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おかしな隣人
おかしな隣人4
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キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴り、最後の授業が終わる。
「ねぇねぇ、芝君はさー好きな女子のタイプとかある?」
「彼女とかいるの~?」
「おい、建!今日の放課後遊ぼうぜ!」
一人の机の周りに合計七人くらいが集まっている。
転校生、芝建は最初からクラスにいたのではないかと思うくらい馴染んでいた。
男女問わず、特に女子からの人気が高い。
女子達によると、一組の 夜読君と並ぶイケメンだという。
私が帰る支度をしていると、建が話しかけてきた。
「よっ。元気?」
今日は一日、こういう風に何かあるごとに話しかけてきた。
そのたびにミヤビが女子達の 怨みがましい視線をくぐり抜けてきたことを建は知らない。
「え…はい。何か用でも?」
建の背後の女子達の視線が怖いので早くしてほしい。
「まだ一回もちゃんと話してないと思ってさ。これからよろしくね。隣人としても。」
手を差し伸べる建。
ミヤビはその手をしばらく見つめる。
なぜだかわからないけれど、ミヤビはこの時、建の手をとってしまうと何か大きなことがぐるりと変わってしまうような気がしたのだった。
「ごめん、なさい」
ミヤビはカバンをつかみ、教室を走り去る。
(ごめん。建くん。)
走りながら、何もかもから逃げている自分に嫌気をさしてしまう。
一方の建はミヤビの走り去った方向を眺めていた。
「何だよあれ、感じ悪くね。」
「本当に 佐瑠女さんっていつもああだよね。どこか話しかけにくいっていうか。」
「あんな子のことより聞いてよーって建君!?」
「あ、俺ももう行くわ。じゃ、また明日!」
ちょっとー?!という女子達の声を背後にビュンっとすごい勢いで建は教室を走り去る。
その頃、ミヤビは帰り道を一人で帰っていた。
カァっと頭上で烏が鳴き、夕日をバックに自分の影が伸びている。
ミヤビはその影を踏みながら歩いていた。
ふと、ぴょんと白い何かが目の前を横切る。
(……兎?山から降りて来たのかな。可愛い。)
赤い目のもふもふとした兎の白い背中をなでた。
「こんな私……いっそいなっちゃえばいいのにね」
「どうして?」
(あれ、なんか声が…?またアレか)
きょろきょろとあたりを見回しても誰もいない。
「誰?」
「んもう!下よ下!まったくこの私に気づかないなんて失礼な娘ね!」
「兎が……兎が喋ってるっ…!」
ミヤビはゴクリと息を呑む。
「兎は兎でもただの兎じゃないわよ。 美兎の因幡様よ!」
因幡はふん!と自慢げに喋る。
(美兎って何?)
いつもならすぐに逃げ出すところだが今回は少し話してもいいなと思った。
「お母さんとね、ケンカしちゃったの。それと転校生の子にひどい態度とっちゃった。」
その場にしゃがみこんで因幡に話しかける。
「それは……大変ね。とても。だけどね、人生は楽しまなきゃいけないものなのよ。」
「楽しむ…?」
「そうよ。思い切りね。」
「思い切り…」
「ところでだけどあなた…… 今後ろつけられてるわよ。あ、振り返らないでね。」
思わず振り返りそうになったミヤビを因幡は止める。
「いつのまに……?!」
「振り返ると気づかれたと思われるわよ。」
ふと横を見ると、ミヤビのものでもない、因幡のものでもない影がある。
長い角が生えた巨大な何か。人間じゃないものではないことだけは分かる。
その影はどんどん長く長く、伸びていた。
(こっちに近づいてきてる……?!)
「今あなたの後ろにいるものはあなたが今まで出会ってきたものとは違う。あなたに危害を、命の危険にさらすことが可能なものよ」
「どうしたらいいの?」
殺されるかもしれないと思うと、焦りと恐怖がどこからともなくわいてくる。
「ここの道を真っ直ぐ行ったところに神社があるわよね。私が十数えたらとにかくそこに全力で走りなさい。分かった?」
「わ、分かった。」
「ひい、ふう、みぃ」
ミヤビが返事をし終わらなうちに因幡は数を数えだす。
(え……もう!?まだ心の準備が………ってそんなこと言ってる場合じゃないんだけど。)
「よ、いつ、む」
少し空いたカバンをしっかりと閉じ、下ろしていた髪の毛を一つに結ぶ。靴紐は途中でほどけてしまわないようにしっかりと締めた。
「なな、や、ここの」
横を見ると、影はもうミヤビ真後ろと言って良いくらい近くに伸びている。
足がすくみそうになり、サッと目を逸らして前を向く。
「とお」
その瞬間にミヤビは神社に向かってダッシュする。
後ろから、ミヤビについてきているナニカが発したのかわからないが、黒板を爪で引っかいたような嫌な叫び声が聞こえて思わず転びそうになる。
「止まらないで!ただ走りなさい!」
因幡が叫ぶ。
(ありがとうっ、因幡……!)
