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第25話 永遠の忠誠でも、いいでしょうか?
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「はぁ……アリアに似合う宝石は、どれだろう?」
目の前に並ぶ宝石たちを見つめながら、どれがいいのかと頭を悩ませる。
ここで、補足だが、現代でもこの世界でも、僕も女性とお付き合いしたことがない。宝石を選ぶ日、しかも婚約指輪を選ぶ日がくるだなんて、夢にも思っていなかったので、緊張しすぎて変な汗をかきながら選んでいた。
「ジャスティス様、ピンときたものはありませんか?」
「あぁ、どれもこれも違う気がする」
もう何時間も目の前にいろいろと宝飾品を並べてくれるせいで、目がちかちかしてきた。店主が出してくれたものは、高級な品がばかりだが、決定的な僕のイメージに合うものがなくひっかからない。「少し、店の中を歩いてくる」そういって席を立った。ついてこようとする店主を留め置き、店の中を自由に歩き回った。
「宝石って、たくさんあるんだな……現代だとダイヤモンドが主流か。婚約指輪なんだし」
ダイヤモンドを探し歩き回っていると、目についたものがあった。とても綺麗な紫色をしている小花の集合体。店員に言って、それらを出してもらう。手ごろなサイズのもので5種類もあった。これらをひと揃えの宝飾品として売っているのだろう。ピアス、指環、カフスボタン、ネックレス、ブローチだ。大ぶりなものではないが、とても気に入った。
「これは、すぐに買って帰れるか?」
「もちろんでございます。おつつみしましょうか?」
「あぁ、頼む。料金は一緒に来ている従者からもらってくれ」
「かしこまりました」と、品物を持って奥へ下がっていく店員を見送ったあと、店内をまた、ブラブラと目的のものを探しながら歩き回る。
……なかなか無いものだな。作るという手もあるが、時間がかかるし、僕にそのセンスはない。
ため息をつきながら、近くのソファにかけた。目の端にキラリと光る宝石があった。立ち上がり近づいていくと、今まで見せられたようないかにもなゴテゴテとした作りではなく、アルメリアの細い指にとてもよく似合いそうなダイヤのハーフエタニティの指環があった。
「値段は、気にしなくてもいいが……これは、なかなかだな。少し大きめの石が1つと、それを囲うようにあるのか……。この僕がこういうものを選ぶ日が、来るとは……本当に思いもよらなかったな」
小さくため息をついた。贈る相手がいなかった今までと違い、王族に次ぐ公爵家の令嬢に渡す婚約指輪しては、貧相にみえるかもしれない。ただ、ずっとつけていてほしいと願い、アルメリアに1番似合う指輪を贈りたかった。
「ここにいました?」
「あぁ、グレン。この指輪、どう思う?」
「少し小ぶりですね? ただ、アルメリアお嬢様の指にはちょうどいいかと。サイズは、どうですか?」
店員を呼び、見せてもらう。サイズはぴったりだ。指輪だけを贈ると、養父になんて言われるか考え、指輪に合う装飾品一式を揃えることにした。結婚式に使えるようにと、同じダイヤモンドで選んでいく。
「豪華になりましたね?」
「そうだな。これなら、養父上にも文句は言われまい」
大きな宝飾品をしまう化粧箱に入れてもらう。どれもこれも一級品の装飾がされており、化粧箱が白銀に輝く。
お金に糸目はつけないとはいえ、僕は購入総額を聞かないことにする。その方が用意したものをアルメリアに贈りやすい。
街での買い物が終わり、そのまま王宮へと向かうようグレンに言いつける。今日の予定にはなかったが、買ったばかりの品物を渡したいと思ったのだ。
「グレン」
「どうかしましたか?」
「あぁ、たいした用事ではない。が、贈り物をしたい」
「贈り物ですか? 先ほど買ったものですか?」
「あぁ、そうだ」
アルメリアへの求婚の品以外にも買った小物。その中で、グレンにと選んだのは、ブローチだった。
「ありがとうございます。私が本当にいただいてもよろしいのでしょうか?」
