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第4話 僕って、いつからこんなにクサイの?
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王宮の夜会からの帰り道。馬車に揺られる中、二人とも沈黙する。
俯き加減に二人とも視線を落としているので、夜会会場で僕の身に起こったことについて考えることにした。馬車の中は、誰の視線もなく、馬車が進む音しか聞こえてこない。落ち着くかと言えば、慣れない乗り物に今にも酔いそうだ。
……僕、一体何者? いや、きっと転生者? なはずだけど、現世の記憶もほとんどないし。妹が死んじゃう! とか言ってたから、そうだよな。うん、たぶん、絶対、転生しちゃったよ。
……それより、俯いてたら気持ち悪くなってきた……。あぁ、ダメ。もう、ダメ。本当、ダメ。今にも吐きそう。世界が回ってない? 車で酔うことなんてなかったけど、何? 馬車って意外とっていうか、メチャクチャ揺れるじゃん……。気持ち悪すぎるぅぅぅ。
酒も入っているせいもあるだろう。頭はさっきからまたズキズキと痛いし、考え続けているからか、クラクラとする。酸素も足りないのか、何なら、眩暈も起こして今にも倒れそうだった。
数十分前から、僕の身に何が起こっているのか考えても頭がついて行かず、頭の中がフル回転で現状を理解しようと努めていた。情報が多すぎたり、極端になかったりする中で、順を追って情報の整理をしているので割れるように頭が痛い。
……なんとかならないのか? この頭痛。現代なら頭痛薬さえあれば、すぐに治るのに。勝手がわからなさすぎる。薬! と、その前に水……水が欲しい!
チラリと前に座っているアルメリアを盗み見れば、さすがに先程の騒動で疲れたのか、アルメリアも馬車の小窓から静かにずっと外を見つめるだけで何も話さない。
その表情は、どこか悲し気であり、少しだけホッとしたような複雑さが滲み出ている。
……馬車に乗るまでは、あれほど凛としていたのに、婚約破棄というのは、17、8の女性には、さすがに堪えているのか? こんなに美人なんだから、すぐに別の人も見つかるだろう。あんな色ボケた甘ちゃん王太子ではなく、アリアのことを本当に大切に想ってくれる人が。
アルメリアの横顔を見ながら、胸が少し苦しくなる。色ボケた甘ちゃん王太子でもなく、他の誰かに嫁いでいくアルメリアの光景が目に浮かんだから。何故、僕ではだめなのだろう? と、心が叫んでいた。散々な状態の今、さらに目頭まで熱くなり、涙まで零れそうだ。
頭の痛みを和らげるために、こめかみに手をやりながら、チラリと反対側のガラスに映るアルメリアを盗み見していた。恋人すら縁遠かった現世。少々性格のキツイ妹に蔑むように悪態をつかれていた日々を懐かしく思い出す。それも、ほとんど、断片的に。現世の僕は、どМなんじゃないかと思えるほど、妹の罵詈雑言に安心するような変な気分になる。
何故、いきなり、現世の記憶など戻ったのだろう? 乙女ゲームの世界に転生したなんて、ラノベの世界だけの話だと思っていたぞ?
まさか、ヒロインのハピエンのために悪役令嬢……? アルメリアの婚約破棄イベに付き合う羽目になるとは……考えもしなかったし。
しかも、僕、現世でもモブだったはずなのに、こっちでも悪役令嬢の『お義兄様』って……。そんなキャラ、いたのか? ……あのゲームに。
感情そっちのけで、たまたまトイレで部屋を出たときに、妹が頬を染めながら進めていた乙女ゲームを覗き見ていた記憶をたどる。僕が攻略したゲームでもないので、内容もざっくりとしか覚えていないおぼろげな記憶ではゲームの全ての内容までは把握できそうになかった。ゲーム内容を知っているからこそのチートも、この先で起こるだろうアルメリアの断罪イベント回避にも、僕は役に立たなさそうだった。
上体を起こしたので少しだけ気持ち悪いのはましになった。幸い、今は馬車の揺れる音しかしないので、考える時間としてはちょうどいい。
……今も『モブ』としか考えられない! 悪役令嬢の『お義兄様』って何者なんだ? 隠しキャラは、たしか別だったし……。妹のお気に入りはあの甘ちゃん王太子だったから、このゲームのほんのちょこっとしか知らないし! この世界で生き抜くには圧倒的に知識が足りなさすぎる!