商店街に入る。
夕日が沈み始めて闇が広がり、あちこちでぽつり、ぽつりと赤い光が灯されていく。
ちょうど一番人通りの多い時間帯なのか、人がいつもより多い。
「ごめんなさい!お願いします!通してください!」
「キャッ!何この子!」
「君!気をつけなさい!」
まさかミヤビが化け物に追いかけられているとは思っていない人々は、脇目も振らずにすごいスピードで走るミヤビを怒鳴りつけた。
(どうして、どうして私がこんな目に……!)
はぁ、はあっとだんだん息が切れてくる。じんわりと視界がにじんできた。
小さい頃から“人ならざるもの”を見ることが出来た。
『ミヤビちゃんって怖い。』
『変なことばっか言うからミヤビちゃんとは遊びたくない。』
こんなことを言われるのが怖くて私はいつしか人と関わることが少なくなった。
脅かされるだけ、危害を加えてこないからまだ良かった。
“人と違うこと”が平気だった。のに。
(ねえ、お姉ちゃん。私はどうしたらいいの?)
商店街を走り抜けると神社の大きな赤い鳥居が見えてくる。
その時だった。
またあの嫌な叫び声が背後から聞こえる。
(あと少しなのに、神社まであと少しでつくのにっ……!)
空気がグッと重くなり、体が金縛りにあったように動かない。
その時首がグッとつかまれて息が出来なくなった。
必死に空中で足をばたつかせて抵抗するが力が強すぎてどうにもならない。
目の前にいる、ミヤビの首をギリギリとつかむのは、長い角の生えた鬼のような見た目をしたもの。
ギョロリと外に飛び出た目玉が不気味に光る。
口の間からは鋭く尖った歯がのぞいていた。
(私…噛み殺されちゃうのかな……)
『ケケケッ、美味そうな娘じゃのう。目玉を食べようかのう、それとも頭から丸ごと食うかのう。まことにイザヨイ様に感謝じゃあ。ケケケッ』
首をしめる手に力が入る。
化け物は大きな口を開けてミヤビを食べようとしている。
「たす…けて、誰か」
薄れる意識の中でミヤビは必死に呼びかけた。
「ねぇねぇ、芝君はさー好きな女子のタイプとかある?」
「彼女とかいるの~?」
「おい、建!今日の放課後遊ぼうぜ!」
一人の机の周りに合計七人くらいが集まっている。
転校生、芝建は最初からクラスにいたのではないかと思うくらい馴染んでいた。
男女問わず、特に女子からの人気が高い。
女子達によると、一組の 夜読君と並ぶイケメンだという。
私が帰る支度をしていると、建が話しかけてきた。
「よっ。元気?」
今日は一日、こういう風に何かあるごとに話しかけてきた。
そのたびにミヤビが女子達の 怨みがましい視線をくぐり抜けてきたことを建は知らない。
「え…はい。何か用でも?」
建の背後の女子達の視線が怖いので早くしてほしい。
「まだ一回もちゃんと話してないと思ってさ。これからよろしくね。隣人としても。」
手を差し伸べる建。
ミヤビはその手をしばらく見つめる。
なぜだかわからないけれど、ミヤビはこの時、建の手をとってしまうと何か大きなことがぐるりと変わってしまうような気がしたのだった。
「ごめん、なさい」
ミヤビはカバンをつかみ、教室を走り去る。
(ごめん。建くん。)
走りながら、何もかもから逃げている自分に嫌気をさしてしまう。
一方の建はミヤビの走り去った方向を眺めていた。
「何だよあれ、感じ悪くね。」
「本当に 佐瑠女さんっていつもああだよね。どこか話しかけにくいっていうか。」
「あんな子のことより聞いてよーって建君!?」
「あ、俺ももう行くわ。じゃ、また明日!」
ちょっとー?!という女子達の声を背後にビュンっとすごい勢いで建は教室を走り去る。
その頃、ミヤビは帰り道を一人で帰っていた。
カァっと頭上で烏が鳴き、夕日をバックに自分の影が伸びている。
ミヤビはその影を踏みながら歩いていた。
ふと、ぴょんと白い何かが目の前を横切る。
(……兎?山から降りて来たのかな。可愛い。)
赤い目のもふもふとした兎の白い背中をなでた。
「こんな私……いっそいなっちゃえばいいのにね」
「どうして?」
(あれ、なんか声が…?またアレか)
きょろきょろとあたりを見回しても誰もいない。
「誰?」
「んもう!下よ下!まったくこの私に気づかないなんて失礼な娘ね!」
「兎が……兎が喋ってるっ…!」
ミヤビはゴクリと息を呑む。
「兎は兎でもただの兎じゃないわよ。 美兎の因幡様よ!」
因幡はふん!と自慢げに喋る。
(美兎って何?)
