百鬼怪異夜行

葛葉幸一

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第三十夜 人魚─ニンギョ─

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山でのキャンプは酷かったから、今度は海に!
と言われた。海なんて山と同じくらい嫌な場所だ。
しかし部長の「おっぱいが大きい子がいる」の言葉で参加を決意した。
男女合わせて6名のメンバー。
僕の隣に可愛くておっぱいが大きい子が乗っていて、テンションが上がる。
その子はちょっとパリピというか、ヤンキー的な感じの子で、今までの女の子とはちょっと様子が違う。
オカルト好き、という点では同じだけど。
みんなホラー体験などで盛り上り現地に到着する。
今のところ変な気配は感じなかった。実際ビーチにいても大した怪異はなさそうだ。
おそらく、神聖な祠などを建てているのだろう。
微かに歌声が聞こえるが、特に悪いものでもなさそうだ。
何事もなく、純粋に海を楽しめた。
黄昏時に最後の企画。
オカ研だし、当然「肝試し」
部長の話によるとこの辺りは、人魚伝説があるらしい。
砂浜から10分ほど歩くと、人魚を祀った祠がある。
男女でペアを組みそこまで行く、というもの。
僕はパリピちゃんとペアになり、出発。
「あんた、霊能力者なんでしょ?」
来る途中でもその話は話題にあがった。
「私が何で、心霊スポットが好きかわかる?」
人の心を読むことはできやしない。わかるはずはなかった。
「心霊スポットに行っても、今までなにも起こらなかった。神社やお墓で罰当たりなことをしてもね」
僕は言葉を失った。
寺社仏閣、お墓などは「管理している人」がいるから、なにも起こらない。
でも、こういう祠はほぼ無管理だ。
僕らは祠入り口に来ていた。
パリピちゃんは僕が止めるより早く祠に走り。

祖父曰く。
霊道を作り、人に害が及ばないところに流す祠なら直せばすむ。
しかし、なにかを祀って怪異を鎮めた祠には手を出すな。
奴らは約束を守ることで地を守ってる。
その約束が反故されたら……。

パリピちゃんは、祠を蹴飛ばして中の本尊を破壊する。
瞬間。
微かだった歌声が大きくなる。
本尊を破壊してしまったら手遅れだ。
聞いた人間を地獄に送る呪いの歌声。
こんな歌声を普通の人間が聞いたら……!
彼女は奇声をあげながら耳を掻きむしっている。
血が溢れ、その奥にある何かがどろりと流れ出す。
自分の指で鼓膜を破き、脳をかき混ぜているのだろう。
僕の体はまったく動かない。
『誓いは破られた。この地はもう助からん』
その日からこの海水浴場は使用禁止になった。
そして彼女は全身を拘束され、歌のような奇声を発しながら今も入院し続けている。
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