待て待て。それに、よく考えてみれば、現世の記憶もほとんど戻っていないぞ。くそ生意気な妹がいたってことと、蔑まれていたって記憶しかない! あと、死んでしまうみたいなことを妹が叫んでたし。
この世界の記憶も15歳までまるっきりない! それ以降は、かろうじで……? ある。けど、けど、けど、本当に本当の僕が公爵令息? 貴族でも上位じゃないか! って、待って……! 記憶を辿ってもこの世界でも恋人も婚約者もいない感じ? 貴族令息って、早々に令嬢と婚約とかするんじゃないの? ねぇ? ねぇねぇ? ねぇねぇねぇ? 誰か『僕』と『この世界』のことを懇切丁寧に教えてぇぇぇ!! それか、攻略本! 今すぐここに送ってくれ! 妹よ!
心の中であわあわしながら、現世の記憶をたどるのをやめ、今度はゲームの中の『僕』の記憶をたどる。馬車の車窓に映る見知らぬ美男を見ながら思い浮かべた。
銀の髪を正装だからか後ろに撫でつけている。瞳は金色の瞳。鼻は少し高い。どこからどう見てもイケメンだ。僕が養子というだけあって、目の前のアルメリアとは容姿が全く似ていなかった。
「……お義兄様」
「どうかしたかい?」
自分でもビックリするくらい優しい声に驚きつつも、いつものように微笑んだ。
えっ? 何? いつものように微笑んだ……? 微笑むって、何?
心の内はパニック状態ではあったが、普段からアルメリアに接している僕は自然と『お義兄様』ができるようだ。アルメリアにかける声にも優しく見守る視線にも、どことなく愛おしいという感情がほんのり滲み出ているように感じた。
「もうすぐ、屋敷に着きます」
「うん、そうだね」
僕、屋敷までの距離とか知りませんけどね? もう着くの? 本当? 馬車酔いして、もうそろそろ、イロイロと……限界が近いんだけど。
「……私、これでよかったのでしょうか?」
「これでというと、レオナルド様との婚約破棄のことかな?」
「……はい。公爵家に何か悪いことは起きませんか?」
「さっきまではあんなにカッコいいアリアだったのに、今はとても可愛らしい」
公爵家に何か悪いことが起こるのではないかと心配で俯くアルメリアに「大丈夫だよ」と小さな子へするようにそっと頭を撫でる。
「アリア、心配することは何もない。何があっても、僕がアリアのことを守るから。公爵家は王家にも匹敵するんだぞ? それに……、アリアの心を土足で踏みにじったのはメアリーであり、恩を仇で返すようなことをしたレオナルド様にはアリアの苦しみ以上の罰を受けてもらわないと割に合わないだろう?」
「……お義兄様」
不安そうにしていた表情も柔らかくなり、アルメリアは微笑んだ。信頼されているとその表情だけで伝わってくる。頬をほんのり紅潮させて、とても可憐で可愛らしい。
……可愛いな。外では、公爵令嬢として少々行き過ぎたこともしていたようだけど、こうしてみていると、まだまだ、一人前には遠いかな。努力の仮面をかぶって、王太子妃候補として婚約をしていたアリアは今まで本当によく頑張った。あの出来損ないを支えるのにどれほどの苦労があったことか。
アリアのことを悪役令嬢だなんて誰が決めたんだ? こんなにも国の未来のために努力をしてきたものに、なんていう配役を授けたんだ。あの何もできない甘ったれた王太子こそが諸悪の根源、最悪だろう。婚約者……アリア一人、大事に出来ないなんて……最低だ。
「アリア」
「……はい」
「婚約破棄をされたことは、明日以降、世間で大きな話題となるだろう。同時に学園も行きにくくなるかもしれない」
「……はい。わかっています」
「それでも、決して俯くな。アリアが思っている以上に辛いことがこの先に待っているかもしれない。真っ暗闇の中にいるような気持ちなるかもしれない。孤独と戦わないといけないときもあるかもしれない。それでも、前を見て歩き続けてくれ。必ず、僕がアリアの前を歩き、アリアの未来を照らし続けるから」
「……わかりました。お義兄様との約束、必ず守ってみせます!」
うんと頷くころ、馬車は停まる。僕たちの家に着いたようだ。降りるように立ち上がった。
……それにしても。僕って、いつからこんなにクサイの? 僕、引きこもりで? そんなカッコいい人生歩んできていないし? これからも、歩めないですけど?
表情には出さず、心の中で盛大なため息をついた。
『かっこいいお義兄様』ってクサすぎる! ねぇ! 乙女ゲームの男子諸君! みんなこんなにクサイのかぁぁぁぁぁ?
妹がレオナルドの言葉を聞いて赤面しながら、床をゴロゴロと転がっていたことを思い出し、イロイロと諦めた。
うん、諦めも大事。……、クサイのどんとこいやーっ!
