ランブルビースト ~獣が強くて人類滅亡の危機なのでビッチがセックスで戦います~【東京編】

扶桑のイーグル

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大洗港奪還作戦

96体目 スピードガールズSerious 4

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(こいつが仕掛けてくるとしたら、ここしかねえだろ)

 緑の前に出た良太郎。だが、その結果常に後ろからのプレッシャーを受ける事態に陥っていた。頭を押さえられても攻撃の手を緩めさせるには至らなかったのだ。
 逃げ切りを図るエボXだが、タイヤは熱でダレ始めている。じっとりと焼かれたゴムが路面に張り付きパフォーマンスを落とす。

 だから、あえてパワーを捨ててテクニックで勝負することを決めた。

(良太郎も分かってるな……正直難しい。いけるか?)

 良太郎は速度を上げることよりも、緑より内側を綺麗に走る事を選んだ。

(鼻面さえ突っ込ませねえ。この先は一般道。高速より道が荒れてるから速度が落ちる。俺と三瓶の速度がほぼ同じになっちまう。だが後ろにつかせたままなら、あいつは俺の後背を拝み続けることになる……そうさせてやる!)

 下りの連続カーブがハンドリングの難易度を一段高くしている。アクセルを踏み込めない。逃げるための攻めがどうしても緩む。
 それでも良太郎はインコースから離れない。緑の86はエボを抜けない。

(抜けないなら……外から行く!)

 連続カーブの最後、緑はインコースを離れわざと外側に膨らむ。移動距離こそ長くなるが、Gが減る分速度は出せる。
 ガードレールが近づく。恐怖。緑は負けない。

 カーブが終わった時、良太郎のランエボが寄せて邪魔できる車間距離は一切なかった。

(ケツに鼻面突っ込まれた……!)

(貰った)

 86のマフラーから爆発のように炎が吹き出る。それは勝利の華炎かえん。悦びに車体が震えた。
 ランエボの右に並び、じわじわと追い抜く。追い込まれるランエボ。後は無い。あがくこともできず、敗北を喫する。

 次のカーブが終わる頃には、86は良太郎の目の前を走っていた。




「ゆる~いカーブが連続した後直線になって、またゆるーいカーブ。周りに見えるのは荒れ果てた田んぼ。道の状態も悪くない。最高に飛ばせる、だけど田舎すぎない田舎道って感じするよね! 私いいと思う!」

「良くわかんないわあ……」

「僕はもう少し楽しめる道を所望するよ」

 ミニクーパーを先頭に、ロードスターとS660が広い平地を駆け抜けていく。エンジンの甲高い遠吠えがなければ、一見牧歌的な風景に見えなくもない。
 三人はタイヤが減ることを嫌がり温存する戦略をとっていた。だが、もちろん一位は狙っている。巻き返しは低速コーナー……筑波山で行うつもりだ。

「その車で楽しめるって言うと、山道だよね」

 すかさず奈津美が八雲のコメントに返しを入れる。

「うん。重くなっているはずなんだけど、高速走行ではタイヤが浮いてしまって恐怖そのものだね」

「あら、軽さがウリの車が重くなってたら、中途半端にならないかしら?」

 当然の疑問を菜々が呟く。だが、八雲は総合的に見て大丈夫と思っているようだ。

「要所は軽くしてあるから問題は無いと思う。ブレーキはノーマルだから、そこだけが気がかりかな」

「ふうん……そういうもの?」

「それよりななちーさあ、ずっと思ってたんだけどなんで開けてるの?」

 奈津美が、不意に菜々と八雲の会話に割って入った。

「何をよ」

「幌だよ」

 バックミラーで紅いロードスターを確認するその目は、複雑な渦を巻く風ではためくツインテールを見ていた。うっとおしくないのかと心配になる。

「風が気持ちいいからよ」

 菜々は片手で、いつ用意したのかサングラスを持ち上げて当たり前のようにそう言った。
 目が乾くのは、流石にうっとおしかったらしい。

「空力悪くなるよ?」

「何か問題でも?」

「あっはい」

 抜くことを諦め、もはや勝負よりも楽しむ事を優先している三人は先頭集団よりもゆったりと街道を進むのであった。




 ブレーキパッドが赤熱し、急減速する。直線を走り続けてきた三台は所定の交差点を右に大きく曲がった。
 荒れ果てた市街地を通っていき、橋を渡る。渡ってからほんの少し走ったところで、雰囲気がガラリと変わった。

 急勾配と急カーブがどこまでも続く悪魔のような道が、突如として姿を表す。その漆黒の翼を広げて待ち受ける峠道へ、スーパーカー率いる一団は躊躇せず突っ込んでいった。

 手入れされる事も無くなり昼でも薄暗いスカイラインをライトで照らしながらLFAが駆け抜ける。数多のカーブを草を刈るほどに攻めていく。

 鋭い目を光らせながら走り抜け、逆三角形に配置された三本のマフラーから炎を吹き出しながら、速く、疾く。

 二台の護衛も激しい動きに惑わされることなく、ピタリと車間距離を詰めたまま。阿吽の呼吸でついていく。長年寄り添ったパートナーのように。

 どこまでも洗練された動きで密着し、疾風の如き走りで空へと近づいていく。




 恐怖心は無い。

 この車なら、絶対にミスはしない。
 緑は目の前の二台を追いかけながら、余裕の表情で不敵に笑う。逆に、楽、レモンの二人は困惑していた。

「なんて事だ……」

「はわわ……」

 自分たちは間違いなく先に高速へ乗り、先に高速を降り、そして先に山道を降りるはずだった。
 それがなぜ、すぐ後ろにパンダカラーの86がいるのか。

 緑はまず楽のNSXを手玉に取る。後ろからプレッシャーで押し、相手の速度を乱してやれば……。

 想定通りNSXが外側に膨らみ、鼻先を突っ込むことができた。
 そして、次のカーブで緑の86が軽々と追い抜いていく。

 残るはGT-Rただ一台。

(鈴谷も同じようにして……)

 後ろからGT-Rをちょっと突いてやれば、体勢を崩してその隙に入り込める。

 そのはずだった。

『残念ですけど私、度胸と自信は人一倍ありましてよ』

「!?」

 すぐ後ろに緑が付いている事を知っていても、鈴谷はあくまで自分の走りを貫き通す。

 ミスも隙も無い走りに、今度は緑が焦り始めた。手玉に取るどころではない。こちらが先んじていないことを利用され、心の中を翻弄されている。
 最適なコースから動かないGT-R、車体を大きく揺らし急いでしまう86。

(こ、ここで抜かなければ……)

 運転が次第にラフになる。減速すべきところで減速しきれない。
 GT-Rとの差はむしろ縮まっているが、それは無理をしているからであった。

 ついに、タイヤに限界がくる。

「あっ……!」

 86が滑り、カーブで大きく膨らんでしまう。

「くっ! 曲がれ! 曲がってくれっ!」

 車体が道路に対して垂直に交差しているのかと見紛う程のキツいドリフト。ハンドルを限界まで切って、スピン一歩手前のピンチをやり過ごす。
 だがその代償は大きかった。減速した拍子にNSXが横を通り過ぎていく。

「くうぅ……いや、まだだ。まだあいつらの有利な土俵で戦ってる。それでも戦えてる。そしてここから先は……私が有利だ! 勝つ! 勝てる!」

 筑波山を通り抜ける場合の実質的な頂上となる峠……六つの道が複雑に交差し合う風返し峠を飛び抜け、叫んだ。
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