緋眼の舞姫〜英雄と悪役の約束〜

神無月 ほたる

文字の大きさ
6 / 12

5話:入学式

しおりを挟む
何処どこまで...ですか?そうですね...言ってもいいですが聞かれると色々不味いのでは?」

こんな状況だと言うのに慌てる様子も怖がる様子もなくただ冷静に答える。

おどしても無駄むだなようなのでシエスタを解放する。

パンパンと制服についた土を払うシエスタ。

「ご心配なく。誰にも話すつもりなんてないですから。」

「...その言葉を信じろって言うの?」

「信用、できませんか?」

「当たり前でしょ?私が信用してるのはこの世で3人しかいないよ」

「私は5年前、あの百鬼夜行で先輩に助けてもらった子、だと言ってもですか?」

そう言ってポケットから赤いリボンを取り出すシエスタ。

「それは...」

見覚えのあるそれに思わず反応してしまう。

「はい。6年前、先輩が私にくれた魔除けのリボンです。今はもう効力こうりょくが無くなってしまってただのリボンになってしまいましたけど...」

それはそうだろう。あのリボンは急ぎで作ったものだし1ヶ月もしないうちに効力こうりょくは切れてしまう。...いや、あれだけの霊や妖怪がいたのだ、1日もてば十分過ぎる。

「これ、お返しします」

と赤いリボンを差し出してくる。

「...要らない。あなたがもってて。昔あげるって言ったでしょ」

少し考えた後そう口にする。

「そう、ですか...分かりました。このリボンは頂いておきます」

そう言ってリボンを自分の髪に結ぶシエスタ。

あの頃、私が結んであげたのと同じように。

「...それで、命の恩人だから不用意な真似はしないっていう解釈かいしゃくでいいの?」

「はい。そのとおりです信用していただけますか?」

じっとシエスタの目を見る。

「...うそを言ってないのは分かった。だから様子見。ちょっとでも変なことしたら容赦ようしゃはしないから」

「ありがとうございます、先輩。それと、こちらを」

そう言って小さい紙切れを渡してきた。

「連絡先を書いた紙です。何かお手伝いできることがあればいつでもご連絡下さい。

こんなのでも先祖せんぞゆずりなんですよ?推理とかは。

きっと何かの役に立てるはずです」

「...分かったとりあえず貰っておく」

「はい。朝からお時間を頂いてすみませんでした先輩。

...でも、これだけは覚えておいて下さい。私はいつでも先輩の味方ですよ」

微笑ほほえみながらそんな言葉を残し駆け足で学校へと向かって姿を消した。

シエスタ・ホームズか。嘘は言ってない。かと言って信用はできない。自分で言った通り、今は様子見、かな。

はぁ、今日は本当朝から面倒くさい日だ。

っと、私も早く学校に行かないと。遅刻しちゃう。



始業式の始まる5分前、ギリギリで学校についた。

良かった。なんとか間に合いそうだ。

急いで体育館に入る私。

「あ~舞桜まおこっちこっち!」

2人を探しながらキョロキョロとしていると先に見つけてくれたらしいまいが小声で手招きしてくれる。

手招きされた場所はまい阿津斗あつとの間の席でどうやら場所取りしてくれていたらしい。

「…おはよ、阿津斗」

微笑ほほえみながら阿津斗あつと挨拶あいさつをする。

阿津斗あつとは何も答えずに顔をそらした。

顔が少し赤い…熱っぽいのかな?

と首をかしげる私を見て

「な~んで気付かないのやら」

まい苦笑くしょうする。

「気づかないってどういう事?」

2人の間の席に座りながらまいにそう質問するが

「さーてね。私は言わないよー。舞桜まおが気付かないといけないことだしね」

とよくわからない事を言ってぐらかされた。

しばらく静かに座っていると始業式が始まった。

「えー、皆さん春休みはどのように過ごしましたか――」

…いつものようにつまらない校長先生の話が始まる。

校長先生の話を要約すると、いつものこれだ。

ここ数年、「見えちゃう人」と悪霊が増えてきて、ついに社会問題として認められましたーだの、
対策として除霊師なんて職業を国が作りましたーだの。

で、その除霊師は国際資格扱いになって、「除霊法」っていうよく分からない法律さえ守っていれば
わりと何でもアリな権限を持てます、と。

……とはいえ、そんな凶悪な霊が毎日ポンポン出てくるわけでもないから、
今じゃ除霊師は調査や護衛、はたまた簡単な逮捕まで請け負う何でも屋。

さらに武装まで許可されたおかげで、世の中は守りやすくなりました。
でもその代わり、同じだけ危ない世の中にもなりました。

そりゃ武装を許したらそれを悪用する人が出てくるに決まってるよね…。

で、ここ除霊高は、そんな除霊師予備軍を育てる学校です。

だから皆さん、自覚を持ってしっかり学びましょう――と。

……毎回、よくもまあ同じ話を飽きもせず喋れるものだ。

この時の私はそんなのんきなことを考えていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

お姫様は死に、魔女様は目覚めた

悠十
恋愛
 とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。  しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。  そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして…… 「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」  姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。 「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」  魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ひめさまはおうちにかえりたい

あかね
ファンタジー
政略結婚と言えど、これはない。帰ろう。とヴァージニアは決めた。故郷の兄に気に入らなかったら潰して帰ってこいと言われ嫁いだお姫様が、王冠を手にするまでのお話。(おうちにかえりたい編) 王冠を手に入れたあとは、魔王退治!? 因縁の女神を殴るための策とは。(聖女と魔王と魔女編) 平和な女王様生活にやってきた手紙。いまさら、迎えに来たといわれても……。お帰りはあちらです、では済まないので撃退します(幼馴染襲来編)

愛する義兄に憎まれています

ミカン♬
恋愛
自分と婚約予定の義兄が子爵令嬢の恋人を両親に紹介すると聞いたフィーナは、悲しくて辛くて、やがて心は闇に染まっていった。 義兄はフィーナと結婚して侯爵家を継ぐはずだった、なのにフィーナも両親も裏切って真実の愛を貫くと言う。 許せない!そんなフィーナがとった行動は愛する義兄に憎まれるものだった。 2023/12/27 ミモザと義兄の閑話を投稿しました。 ふわっと設定でサクっと終わります。 他サイトにも投稿。

処理中です...