23 / 80
第2章 大輝にようこそ
23 喪失
しおりを挟む
大輝は悦子の覚悟を確かめるように表情を伺いながら薄いゴムを己の肉の上に伸ばしていく。眉間でチュッと音がし、大輝の唇がたった今触れたその部分に、悦子はいつしかぎゅっと皺を寄せていたことに気付いた。
「何が心配?」
と覗き込まれ、目を合わせられないまま唾だけを飲み込む。
「痛いんじゃないかって?。そうだね。まあ、ある程度は」
そう言って装着を終えると、大輝は先ほどの続きに戻り、悦子の首筋を舐め回しながら潤った膣の中を指でたっぷりと探索した。悦子があまりの気持ちよさに不安を忘れかけた頃、大輝の手に押された膝が間近に迫った。あっと思う間もなく、両脚は犬や猫のように無防備なMを描いていた。どうにでもしてくださいといわんばかりのその体勢に、布団の中とはいえ世にも甘美な羞恥を覚えた。
大輝が悦子から取り出した指をベロンと一舐めする。その光景に目を見張ると同時に、大輝の先端が入口を撫でるのを感じた。大輝は悦子の顔を覗き込みながら、
「ちょっとずつね」
と言い、侵入を開始した。意外と大丈夫かも、と悦子が気を緩めた瞬間、引き裂かれるような痛みが走る。思わず「いっ」と声を上げると、大輝はそこで一時停止して言った。
「痛いのは大体最初だけ。最後まで入っちゃえば、後は意外と大丈夫」」
(最後って……?)
大輝は悦子の下腹部を広く撫でながら言った。
「この辺全部、力抜いて楽にして。あと、息止めないでね」
そう言われて一度深呼吸する。次に大きく息を吸ったのに合わせて、さらにじりじりと押し込まれる感覚があった。我慢できず、悦子は獣のような呻き声を喉の奥から漏らした。
「痛いね。ごめんごめん。もうちょっとね」
大輝は悦子の耳たぶを口に含むと、食べようとするかのように耳全体を熱心にしゃぶった。抑えた息遣いが耳の中では増幅されて聞こえる。温かい舌が這い回るのが心地よくてごまかされそうになったものの、体の奥底の痛みは確実にそこにあった。飴玉をしゃぶらされながら予防接種を受ける子供はこんな気分だろうか。
「よし、もう大丈夫」
と囁く声が聞こえ、頬にそっと唇が触れた。
(大丈夫じゃない。痛い……)
痛い痛い痛い。目をつぶって耐えている間、頬や顎に何度も柔らかなキスが与えられた。すると、鋭い痛みがいつの間にか遠のき、奇妙な圧迫感だけが残った。
「よしよし、よく頑張った」
大輝に見つめられ、視線を返す。しかし繋がっている部分に意識を向けると、視覚的な焦点はぼけてしまう。自分の体に大輝が含まれ、恥骨同士が触れ合っていることがいつまでたっても信じられなかった。じきに太腿の内側がきしむような感覚を覚え、眉を寄せる。
「大丈夫?」
「脚が……」
「あ、疲れた? ちょっと座ってみよっか」
大輝は背中に載った布団を脇へよけ、悦子の首と腰を支えて抱き上げた。中の方に一瞬痛みが走り、大輝の太腿の上にまたがるような形になる。結合部を見下ろすと、大輝のペニスは根元まできっちり悦子の中に埋もれていた。ふと気付き、慌てて胸を隠そうとすると、そのまま抱き締められた。背中にそっと腕を回してみると、大輝の胸で自分の不格好な乳房が潰れるのが感じられた。
そんなことより、何だろう、この温かさは。ここまで誰かを信頼し、身を委ねたことがかつてあったろうか。人の体温がこれほど温かいことを、この年まで知らずに生きてきたのだと初めて悟った。それを失いたくなくて、強く抱き締めた。返ってきたのは拒絶でも罵声でもなく、優しい抱擁だった。これが深い愛情でなければ一体何だというのだ。心が揺さぶられる思いがした。いつの間にか涙が溢れていた。
(もう何もいらない。これ以上何も……)
深く吸い込んだ息がわずかに震えると、大輝がはっと身を反らしてこちらを覗き込んだ。
