ランブルビースト ~獣が強くて人類滅亡の危機なのでビッチがセックスで戦います~【東京編】

扶桑のイーグル

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少女達の守護者

59体目 少女と守護者の戯れ12

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 日は完全に暮れ、星が輝く頃。数時間も歌いまくった一同(正確に言えば、11番室の五人)はお腹を空かせて、レストランへと歩いていた。
 全てのビルが煌々と……とは行かないが、陸の孤島となった今でも皇都は明るく輝いている。
 外壁に沿って並んだ風力発電、あらゆる建物の屋上に設置された太陽光発電、そしてたまに輸入できる石油を大切に使う火力発電が皇都の貧窮した電力事情を支えていた。

「お腹すいたよ~……レモン……羊……ラム肉……」

 ジュルッ……と音を立てて奈津美がレモンを食い入るように見つめる。

「美味しくないですっ!」

「や、やめるんだ奈津美……うう、力が……」

 レモンは半分涙目になって楽の後ろに隠れる。立ちはだかる楽に、奈津美は肩を寄せてしなだれかかる。その重さに耐えかねた楽がフラフラと押された。

「張り切りすぎた……」

「この程度で隊長だらしねえっす」

「おう隼、腹鳴ってるぞ」

 疲れ果てた刀也に隼が茶々を入れるも、やはり空腹は隠せない。僅かにキュルルと鳴ったお腹の音は刀也にも聞こえた。
 そんな周りの様子にイラついた良太郎が空挺三人衆に指示を出す。

「あーどいつもこいつもだらしねーな。後100mだから走れ」

「走れ!?」

「鬼! 悪魔! 鬼畜!」

「下を使い潰すクソ上司!」

「文句あんのか空挺」

「うす、すんません。ダッシュしてきます」

 良太郎の命令でダッシュする三人組。不憫である。
 三人は夜の街を灯りに照らされながら駆け抜け、ある場所で立ち止まった。

「100じゃ足りねえな。食い終わったら一万だ一万」

 走ってもケロリとした顔で店の前にいる三人を見て、良太郎が不満そうに呟く。

「ま、今日くらいはいいんじゃないですか。明日三万ほどやるとして」

「それもそうだな!」

 などと、良太郎と誠一郎がどう虐めるかの話をしている間に一同はレストランへ着いてしまった。

 パパミラノ……ローマ風のイタリアンレンストランだ。

「わーピザだー!」

「パスタもあるぞ」

「パエリアも美味しそうね」

「ムール貝……一度食べてみたかったんですよね……」

「チーズフォンデュ……これにしようかな」

 ショーウィンドウに並んだサンプルを見て舌なめずりする少女達。何を食べるか大体の検討をつけると、雪崩込むように店の中へ入っていった。



 注文を終え暫く待っていると、最初の一皿を皮切りに続々とイタリアン料理が皿に乗って運ばれてくる。みんな陽気な感じの店内で楽しく食べ始めた。

「おいしぃー! ヒーズのひるうー」

「奈津美くんは慌て過ぎだよ……うん、でもこれ……チーズも熱々でしかも濃厚……」

「ほへー……ムール貝ってこんな味だったんですねー……」

「……な、菜々! 少し食べてみるか?」

「え、ええ! いただくわ! み、緑もこっちの……」

「う、うむ!」

 一人騒ぐ奈津美。自分も食べつつ自然体のまま食べさせ合う楽とレモン。それに触発されて慌てて食べさせ合う緑と菜々。
 若干騒がしい少女達の隣で、男達はあくまで静かに料理を楽しむ。

「……楽なのは今日までか」

 緑と菜々の楽しそうな姿を見ながら、ボソッと刀也がため息混じりに呟いた。

「言わないでくださいよ隊長」

「まーでも事実だな」

「ああ、その通りだ空挺。明日からは忙しいぞ」

「護衛対象が一人増えますからね」

 久々のまったりとした時間に浸ってしまった男達は、ため息を吐きつつも心の準備を整えていく。

「……もうちょっと女の子と話したかったっす」

 僧帽が隣ではしゃぐ奈津美を横目で見ながら呟いた。それは皆同じだったのか、首を縦に降る。

「言うてお前途中からこっち(男)サイドだったじゃねえか」

「そーなんすよねえ。なーんでこっち来ちゃったかな」

「……多分、気を使う割には楽しくないんですよ」

 隼が的確に理由をついてくる。そう、本来彼らと彼女達は性格も年齢も色々な所が違うのだ。どうしてもどちらかが気を使い合わせる事になる。

「奇遇だな、空挺の。俺もそう思ってたところだ」

「気を使うから面白くなくなるやつか」

「あー……きっとそれっす」

「それよりも男同士でバカやってる方が楽しいんだな」

 刀也が結論を出したところで、良太郎が最後に耳痛な事を言って締めくくる。

「お前ら彼女できねえだろ」

「「「うるっせえっす」」」

 余計なお世話だと言わんばかりに声を揃えた空挺三人衆。それに笑う良太郎と、微笑を浮かべる誠一郎。
 護衛対象との親善という本来の目的とは若干違う結果となってしまったが、護るもの同士での契りは結ばれた。

「くっくっく、お前ら息ピッタリだな。……よろしく、空挺」

「こちらこそよろしくお願いします」

 握手と同時に、漢の約束は交わされた。

「……」

 男の会話が収まると、良太郎はレモンの頭に手を伸ばす。
 クシュクシュと、出会った時と同じく毛を弄り始めた。

「ふぁっ……何ですか」

 レモンはいきなりだったため、少しぶっきらぼうになってしまう。
 数拍置いて、良太郎がまたいつもの口調で喋り出した。

「はん、今も目線感じてんじゃねーの? 嫌なら今すぐ泣いて逃げ出してもいーんだぜ? なんなら俺が抱っこしていってやろうかぁ?」

「っ……」

 良太郎の言うように、レモンは店の内外から目線を感じていた。半分ほどは嫌な目線のように思える。もう半分も、好意的なものは少ないように思えた。

「逃げません」

「そーかよ。強がってんじゃねっつーの」

「強がってなんか……」

 反論しかけて、レモンは自分を落ち着かせる。なんとなく良太郎の悪口に隠された言葉が読めてきたからだ。

「……あ、どうした。泣くのか? 泣くのかぁ?」

「……心配ありがとうございます」

「ぶっ」

 レモンが突然満面の笑みで「ありがとうございます」などというカウンターを入れてきたものだから、良太郎は飲んでいた水を吹き出してしまった。
 照れ隠しも含んでいるのか盛大に咳をしながらレモンの頭をごしゃごしゃと乱暴にかき回す。

「バカかお前っ……ゲホゴホ……誰が心配なんか……」

 良太郎は嘘をつくが、レモンはもう確信を得ているため全く意味がない。しかもレモンが無言で腕に抱き着いてきたため顔が真っ赤になり、嘘をつくことさえできなくなってしまった。

「……クソが、覚えてろ……」

「♪」

 レモンの良太郎に対する誤解が解けた辺りでデザートが出てきて、甘味を取った女子勢が幸せに浸ったところでお開きになる。

 帰り道は来る時よりもずっと落ち着いた感じで誰も挑発したりふざけたりすること無く、雑談をしながら夜道を歩いていった。

 優しくて強い男達が守ってくれるという安心感を。可愛くて救世主となる女神を守るという決意を、それぞれに抱き信頼し合う。あくまで友達でも恋人でもなく、良き仲間として認識したのである。

 月明かりの中、いい感じに関係が熟れた一同は基地の外で別れを告げ、気持ちの良さそうな笑顔で自分の部屋に帰っていくのだった。
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