう思ってる」
『見識の違いがあると困るので聞きたいのですが、正直人間の事はどう思っていますか』
「色んな人がいると思ってます。楽様のような、とてもとても優しい方から……あなたのような嫌味な方まで」
「悪かったな嫌味で」
『すみませんでした。嫌味に聞こえてしまったなら、以後気をつけます』
「そういうあなたは荒獣が嫌いなんですよね」
「ああ、嫌いだ。一応お前は味方だが……俺は……いや、止めておこう」
『……』
(これは本当の事か)
「どうしたんです?」
「人がわざわざ止めたのに聞くなよ……妹を殺されてな」
「う……」
「それで人生も性格もねじ曲がっちまった。まーなんだ、そういう事で荒獣は嫌いだ、が、味方ならまあ見逃してやる。あんまり酷いことすると後ろの女神様に怒られそうだしな」
「……」
「お前、さては素直だな?」
自分語りをした途端、黙り込んでしまったレモンに良太郎は茶々を入れる。
「……悪いですか」
「おう、バカって言い直そうか?」
「むっ……」
「俺みたいな奴はゴロゴロいんだ。店の中に入ってもそれじゃ長く持たねえぞ」
「!」
良太郎は最後に、クシャクシャと頭の毛を撫でて一人寂しく先頭を歩く。
一匹狼。あくまでクールに。おかげでレモンは随分顔を赤くしてしまった。
「あのように、良太郎は『気になっているのにどう接していいか分からず、ついついキツい言葉を投げかけてしまう上に、少々のイタズラをして反応も見たい』という大変純情かつ可愛らしく、それ故に時折見せるイケメンが最高に丁度いい具合な男なのです」
「……一つ、言っていいですか」
「はい」
楽は目を瞑りながら、険しい顔をしてその場で小さく叫んだ。
「小学生かよ!」
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