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第二十六夜 小袖の手─コソデノテ─
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大学の茶道部。
茶道部を目当てにこの大学に入る生徒がいるくらい有名らしい。
ある日、部費を使い新たな着物を手に入れたらしい。
作りの良さ、見た目の綺麗さ、状態の良さに比べてかなり低額で、部員一同が一目ぼれして買ったという品だ。
本人たちはかなり喜んでいたが、僕みたいに物の良し悪しが分からない人間にとってはあまり食指が動くものではなかった。
古いものの方が変なもの(怪異的に)多い気がしてあまり好きではない。
それから茶道部で嫌な陰口を聞くようになる。
部員の一人が男遊びをしている。
風俗嬢だ。
ヤリサーに出入りしている。
悪いことをしてお金を稼いでいる、と。
祖父曰く。
昔から金目のものはとかく争いを起こすものさ。
金銀財宝だけでなく、土地や建物、高価な陶器や着物。
なんでそんなものにすがり付くのか。
すがり付いてんじゃなくて、憑かれてるのかもな。
争いの原因が着物と言うこともあり、僕は小袖の手を想像した。
遊女が欲しがった小袖を手に入れられなかった恨み。恋わずらいで死んだ女性の着物をお寺で焼いて供養しようとしたら、大火事になったなど。
大火事はともかく、他の話はそこまで悲惨なものではないが、この茶道部の着物はそんな生易しいものではなかった。
一人の部員の死をきっかけに、次々と大事故や病気、怪我に合う部員が大勢でた。
すっかり大学で『視える人』として有名になった僕は、また呼び出されて茶道部の部室に来ていた。
初めて間近で見て、その着物の異様さが分かった。
これはこの世のものではない。
僕の脳裏に、死した女性が皮の傍で鬼女と鬼男に襲われているところだ。
三途の川原の奪衣婆と懸衣翁だ。
懸衣翁は罪人の皮を剥ぎ、奪衣婆は死人の服を脱がせて木につるすという。
木に吊るされた服は、その人が生前に積んだ業によって重さが変わり木のしなり方が変わるという、
三途の河から何かの拍子に現世に戻って来た、いうなれば地獄の物。
こんなもの誰の手にも負えるものではない。地獄の入り口と言っても過言ではない。
僕はすぐに神社かお寺に持っていくように進めて、意識を手放した。
しかしそれでも着物を手放さなかった茶道部は、不審火を起こし、その棟が全焼した。
その中で、着物だけは傷一つなく残っていたいた。
着物はその後行方が知れなくなり、この大学ではそれ以上着物に関する怪異はでなくなった。
もしかしたら、まだ全国を人から人の手に渡り歩き凶事を起こしてるのかもしれない。
茶道部を目当てにこの大学に入る生徒がいるくらい有名らしい。
ある日、部費を使い新たな着物を手に入れたらしい。
作りの良さ、見た目の綺麗さ、状態の良さに比べてかなり低額で、部員一同が一目ぼれして買ったという品だ。
本人たちはかなり喜んでいたが、僕みたいに物の良し悪しが分からない人間にとってはあまり食指が動くものではなかった。
古いものの方が変なもの(怪異的に)多い気がしてあまり好きではない。
それから茶道部で嫌な陰口を聞くようになる。
部員の一人が男遊びをしている。
風俗嬢だ。
ヤリサーに出入りしている。
悪いことをしてお金を稼いでいる、と。
祖父曰く。
昔から金目のものはとかく争いを起こすものさ。
金銀財宝だけでなく、土地や建物、高価な陶器や着物。
なんでそんなものにすがり付くのか。
すがり付いてんじゃなくて、憑かれてるのかもな。
争いの原因が着物と言うこともあり、僕は小袖の手を想像した。
遊女が欲しがった小袖を手に入れられなかった恨み。恋わずらいで死んだ女性の着物をお寺で焼いて供養しようとしたら、大火事になったなど。
大火事はともかく、他の話はそこまで悲惨なものではないが、この茶道部の着物はそんな生易しいものではなかった。
一人の部員の死をきっかけに、次々と大事故や病気、怪我に合う部員が大勢でた。
すっかり大学で『視える人』として有名になった僕は、また呼び出されて茶道部の部室に来ていた。
初めて間近で見て、その着物の異様さが分かった。
これはこの世のものではない。
僕の脳裏に、死した女性が皮の傍で鬼女と鬼男に襲われているところだ。
三途の川原の奪衣婆と懸衣翁だ。
懸衣翁は罪人の皮を剥ぎ、奪衣婆は死人の服を脱がせて木につるすという。
木に吊るされた服は、その人が生前に積んだ業によって重さが変わり木のしなり方が変わるという、
三途の河から何かの拍子に現世に戻って来た、いうなれば地獄の物。
こんなもの誰の手にも負えるものではない。地獄の入り口と言っても過言ではない。
僕はすぐに神社かお寺に持っていくように進めて、意識を手放した。
しかしそれでも着物を手放さなかった茶道部は、不審火を起こし、その棟が全焼した。
その中で、着物だけは傷一つなく残っていたいた。
着物はその後行方が知れなくなり、この大学ではそれ以上着物に関する怪異はでなくなった。
もしかしたら、まだ全国を人から人の手に渡り歩き凶事を起こしてるのかもしれない。
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