心の中で叫んだ言葉と体が繋がったようで、馬車の中で急に拳を突き上げた僕を見て、アルメリアは「お義兄様ったら」と優しく笑ってくれたのである。
俯き加減に二人とも視線を落としているので、夜会会場で僕の身に起こったことについて考えることにした。馬車の中は、誰の視線もなく、馬車が進む音しか聞こえてこない。落ち着くかと言えば、慣れない乗り物に今にも酔いそうだ。
……僕、一体何者? いや、きっと転生者? なはずだけど、現世の記憶もほとんどないし。妹が死んじゃう! とか言ってたから、そうだよな。うん、たぶん、絶対、転生しちゃったよ。
……それより、俯いてたら気持ち悪くなってきた……。あぁ、ダメ。もう、ダメ。本当、ダメ。今にも吐きそう。世界が回ってない? 車で酔うことなんてなかったけど、何? 馬車って意外とっていうか、メチャクチャ揺れるじゃん……。気持ち悪すぎるぅぅぅ。
酒も入っているせいもあるだろう。頭はさっきからまたズキズキと痛いし、考え続けているからか、クラクラとする。酸素も足りないのか、何なら、眩暈も起こして今にも倒れそうだった。
数十分前から、僕の身に何が起こっているのか考えても頭がついて行かず、頭の中がフル回転で現状を理解しようと努めていた。情報が多すぎたり、極端になかったりする中で、順を追って情報の整理をしているので割れるように頭が痛い。
……なんとかならないのか? この頭痛。現代なら頭痛薬さえあれば、すぐに治るのに。勝手がわからなさすぎる。薬! と、その前に水……水が欲しい!
チラリと前に座っているアルメリアを盗み見れば、さすがに先程の騒動で疲れたのか、アルメリアも馬車の小窓から静かにずっと外を見つめるだけで何も話さない。
その表情は、どこか悲し気であり、少しだけホッとしたような複雑さが滲み出ている。
……馬車に乗るまでは、あれほど凛としていたのに、婚約破棄というのは、17、8の女性には、さすがに堪えているのか? こんなに美人なんだから、すぐに別の人も見つかるだろう。あんな色ボケた甘ちゃん王太子ではなく、アリアのことを本当に大切に想ってくれる人が。
アルメリアの横顔を見ながら、胸が少し苦しくなる。色ボケた甘ちゃん王太子でもなく、他の誰かに嫁いでいくアルメリアの光景が目に浮かんだから。何故、僕ではだめなのだろう? と、心が叫んでいた。散々な状態の今、さらに目頭まで熱くなり、涙まで零れそうだ。
頭の痛みを和らげるために、こめかみに手をやりながら、チラリと反対側のガラスに映るアルメリアを盗み見していた。恋人すら縁遠かった現世。少々性格のキツイ妹に蔑むように悪態をつかれていた日々を懐かしく思い出す。それも、ほとんど、断片的に。現世の僕は、どМなんじゃないかと思えるほど、妹の罵詈雑言に安心するような変な気分になる。
何故、いきなり、現世の記憶など戻ったのだろう? 乙女ゲームの世界に転生したなんて、ラノベの世界だけの話だと思っていたぞ?
まさか、ヒロインのハピエンのために悪役令嬢……? アルメリアの婚約破棄イベに付き合う羽目になるとは……考えもしなかったし。
しかも、僕、現世でもモブだったはずなのに、こっちでも悪役令嬢の『お義兄様』って……。そんなキャラ、いたのか? ……あのゲームに。
感情そっちのけで、たまたまトイレで部屋を出たときに、妹が頬を染めながら進めていた乙女ゲームを覗き見ていた記憶をたどる。僕が攻略したゲームでもないので、内容もざっくりとしか覚えていないおぼろげな記憶ではゲームの全ての内容までは把握できそうになかった。ゲーム内容を知っているからこそのチートも、この先で起こるだろうアルメリアの断罪イベント回避にも、僕は役に立たなさそうだった。
上体を起こしたので少しだけ気持ち悪いのはましになった。幸い、今は馬車の揺れる音しかしないので、考える時間としてはちょうどいい。
……今も『モブ』としか考えられない! 悪役令嬢の『お義兄様』って何者なんだ? 隠しキャラは、たしか別だったし……。妹のお気に入りはあの甘ちゃん王太子だったから、このゲームのほんのちょこっとしか知らないし! この世界で生き抜くには圧倒的に知識が足りなさすぎる!