「あぁ、これからも頼んだぞ?」
「かしこまりました」
「貸してみろ」
「……何を?」
あげたばかりのブローチを取り出し、燕尾の襟につけてやる。紫の小花が咲いているようで、なんだか可愛らしい。
「なかなか、いいんじゃないか?」
「ありがとうございます。大切にします」
「あぁ、そうしてくれ。できれば、毎日つけてくれると、嬉しい」
急に恥ずかしくなり、窓の外を見て誤魔化した。王宮に着いたようで、馬車が停まり、グレンが先に降りていく。よほど、嬉しかったのか、ブローチを一撫でしていた。
僕も馬車から降り、ダグラスのいる王宮図書館へと向かった。今日から、第一王子付きになった文官、アーロンとサティアも図書館に詰めている。
「まだ、執務室がないから、苦労をかけるな」
二人に声をかけると、驚いたようだ。
僕のことは、未だ伏せられており、王宮に日参している今、ティーリング公爵の息子が何をしているのかと、他の者たちからは少々変な目で見られている。
「今日は、いらっしゃらないと伺っていましたが……?」
「あぁ、ちょっと、急用ができてな」
「急用?」
「叔父上、少し執務室を借りる!」
返事をもらい、図書館から続きの執務室へと三人を引き連れ向かった。中に入り、ダグラスの椅子へとかける。もちろん、三人は立ちっぱなしで、うち二人は何事かとこちらを窺っている。
「そう緊張しなくてもいい。急用といっても、二人に渡したいものがあって来ただけだから」
「渡したいものですか?」
サティアが小首を傾げ、アーロンの方を見るが、アーロンもなんのことだかわからないと首を横に振っている。
その前に、小さな小箱を2つ置く。注目はそちらに向かい、何が入っているのだろう? と、二人とも興味を持ったようだ。
「こちらはアーロンの。こちらがサティアのだ。それぞれ、違うものが入っている」
「なんでしょうか?」
二人が手に取り、同時に小箱を開き驚いていた。
「……これは?」
「二人にこれから私の近侍として働いてもらうつもりだが、何かその証となるようなものが欲しいと思って。グレンにはすでに渡してある」
「あっ、本当ですね!」
「さっきから、気になっていたんだが、それはそういうことか」
小箱を開いた二人が、自分たちと同じ花が胸に咲いているグレンを見て笑う。
アーロンにはカフスボタンを渡し、サティアには指輪を渡した。
「指輪って……なんだか、少し恥ずかしいですね。ちょうど入るところが、……薬指なんですけど」
「おぉ? 永遠の愛でも誓うか?」
「!! アーロン様、からかわないでください!」
珍しい二人のやり取りを見た気がした。アーロンにからかわれ、サティアの頬がほんのり赤くなっている。そうしていると、サティアは女の子にしか見えないことは黙っておこう。
「……永遠の忠誠でも、いいでしょうか?」
「あぁ、そうしてくれると嬉しい。その忠誠、受け取った」
四人で笑いあい、それぞれの花をそっと撫でていた。
「そうそう、サティアにお願いがあるんだ」
「ボクにですか?」
「あぁ。今日、確かみなに辞令が交付されたと聞いている」
「はい、いただきました。第一王子専属文官を拝命いたしました」
「さっそくだが、これをある男に届けてほしい。辞令は、近いうちに出すと伝えておいてくれ」
「……ある男ですか?」
「あぁ、ジークハルト・ランス。親衛隊隊長に命ずると一言添えておいてくれ!」
誰のことだかわからず首を傾げていたが、パッと表情を明るくさせるサティアに「頼む」といえば、早速向かってくれるらしい。パタパタと執務室から出て行き、近衛の訓練場まで、駆けていったようだった。
「へぇ、なかなか、見込みがあるやつ選んだんだな?」
「まぁな。昨日、話してみて、いいと思ったんだ。僕のために、残っていてくれたようなものだな。アーロンもサティアもだが」
「あとひとつ、残っているようだな?」
「そうだな。さて、どうしたものか。未来の宰相閣下は、誰に渡すのがいいと思いますかね?」
「……そうだな。俺も剣はたつほうだが、もう一人くらい護衛が欲しいところだ」