「大輝……」
思わず呼びかけてすがりつくと、その腕にますます強く抱き締められた。
「何が心配?」
と覗き込まれ、目を合わせられないまま唾だけを飲み込む。
「痛いんじゃないかって?。そうだね。まあ、ある程度は」
そう言って装着を終えると、大輝は先ほどの続きに戻り、悦子の首筋を舐め回しながら潤った膣の中を指でたっぷりと探索した。悦子があまりの気持ちよさに不安を忘れかけた頃、大輝の手に押された膝が間近に迫った。あっと思う間もなく、両脚は犬や猫のように無防備なMを描いていた。どうにでもしてくださいといわんばかりのその体勢に、布団の中とはいえ世にも甘美な羞恥を覚えた。
大輝が悦子から取り出した指をベロンと一舐めする。その光景に目を見張ると同時に、大輝の先端が入口を撫でるのを感じた。大輝は悦子の顔を覗き込みながら、
「ちょっとずつね」
と言い、侵入を開始した。意外と大丈夫かも、と悦子が気を緩めた瞬間、引き裂かれるような痛みが走る。思わず「いっ」と声を上げると、大輝はそこで一時停止して言った。
「痛いのは大体最初だけ。最後まで入っちゃえば、後は意外と大丈夫」」
(最後って……?)
大輝は悦子の下腹部を広く撫でながら言った。
「この辺全部、力抜いて楽にして。あと、息止めないでね」
そう言われて一度深呼吸する。次に大きく息を吸ったのに合わせて、さらにじりじりと押し込まれる感覚があった。我慢できず、悦子は獣のような呻き声を喉の奥から漏らした。
「痛いね。ごめんごめん。もうちょっとね」
大輝は悦子の耳たぶを口に含むと、食べようとするかのように耳全体を熱心にしゃぶった。抑えた息遣いが耳の中では増幅されて聞こえる。温かい舌が這い回るのが心地よくてごまかされそうになったものの、体の奥底の痛みは確実にそこにあった。飴玉をしゃぶらされながら予防接種を受ける子供はこんな気分だろうか。
「よし、もう大丈夫」
と囁く声が聞こえ、頬にそっと唇が触れた。
(大丈夫じゃない。痛い……)
痛い痛い痛い。目をつぶって耐えている間、頬や顎に何度も柔らかなキスが与えられた。すると、鋭い痛みがいつの間にか遠のき、奇妙な圧迫感だけが残った。
「よしよし、よく頑張った」
大輝に見つめられ、視線を返す。しかし繋がっている部分に意識を向けると、視覚的な焦点はぼけてしまう。自分の体に大輝が含まれ、恥骨同士が触れ合っていることがいつまでたっても信じられなかった。じきに太腿の内側がきしむような感覚を覚え、眉を寄せる。
「大丈夫?」
「脚が……」
「あ、疲れた? ちょっと座ってみよっか」
大輝は背中に載った布団を脇へよけ、悦子の首と腰を支えて抱き上げた。中の方に一瞬痛みが走り、大輝の太腿の上にまたがるような形になる。結合部を見下ろすと、大輝のペニスは根元まできっちり悦子の中に埋もれていた。ふと気付き、慌てて胸を隠そうとすると、そのまま抱き締められた。背中にそっと腕を回してみると、大輝の胸で自分の不格好な乳房が潰れるのが感じられた。
そんなことより、何だろう、この温かさは。ここまで誰かを信頼し、身を委ねたことがかつてあったろうか。人の体温がこれほど温かいことを、この年まで知らずに生きてきたのだと初めて悟った。それを失いたくなくて、強く抱き締めた。返ってきたのは拒絶でも罵声でもなく、優しい抱擁だった。これが深い愛情でなければ一体何だというのだ。心が揺さぶられる思いがした。いつの間にか涙が溢れていた。
(もう何もいらない。これ以上何も……)
深く吸い込んだ息がわずかに震えると、大輝がはっと身を反らしてこちらを覗き込んだ。
「大輝……」
思わず呼びかけてすがりつくと、その腕にますます強く抱き締められた。
0
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる