ランブルビースト ~獣が強くて人類滅亡の危機なのでビッチがセックスで戦います~【東京編】

扶桑のイーグル

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スピードガールズ

91体目 スピードガールズVR 2

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 総勢7台のマシンが二列に並び、レース開始前から唸りを上げている。

『今からニュルを一周だけやって、その後は実際の作戦経路を流すよ。じゃあ頑張ってね! 』

 西がそう言い終わると同時に、レース開始のカウントダウンが始まった。

(並び順は楽と鈴谷、良太郎と誠一郎、奈津美と菜々、そして最後に私か)

 緑は86のエンジンをふかしながら現状を確認する。

(……ふ、いい配置だ。全員抜いてやる)

 強気でニヤリと唇を歪め、青信号になる瞬間にクラッチを繋いだ。

「GO!」

 僅かな空転を残してコースの白線を飛び越えていく。

 真っ先にトップへ躍り出たのは鈴谷のGT-Rだった。軽々と吹き上がったエンジンが重量級の車体を押していく。
 だからといって、タイヤがスピンすることは無い。早く、だが着実に。車重でひたりと地面に吸い付き、ヌルリと加速していく。
 成熟した、豊満な女性のような堂々とした走り。それが、表面に蜜でも塗られているかのような輝きをたなびかせて地面にたわわなボディを押し付け突き進む。

(この車の加速が遅いのは分かりきっている。だからこそのエンジン強化なのだが……あの車は一体どうなっている)

 GT-Rは緑が驚いている間に、一つ目のカーブをパスして目の前から消えてしまった。楽のNSXも追随して木の向こうへと走り去ってしまう。

「おい奈津美、あの二台はなんだ」

「なんだ、って何?」

「あの加速だ。見たか?」

「見るも何も、最初から分かってる事だよ。GT-Rは100kmまで加速するのに2.7秒、NSXも3秒の化け物だから」

「なんだその……数字は」

 緑は驚異的な加速に畏怖の念を抱き、だが闘争心は逆により大きく燃え上がらせて最初のコーナーを曲がる。

「究極のスポーツカーだよね」

「ふん、なら腕で抜き返すだけだ」

「ちょっ、もう抜かされ……」

 幾つ目かのカーブで、緑は菜々を抜く。元々低重心で峠道が得意な86に手を加えたGRMN仕様で、更にエンジン増強に伴い足回りも改造してあるのだ。勿論菜々のロードスターだって手は加えてあるが、エアロは無くどうしてもカーブでは一歩遅れがちになる。

 そして……。

「奈津美、その車では重心が高すぎてキツいんじゃないのか?」

「エアロの力を舐めないでほしいなあ……って、そっちも組んでるか」

 見た目からは想像もつかないほどしっかり走るミニクーパーだったが、カーブで外側に膨らんだ隙を突かれて緑に抜かされてしまった。

「次は、良太郎。お前か」

「あ? 抜かさせねえぞこら」

 颯爽と良太郎のエボXに追いついた緑。しかし今度はなかなか抜けない。良太郎の運転は荒いながらもカーブのイン側をしっかりと抑えており、エンジン出力と動力性能、そして四輪駆動のパワフルさで風を押しのけて走るのだ。
 鍛え上げられがっしりと筋肉のついた相手に、美しいがすらりとして線の細い86GRでは正面からヤリ合っても勝ち目は薄い。

(飛躍的に上手くなってる……。練習の成果なのか? だとしたら一体何時間やりこんだんだ?)

 緑がそう思うのも無理はない。良太郎はコースアウトばかりしていた昨日から生まれ変わったように走る。オーバースピードになることも無く、タイトなコーナーもドリフトで流していく。
 その軌道は曲線をなぞる女の指先。さらりと、だがいやらしくなぞるように押し込むように。

 これほどの腕になるまで要した時間……実は、奈津美の言った「ドリフト全種類できるまで帰れま10」から2時間だけである。

(今の俺には見えるぜ……はっきりと、この車がどこへ行こうとしてるか!)

 そう、ここまで上手くなれた秘密は、良太郎の持つスキルを走りにも応用できたからであった。
 次の瞬間、どこへ移動しているのか。どうすれば理想の位置につけるのか。それら全てが「視えている」。

(内側は取らせてくれない……なら、外側から攻める!)

 ならばと緑はアウト側に移動した。道幅は広いため、不利ではあるが抜ける可能性は出てくる。
 アクセルをめいいっぱいに踏んで鼻面をエボの横に押し込むが、カーブでは押さえつけられてしまい抜けない。

 やはりマウントの取り合いでは力不足。スタミナと集中力をじりじり削られていく。
 エンジンが苦しそうにうめいた。

(厳しい……)

 レースはもう中盤。比較的長い直線が続き、詰めたはずの差も引き離されてしまう。しかも一瞬ではあるが良太郎はニトロを噴射。一気に置いていかれてしまった。

(う……く……昨日よりも一段と加速が良くなっているとはいえ、やはりニトロを使われては無理か……いやまてよ。ニトロ……? ふむ、やりようがあるかもしれない)

 何かを考えついた緑は、良太郎に遅れてカーブへと飛び込んでいった。



 一方でGT-RとNSXの二台は終盤の比較的緩やかなカーブを次々にパスし、熾烈な一位争いを繰り広げていた。

 どちらも車体は重いが、足回りを強化したことで挙動はより確実になっている。

(スーパーカーにも劣らないこの車で負けるわけにはいきませんわ!)

(勝つ理由は特にないけど、やっぱり負けるのは癪に障るね。抜かせてもらう!)

 最後の直線に入るまでもう少し……二人の親指がちらちらとニトロのボタンに触れるのだった。



「追いついたぞ」

「くそ早え……」

 緑の方が遅れてきたはずなのに、カーブ二つで差を詰められてしまった事に良太郎は悪態をつく。

 カーブ、特に急なカーブは、パワーがあって重い車よりも軽く低重心な車の方が有利だ。とはいえ、それを加味しても緑は速かった。

「けど、さっきと同じで頭抑えてりゃあ……」

「そうか?」

 最初のカーブと同じ、侵入と離脱で方向が180度も変わる急激なコーナーへ二台が入っていく。さっきまでとは違い、緑が良太郎の後ろにピタリとついていく状態である。
 二台は突起となった雄々しい曲線をなぞり上げる。白線に片輪を押し付け、なぞる。

 二つの点が、先端へ飛び込んだ。

 グッと速度を落としてカーブを曲がる。ここでドリフトをすれば、先のように鼻面くらいは突っ込めただろう。だが緑はあえてドリフトはせず、普通に曲がった。

 そして、曲がり終える直前、緑は親指に力を込めた。
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