「……また、近衛の訓練場を見に行かないといけないのか?」
大きなため息をつけば、「それが仕事だ」とアーロンに言われる。仕方がないので「もう少し考える」と言葉を濁しておいた。
目の前に並ぶ宝石たちを見つめながら、どれがいいのかと頭を悩ませる。
ここで、補足だが、現代でもこの世界でも、僕も女性とお付き合いしたことがない。宝石を選ぶ日、しかも婚約指輪を選ぶ日がくるだなんて、夢にも思っていなかったので、緊張しすぎて変な汗をかきながら選んでいた。
「ジャスティス様、ピンときたものはありませんか?」
「あぁ、どれもこれも違う気がする」
もう何時間も目の前にいろいろと宝飾品を並べてくれるせいで、目がちかちかしてきた。店主が出してくれたものは、高級な品がばかりだが、決定的な僕のイメージに合うものがなくひっかからない。「少し、店の中を歩いてくる」そういって席を立った。ついてこようとする店主を留め置き、店の中を自由に歩き回った。
「宝石って、たくさんあるんだな……現代だとダイヤモンドが主流か。婚約指輪なんだし」
ダイヤモンドを探し歩き回っていると、目についたものがあった。とても綺麗な紫色をしている小花の集合体。店員に言って、それらを出してもらう。手ごろなサイズのもので5種類もあった。これらをひと揃えの宝飾品として売っているのだろう。ピアス、指環、カフスボタン、ネックレス、ブローチだ。大ぶりなものではないが、とても気に入った。
「これは、すぐに買って帰れるか?」
「もちろんでございます。おつつみしましょうか?」
「あぁ、頼む。料金は一緒に来ている従者からもらってくれ」
「かしこまりました」と、品物を持って奥へ下がっていく店員を見送ったあと、店内をまた、ブラブラと目的のものを探しながら歩き回る。
……なかなか無いものだな。作るという手もあるが、時間がかかるし、僕にそのセンスはない。
ため息をつきながら、近くのソファにかけた。目の端にキラリと光る宝石があった。立ち上がり近づいていくと、今まで見せられたようないかにもなゴテゴテとした作りではなく、アルメリアの細い指にとてもよく似合いそうなダイヤのハーフエタニティの指環があった。
「値段は、気にしなくてもいいが……これは、なかなかだな。少し大きめの石が1つと、それを囲うようにあるのか……。この僕がこういうものを選ぶ日が、来るとは……本当に思いもよらなかったな」
小さくため息をついた。贈る相手がいなかった今までと違い、王族に次ぐ公爵家の令嬢に渡す婚約指輪しては、貧相にみえるかもしれない。ただ、ずっとつけていてほしいと願い、アルメリアに1番似合う指輪を贈りたかった。
「ここにいました?」
「あぁ、グレン。この指輪、どう思う?」
「少し小ぶりですね? ただ、アルメリアお嬢様の指にはちょうどいいかと。サイズは、どうですか?」
店員を呼び、見せてもらう。サイズはぴったりだ。指輪だけを贈ると、養父になんて言われるか考え、指輪に合う装飾品一式を揃えることにした。結婚式に使えるようにと、同じダイヤモンドで選んでいく。
「豪華になりましたね?」
「そうだな。これなら、養父上にも文句は言われまい」
大きな宝飾品をしまう化粧箱に入れてもらう。どれもこれも一級品の装飾がされており、化粧箱が白銀に輝く。
お金に糸目はつけないとはいえ、僕は購入総額を聞かないことにする。その方が用意したものをアルメリアに贈りやすい。
街での買い物が終わり、そのまま王宮へと向かうようグレンに言いつける。今日の予定にはなかったが、買ったばかりの品物を渡したいと思ったのだ。
「グレン」
「どうかしましたか?」
「あぁ、たいした用事ではない。が、贈り物をしたい」
「贈り物ですか? 先ほど買ったものですか?」
「あぁ、そうだ」
アルメリアへの求婚の品以外にも買った小物。その中で、グレンにと選んだのは、ブローチだった。
「ありがとうございます。私が本当にいただいてもよろしいのでしょうか?」
「あぁ、これからも頼んだぞ?」
「かしこまりました」
「貸してみろ」
「……何を?」