いつもならすぐに逃げ出すところだが今回は少し話してもいいなと思った。
「お母さんとね、ケンカしちゃったの。それと転校生の子にひどい態度とっちゃった。」
その場にしゃがみこんで因幡に話しかける。
「それは……大変ね。とても。だけどね、人生は楽しまなきゃいけないものなのよ。」
「楽しむ…?」
「そうよ。思い切りね。」
「思い切り…」
「ところでだけどあなた…… 今後ろつけられてるわよ。あ、振り返らないでね。」
思わず振り返りそうになったミヤビを因幡は止める。
「いつのまに……?!」
「振り返ると気づかれたと思われるわよ。」
ふと横を見ると、ミヤビのものでもない、因幡のものでもない影がある。
長い角が生えた巨大な何か。人間じゃないものではないことだけは分かる。
その影はどんどん長く長く、伸びていた。
(こっちに近づいてきてる……?!)
「今あなたの後ろにいるものはあなたが今まで出会ってきたものとは違う。あなたに危害を、命の危険にさらすことが可能なものよ」
「どうしたらいいの?」
殺されるかもしれないと思うと、焦りと恐怖がどこからともなくわいてくる。
「ここの道を真っ直ぐ行ったところに神社があるわよね。私が十数えたらとにかくそこに全力で走りなさい。分かった?」
「わ、分かった。」
「ひい、ふう、みぃ」
ミヤビが返事をし終わらなうちに因幡は数を数えだす。
(え……もう!?まだ心の準備が………ってそんなこと言ってる場合じゃないんだけど。)
「よ、いつ、む」
少し空いたカバンをしっかりと閉じ、下ろしていた髪の毛を一つに結ぶ。靴紐は途中でほどけてしまわないようにしっかりと締めた。
「なな、や、ここの」
横を見ると、影はもうミヤビ真後ろと言って良いくらい近くに伸びている。
足がすくみそうになり、サッと目を逸らして前を向く。
「とお」
その瞬間にミヤビは神社に向かってダッシュする。
後ろから、ミヤビについてきているナニカが発したのかわからないが、黒板を爪で引っかいたような嫌な叫び声が聞こえて思わず転びそうになる。
「止まらないで!ただ走りなさい!」
因幡が叫ぶ。
(ありがとうっ、因幡……!)
商店街に入る。
夕日が沈み始めて闇が広がり、あちこちでぽつり、ぽつりと赤い光が灯されていく。
ちょうど一番人通りの多い時間帯なのか、人がいつもより多い。
「ごめんなさい!お願いします!通してください!」
「キャッ!何この子!」
「君!気をつけなさい!」
まさかミヤビが化け物に追いかけられているとは思っていない人々は、脇目も振らずにすごいスピードで走るミヤビを怒鳴りつけた。
(どうして、どうして私がこんな目に……!)
はぁ、はあっとだんだん息が切れてくる。じんわりと視界がにじんできた。
小さい頃から“人ならざるもの”を見ることが出来た。
『ミヤビちゃんって怖い。』
『変なことばっか言うからミヤビちゃんとは遊びたくない。』
こんなことを言われるのが怖くて私はいつしか人と関わることが少なくなった。
脅かされるだけ、危害を加えてこないからまだ良かった。
“人と違うこと”が平気だった。のに。
(ねえ、お姉ちゃん。私はどうしたらいいの?)
商店街を走り抜けると神社の大きな赤い鳥居が見えてくる。
その時だった。
またあの嫌な叫び声が背後から聞こえる。
(あと少しなのに、神社まであと少しでつくのにっ……!)
空気がグッと重くなり、体が金縛りにあったように動かない。
その時首がグッとつかまれて息が出来なくなった。
必死に空中で足をばたつかせて抵抗するが力が強すぎてどうにもならない。
目の前にいる、ミヤビの首をギリギリとつかむのは、長い角の生えた鬼のような見た目をしたもの。
ギョロリと外に飛び出た目玉が不気味に光る。
口の間からは鋭く尖った歯がのぞいていた。
(私…噛み殺されちゃうのかな……)
『ケケケッ、美味そうな娘じゃのう。目玉を食べようかのう、それとも頭から丸ごと食うかのう。まことにイザヨイ様に感謝じゃあ。ケケケッ』
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化け物は大きな口を開けてミヤビを食べようとしている。
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