ランブルビースト ~獣が強くて人類滅亡の危機なのでビッチがセックスで戦います~【東京編】

扶桑のイーグル

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大洗港奪還作戦

94体目 スピードガールズSerious 2

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 地面の下から太陽の元へ出ていく。道路の両脇にちらほらと観衆がいる以外には、政府の広報やテレビ局、動画サイトのカメラが硝子ガラスの目を見開いているのみである。

 その無機質なレンズの前をMCVが走り抜けていく。航空機用エンジンを搭載する暴挙が、装甲車にスポーツカー並の戦闘力を与えた。
 立派な砲塔を空に向け、前進する。

「日本国軍は健在である」と、国民に世界に知らしめるために、巨大な唸り声をあげる。

 その後ろに、日本のスーパーカーLFAが護衛を伴って続く。

 スーパーカー。速く、美しく、スポーツカーよりも一段上の存在。
 動力性能、空力、エンジン、駆動系、タイヤ、それら全てが高い次元でまとめられている。

 さらに後ろ、八雲の乗ったS660が往く。
 軽自動車でありながら、走りに全ステータスを振ったこの車の動きは軽快の一言。
 重量配分とブレーキ径の大きさから来る制動力もトップクラスで、ギリギリまで加速し続けられる。

 そして最後に、7台のスポーツカーが横一列に並んでカメラの前を通り抜けていった。

「……この視線は、なかなか悪くないな」

 緑は自分の事を両サイドから見つめるカメラに対し、一種の優越感を感じていた。
 自信家として、世界に映っているという認識は心地よいものに感じられるのだ。

「へいへーい! お楽しみのところ悪いんだけど、一先ず確認だよ!」

 不意にナビの電源が点き経路が表示され、同時に西の声が飛び込んでくる。

「経路は表示されてる?」

「ああ、問題ない」

「オッケー。荒獣がいたり、道路が崩れてたりしたらそれも表示される予定だから、そのナビはしっかり見ておいてね。後は、目の前のHUDはどう?」

 ハンドルの奥に設置された手のひら大のパネル。
 その両端が薄緑色に光り、速度や車両の状態などが表示された。

「色々映っている」

「オッケーだね。この先高速道路に入るから、そこから加速していいよ! 具体的には上がっていくところからね」

「分かった」

「それじゃあ楽しんでねー」

 忙しいのか、このハイテクに関して特に触れることも無く無線が切れた。

 西はどうやら一人一人に直接確認しているらしく、隣の奈津美が口を動かしている様子が見える。

 その時、前方を走っていたMCVがレシプロエンジンの音を豪快に吹き上げて坂を登り始めた。

 先行し、障害を予め排除するという命を受けたMCVは、大重量高車高というおよそスポーティーな走りには向いていないガタイでありながら誰よりも先にいなくてはいけない。

 そのためにLFAより三十秒も速く出発しているのだ。

 追いかけたい気持ちを押さえ、スピードメーターが40前後を指すよう維持する。

 続いてLFAが護衛と共に加速。鋭く上昇していく。
 次にS660が。軽の面影もないエンジンを載せた事で軽々と登り終える。

 近づく。高速道路の入口が。僅かに隆起りゅうきし、そのままなだらかな坂になっているアスファルトの変化が。
 前輪が盛り上がりに押され、サスペンションが衝撃を軽減して僅かな押上感だけを伝えてくる。

 時速40kmの枷は外された。

 まだるっこしそうにドロドロと音を立てていたエンジンのメーターが振り上がる。

 咆哮とも、嬌声とも言えるエンジン音がくぐもって操縦席に充満する。
 タイヤが悦ぶように短く鳴った。

 左回りのカーブを駆け上がり、環状線の白線を踏む。

 強化された獣達は悠々と100km/hを超え、直線を加速していった。



「MCVよりLFAへ。呉橋クリア、江戸橋クリア。……江戸橋ジャンクションクリア」

 砲塔を高くあげてMCVが疾走しつつ、荒獣がいない事を逐一ちくいち伝えている。

 通常のMCVに比べ、ギリギリまで下げられた車高は安定したコーナリング性能を生んでいる。車体の幅がある事も幸いし、横転しそうな感じは少ない。

 26tの車体は八輪のタイヤで支えられ横風にはビクともしないが、巨大な遠心力は僅かな旋回でも速度を落とさせた。

 箱崎と呼ばれる区間に入る手前、緩やかにだが90度も曲がる場所がある。
 大幅に速度を落とさざるを得ないが、速度を落としすぎるとLFAに追いつかれる。

(あまり使いたくは無いが……)

 MCVの運転手は「スポーツモード」ボタンを押した。

 即座に電子制御システムが駆動部へ積極的に介入する。

 それまで歩調を完全に合わせていた八つのタイヤが、全て個別に動き始めた。
 それぞれ別の生き物のように動いて路面をなぞる。

 MCVがカーブに突っ込む。外側に膨らんでいく。センサーが過剰Gを感知し、制御をかける。

 車体の移動方向を向いていたタイヤが一斉にカーブ内側を向いた。
 ゴムの擦れる耳障りな音が響く。帯熱たいねつし、捻じれてなおも動きを伝える。

 巨大な力がタイヤによって相殺されると、タイヤは車体と同じ向きに戻る。

 外側に大きく膨らみクラッシュするはずだったMCVは、タイヤの向きを変える事で何事も無かったかのように高速走行を維持した。
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