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第4章 俺のライバル
51 意地悪
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大輝は、悦子の下着をほんの少し下げては、露出した肌を前に後ろにと熱心に撫で回し、舌を這わせた。いずれ丸見えになるとわかっているだけに、その過程は悦子には拷問のように感じられた。
(どこが手短なのよ……)
十分すぎるほど濡れていることは手を触れられなくてもわかった。もしかしたら下着に染みているかもしれない。そして大輝は、その染みが徐々に範囲を広げ、濃さを増すのを楽しんでいるのかもしれない。いつしか悦子の耳に届き始めた呼吸が一段と長く波打つ。
割れ目がさらに暴かれると、背後の男がその光景を称えるように喉を鳴らした。悦子は耐えきれずに、しかし何に耐えようとしているのかわからないまま、ベッドに顔を押しつけて雄叫びを上げた。下着はついに太腿の中程に到達した。
「早くして……」
「……何を?」
と、大輝はすっとぼける。
(意地悪……)
熱を持ったような、腫れぼったいような感覚に陥ったその部分に、温かい吐息が接近してきたかと思うと、唇が毛の束を捉えて引っ張った。
「あ……」
縁に二、三のキスが与えられたかと思うと、普段以上に敏感にさせられた陰核に息を吹きかけられ、歯ぎしりする。思わず自分で手を触れたくなり、右手を引きかけたところを大輝の手にそっとつかまれ、元の位置へと戻された。
「お行儀が悪いな」
と耳元で囁く声。そのまま耳の中を舐めつくされ、首筋の全域がディープキスに襲われる。その間、大輝の指先のたった一点が悦子の陰部を気まぐれにつついていた。一瞬触れたかと思うと離れてしまう。時に深く、時に表面だけをかするように。快感なのか不快感なのかわからないまま悦子は悶え、本能的に声を上げた。その時、普段より幾分低い声がした。
「入れちゃおっかな」
悦子は大きく二度、三度と頷いた。すると、そろりと差し入れられたのは、おそらく一番細い指だった。入ったきり、ぴくりとも動かない。その中途半端な異物を吐き出そうにも、ベッドに阻まれて前には進めない。ベッドカバーを握りしめ、絶叫しそうになる。そんな己の身に大輝の視線を感じ、悦子はようやく悟った。今日、なぜ呼び出されたのか。
「ごめんなさい……」
「ん? 何が?」
「こないだ、断ったりして……」
それを聞くと大輝は、濡れた小指で悦子の唇に触れた。悦子は迷わずそれを口に含む。その味は、早く行くべきところに行かせてくれと訴えていた。悦子は、許しを請うように一心にその指をしゃぶった。
「いいよ。俺は別に困ってないからさ。ま、知ってると思うけど」
そう囁くなり、大輝は唐突に本体を乗り入れてきた。悦子はその圧迫感に思わず呻く。あっさりと奥に到達するとすぐに引き返し、迷うことなく悦子の内側の一点を捉えた。その見事な命中感に、悦子の意に反した破廉恥な声が喉を割った。大輝は、今度はひとときも逸らすことなく、一体何の恨みかというほど執拗にそのエリアを擦り続けた。
(助けて……)
悦子はもはや、自分が達しようとしているのか、逆に踏み止まろうとしているのかわからなくなっていた。両目からは涙がどっと溢れ、全身に汗が滲む。しゃくり上げるような呼吸にかろうじて生かされていた。
背後でパシャッと何かがこぼれたような気がした。しかし、そんなことに構っている場合ではない。朦朧としながら、接点の摩擦が増すような違和感を覚えた。
引き出しの開く音がし、肩越しに見やると、大輝がベッドの下から例のジェルの小瓶を取り出していた。あんなに濡れていたはずなのに、と思いながらそれを塗り付けられるに任せていると、間もなく滑りが良くなり、再び後ろから突かれた。思いがけないその深さに、悦楽と苦悶の狂演がようやく峠を越えたことを知る。疲労感に任せて身を預けた。
そのまま寝入ってしまいそうになった時、微かな感嘆の声に起こされた。スカートのウエストをつかんだ手が一度開き、再び閉じた。減速した前後動に続き、大輝の上半身が悦子の背中に投げ出された。服越しに右の乳房の端を撫でた手を、体を浮かして迎え入れてやる。二人の呼吸音がけだるく絡み合った。大輝がまだ終わっていないのが感じられた。
「大輝……」
彼はどうやら葛藤していた。逡巡の音を長らく絞り出し、それをごくんと飲み込んで、悦子の上に体を預けたまま再び腰を揺すり始めた。これほど遠慮のない大輝の息遣いを初めて聞く。それがじきに乱れ、深く数度息を吐き出すと、大輝は悦子の中で動かなくなった。
荒い呼吸が収まると、不意に背中が軽くなる。悦子はその場に力尽きていた。悦子自身は完遂していないのに、続きを求める欲が湧かないのが不思議だった。