待て待て。それに、よく考えてみれば、現世の記憶もほとんど戻っていないぞ。くそ生意気な妹がいたってことと、蔑まれていたって記憶しかない! あと、死んでしまうみたいなことを妹が叫んでたし。
この世界の記憶も15歳までまるっきりない! それ以降は、かろうじで……? ある。けど、けど、けど、本当に本当の僕が公爵令息? 貴族でも上位じゃないか! って、待って……! 記憶を辿ってもこの世界でも恋人も婚約者もいない感じ? 貴族令息って、早々に令嬢と婚約とかするんじゃないの? ねぇ? ねぇねぇ? ねぇねぇねぇ? 誰か『僕』と『この世界』のことを懇切丁寧に教えてぇぇぇ!! それか、攻略本! 今すぐここに送ってくれ! 妹よ!
心の中であわあわしながら、現世の記憶をたどるのをやめ、今度はゲームの中の『僕』の記憶をたどる。馬車の車窓に映る見知らぬ美男を見ながら思い浮かべた。
銀の髪を正装だからか後ろに撫でつけている。瞳は金色の瞳。鼻は少し高い。どこからどう見てもイケメンだ。僕が養子というだけあって、目の前のアルメリアとは容姿が全く似ていなかった。
「……お義兄様」
「どうかしたかい?」
自分でもビックリするくらい優しい声に驚きつつも、いつものように微笑んだ。
えっ? 何? いつものように微笑んだ……? 微笑むって、何?
心の内はパニック状態ではあったが、普段からアルメリアに接している僕は自然と『お義兄様』ができるようだ。アルメリアにかける声にも優しく見守る視線にも、どことなく愛おしいという感情がほんのり滲み出ているように感じた。
「もうすぐ、屋敷に着きます」
「うん、そうだね」
僕、屋敷までの距離とか知りませんけどね? もう着くの? 本当? 馬車酔いして、もうそろそろ、イロイロと……限界が近いんだけど。
「……私、これでよかったのでしょうか?」
「これでというと、レオナルド様との婚約破棄のことかな?」
「……はい。公爵家に何か悪いことは起きませんか?」
「さっきまではあんなにカッコいいアリアだったのに、今はとても可愛らしい」
公爵家に何か悪いことが起こるのではないかと心配で俯くアルメリアに「大丈夫だよ」と小さな子へするようにそっと頭を撫でる。
「アリア、心配することは何もない。何があっても、僕がアリアのことを守るから。公爵家は王家にも匹敵するんだぞ? それに……、アリアの心を土足で踏みにじったのはメアリーであり、恩を仇で返すようなことをしたレオナルド様にはアリアの苦しみ以上の罰を受けてもらわないと割に合わないだろう?」
「……お義兄様」
不安そうにしていた表情も柔らかくなり、アルメリアは微笑んだ。信頼されているとその表情だけで伝わってくる。頬をほんのり紅潮させて、とても可憐で可愛らしい。
……可愛いな。外では、公爵令嬢として少々行き過ぎたこともしていたようだけど、こうしてみていると、まだまだ、一人前には遠いかな。努力の仮面をかぶって、王太子妃候補として婚約をしていたアリアは今まで本当によく頑張った。あの出来損ないを支えるのにどれほどの苦労があったことか。
アリアのことを悪役令嬢だなんて誰が決めたんだ? こんなにも国の未来のために努力をしてきたものに、なんていう配役を授けたんだ。あの何もできない甘ったれた王太子こそが諸悪の根源、最悪だろう。婚約者……アリア一人、大事に出来ないなんて……最低だ。
「アリア」
「……はい」
「婚約破棄をされたことは、明日以降、世間で大きな話題となるだろう。同時に学園も行きにくくなるかもしれない」
「……はい。わかっています」
「それでも、決して俯くな。アリアが思っている以上に辛いことがこの先に待っているかもしれない。真っ暗闇の中にいるような気持ちなるかもしれない。孤独と戦わないといけないときもあるかもしれない。それでも、前を見て歩き続けてくれ。必ず、僕がアリアの前を歩き、アリアの未来を照らし続けるから」
「……わかりました。お義兄様との約束、必ず守ってみせます!」
うんと頷くころ、馬車は停まる。僕たちの家に着いたようだ。降りるように立ち上がった。
……それにしても。僕って、いつからこんなにクサイの? 僕、引きこもりで? そんなカッコいい人生歩んできていないし? これからも、歩めないですけど?
表情には出さず、心の中で盛大なため息をついた。
『かっこいいお義兄様』ってクサすぎる! ねぇ! 乙女ゲームの男子諸君! みんなこんなにクサイのかぁぁぁぁぁ?
妹がレオナルドの言葉を聞いて赤面しながら、床をゴロゴロと転がっていたことを思い出し、イロイロと諦めた。
うん、諦めも大事。……、クサイのどんとこいやーっ!
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