あげたばかりのブローチを取り出し、燕尾の襟につけてやる。紫の小花が咲いているようで、なんだか可愛らしい。
「なかなか、いいんじゃないか?」
「ありがとうございます。大切にします」
「あぁ、そうしてくれ。できれば、毎日つけてくれると、嬉しい」
急に恥ずかしくなり、窓の外を見て誤魔化した。王宮に着いたようで、馬車が停まり、グレンが先に降りていく。よほど、嬉しかったのか、ブローチを一撫でしていた。
僕も馬車から降り、ダグラスのいる王宮図書館へと向かった。今日から、第一王子付きになった文官、アーロンとサティアも図書館に詰めている。
「まだ、執務室がないから、苦労をかけるな」
二人に声をかけると、驚いたようだ。
僕のことは、未だ伏せられており、王宮に日参している今、ティーリング公爵の息子が何をしているのかと、他の者たちからは少々変な目で見られている。
「今日は、いらっしゃらないと伺っていましたが……?」
「あぁ、ちょっと、急用ができてな」
「急用?」
「叔父上、少し執務室を借りる!」
返事をもらい、図書館から続きの執務室へと三人を引き連れ向かった。中に入り、ダグラスの椅子へとかける。もちろん、三人は立ちっぱなしで、うち二人は何事かとこちらを窺っている。
「そう緊張しなくてもいい。急用といっても、二人に渡したいものがあって来ただけだから」
「渡したいものですか?」
サティアが小首を傾げ、アーロンの方を見るが、アーロンもなんのことだかわからないと首を横に振っている。
その前に、小さな小箱を2つ置く。注目はそちらに向かい、何が入っているのだろう? と、二人とも興味を持ったようだ。
「こちらはアーロンの。こちらがサティアのだ。それぞれ、違うものが入っている」
「なんでしょうか?」
二人が手に取り、同時に小箱を開き驚いていた。
「……これは?」
「二人にこれから私の近侍として働いてもらうつもりだが、何かその証となるようなものが欲しいと思って。グレンにはすでに渡してある」
「あっ、本当ですね!」
「さっきから、気になっていたんだが、それはそういうことか」
小箱を開いた二人が、自分たちと同じ花が胸に咲いているグレンを見て笑う。
アーロンにはカフスボタンを渡し、サティアには指輪を渡した。
「指輪って……なんだか、少し恥ずかしいですね。ちょうど入るところが、……薬指なんですけど」
「おぉ? 永遠の愛でも誓うか?」
「!! アーロン様、からかわないでください!」
珍しい二人のやり取りを見た気がした。アーロンにからかわれ、サティアの頬がほんのり赤くなっている。そうしていると、サティアは女の子にしか見えないことは黙っておこう。
「……永遠の忠誠でも、いいでしょうか?」
「あぁ、そうしてくれると嬉しい。その忠誠、受け取った」
四人で笑いあい、それぞれの花をそっと撫でていた。
「そうそう、サティアにお願いがあるんだ」
「ボクにですか?」
「あぁ。今日、確かみなに辞令が交付されたと聞いている」
「はい、いただきました。第一王子専属文官を拝命いたしました」
「さっそくだが、これをある男に届けてほしい。辞令は、近いうちに出すと伝えておいてくれ」
「……ある男ですか?」
「あぁ、ジークハルト・ランス。親衛隊隊長に命ずると一言添えておいてくれ!」
誰のことだかわからず首を傾げていたが、パッと表情を明るくさせるサティアに「頼む」といえば、早速向かってくれるらしい。パタパタと執務室から出て行き、近衛の訓練場まで、駆けていったようだった。
「へぇ、なかなか、見込みがあるやつ選んだんだな?」
「まぁな。昨日、話してみて、いいと思ったんだ。僕のために、残っていてくれたようなものだな。アーロンもサティアもだが」
「あとひとつ、残っているようだな?」
「そうだな。さて、どうしたものか。未来の宰相閣下は、誰に渡すのがいいと思いますかね?」
「……そうだな。俺も剣はたつほうだが、もう一人くらい護衛が欲しいところだ」
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