ベッドに顔を擦り付けながら怠惰に振り返ると、スウェットパンツと下着をまとめて膝まで下げ、そこだけを露出した大輝が、たっぷりと白濁液の溜まったゴムの中に用の済んだ身を残したまま床に座り込んでいた。
(どこが手短なのよ……)
十分すぎるほど濡れていることは手を触れられなくてもわかった。もしかしたら下着に染みているかもしれない。そして大輝は、その染みが徐々に範囲を広げ、濃さを増すのを楽しんでいるのかもしれない。いつしか悦子の耳に届き始めた呼吸が一段と長く波打つ。
割れ目がさらに暴かれると、背後の男がその光景を称えるように喉を鳴らした。悦子は耐えきれずに、しかし何に耐えようとしているのかわからないまま、ベッドに顔を押しつけて雄叫びを上げた。下着はついに太腿の中程に到達した。
「早くして……」
「……何を?」
と、大輝はすっとぼける。
(意地悪……)
熱を持ったような、腫れぼったいような感覚に陥ったその部分に、温かい吐息が接近してきたかと思うと、唇が毛の束を捉えて引っ張った。
「あ……」
縁に二、三のキスが与えられたかと思うと、普段以上に敏感にさせられた陰核に息を吹きかけられ、歯ぎしりする。思わず自分で手を触れたくなり、右手を引きかけたところを大輝の手にそっとつかまれ、元の位置へと戻された。
「お行儀が悪いな」
と耳元で囁く声。そのまま耳の中を舐めつくされ、首筋の全域がディープキスに襲われる。その間、大輝の指先のたった一点が悦子の陰部を気まぐれにつついていた。一瞬触れたかと思うと離れてしまう。時に深く、時に表面だけをかするように。快感なのか不快感なのかわからないまま悦子は悶え、本能的に声を上げた。その時、普段より幾分低い声がした。
「入れちゃおっかな」
悦子は大きく二度、三度と頷いた。すると、そろりと差し入れられたのは、おそらく一番細い指だった。入ったきり、ぴくりとも動かない。その中途半端な異物を吐き出そうにも、ベッドに阻まれて前には進めない。ベッドカバーを握りしめ、絶叫しそうになる。そんな己の身に大輝の視線を感じ、悦子はようやく悟った。今日、なぜ呼び出されたのか。
「ごめんなさい……」
「ん? 何が?」
「こないだ、断ったりして……」
それを聞くと大輝は、濡れた小指で悦子の唇に触れた。悦子は迷わずそれを口に含む。その味は、早く行くべきところに行かせてくれと訴えていた。悦子は、許しを請うように一心にその指をしゃぶった。
「いいよ。俺は別に困ってないからさ。ま、知ってると思うけど」
そう囁くなり、大輝は唐突に本体を乗り入れてきた。悦子はその圧迫感に思わず呻く。あっさりと奥に到達するとすぐに引き返し、迷うことなく悦子の内側の一点を捉えた。その見事な命中感に、悦子の意に反した破廉恥な声が喉を割った。大輝は、今度はひとときも逸らすことなく、一体何の恨みかというほど執拗にそのエリアを擦り続けた。
(助けて……)
悦子はもはや、自分が達しようとしているのか、逆に踏み止まろうとしているのかわからなくなっていた。両目からは涙がどっと溢れ、全身に汗が滲む。しゃくり上げるような呼吸にかろうじて生かされていた。
背後でパシャッと何かがこぼれたような気がした。しかし、そんなことに構っている場合ではない。朦朧としながら、接点の摩擦が増すような違和感を覚えた。
引き出しの開く音がし、肩越しに見やると、大輝がベッドの下から例のジェルの小瓶を取り出していた。あんなに濡れていたはずなのに、と思いながらそれを塗り付けられるに任せていると、間もなく滑りが良くなり、再び後ろから突かれた。思いがけないその深さに、悦楽と苦悶の狂演がようやく峠を越えたことを知る。疲労感に任せて身を預けた。
そのまま寝入ってしまいそうになった時、微かな感嘆の声に起こされた。スカートのウエストをつかんだ手が一度開き、再び閉じた。減速した前後動に続き、大輝の上半身が悦子の背中に投げ出された。服越しに右の乳房の端を撫でた手を、体を浮かして迎え入れてやる。二人の呼吸音がけだるく絡み合った。大輝がまだ終わっていないのが感じられた。
「大輝……」
彼はどうやら葛藤していた。逡巡の音を長らく絞り出し、それをごくんと飲み込んで、悦子の上に体を預けたまま再び腰を揺すり始めた。これほど遠慮のない大輝の息遣いを初めて聞く。それがじきに乱れ、深く数度息を吐き出すと、大輝は悦子の中で動かなくなった。
荒い呼吸が収まると、不意に背中が軽くなる。悦子はその場に力尽きていた。悦子自身は完遂していないのに、続きを求める欲が湧かないのが不思議だった。
ベッドに顔を擦り付けながら怠惰に振り返ると、スウェットパンツと下着をまとめて膝まで下げ、そこだけを露出した大輝が、たっぷりと白濁液の溜まったゴムの中に用の済んだ身を残したまま床に座り込んでいた。
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