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トラブルの真ん中Ⅲ
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「次に、屋敷の守りね?ディルがいれば問題ないと思うけど、ジョージア様、ジョージ、お兄様には
護衛をつけて欲しいわ!」
「あの、アンナリーゼ様?」
「何かしら?リアン」
「アンナリーゼ様のお子様たちはどうなさるのですか?」
「エマがついているから、大丈夫だと思うよ?どう?デリア」
「はい、その辺りは抜かりなく。私もなるべく見回りにお子様のところへは向かいます」
「えっと……エマですか?」
「そう、エマ。エマってね、実は特殊な生まれなのよ」
「えっと、デリアが拾ってきた子だと聞いてますけど……」
「間違ってはいないよ。間違っては……」
俺も疑問に思っていたんだけど?とジョージアが聞いてくる。エマのことは、デリアが後継にと連れてきた子ではあった。
笑わない表情の乏しい子で出自も何も誰にも教えていなかった。
「言ってもいいよね?デリア」
「……はい」
「エマは、本職は暗殺者。私と侍女カルアの命を狙ってここに送り込まれようとした刺客ね!」
「はっ?」「えっ?」「暗殺者?」「アンジェラの侍女?」
なかなか、いい反応をしてくれる面々に私はニコッと笑うと、突拍子もない話で、驚いていた。ディルも知らない事実だったようで、エマの普通に不自然なところがなかったということが確認がとれた。
「カルアを……主に侍女の口封じをするために、送られた暗殺者だったのよ。この屋敷に入るまでに、
デリアに気づかれて手酷く躾け直されたわけなんだけど……」
「よく、気が付いたね?」
「たまたまです。アンナ様にもいろいろと教えてもらっていたときで、自分でも試していました。足音
のしない人は、まず、疑っていいって言ってたので、あぁそうかも?と思って、声をかけたのです。
ヨハン教授に聞いたところ、薬で記憶を混濁させられ、催眠をかけられて、いろいろとわからなく
させられていたようです」
「それで、そんな危険な子をどうして?」
ジョージアの意見はもっともだろう。他にも聞きたいと目が訴えている。
「私が責任を取るから、まず、薬漬けになっているのを抜いてくれと言いました。相当小さい頃から
何かしらの薬を飲まされていたようで、薬を抜くのに、時間がかかりましたよ」
「薬って、どうやって?」
「ヨハンの万能解毒剤です。それを飲ませるんですけど、なかなか……それこそ、200本近く飲ませて
やっと、解毒できました」
「薬って、結局なんだったの?」
「正確にはわかりませんが、催眠剤みたいだと、ヨハンには聞いています」
「あの、それで……エマがアンジェラ様の侍女って……」
不安を隠せないリアンは、少々震えながら言っている。
エマと1番長くいるはずでも、暗殺者という言葉で不安になったのだろう。たぶん、私より暗殺にかけてはエマの方が秀でている。私は方法を知っているだけで、実際使うことなんてないんだから……
「大丈夫よ。薬はもう抜けているし、もし、殺意が湧くのであれば、それはエマの心からのもの。もし、
そうなったら、どうしようもないけど、エマの命はデリアが握っているからね?」
「あの……デリアにも何か?」
「リアンには話していなかったかな?デリアは、少々特殊な侍女なのよ」
スカートの中からナイフを取り出し、デリアに向けて投げる。もちろん、デリアの心臓目掛けて。
それを見て、デリアの隣にいたリアンがひぃっと小さく悲鳴をあげた。
何食わぬ顔をして、デリアが私の投げたナイフを受け止め、投げ返してくる。兄に向けて……
今度は、兄と行方を見ていたジョージアがえっ?っと固まってしまった。兄にはこれくらい自分で受け止めて欲しいところではあるのだがとチラッと見たが動く感じもしないので、私が遮った。
「あ……危ないな……」
手元に戻ってきたナイフを太腿につけているホルダーにしまい込み座り直した。
兄は冷や汗をかいているのか、ハンカチで額を拭っている。隣を見ればジョージアも似たような感じだ。
「お兄様もこれくらい避けるか、取るかくらい反応出来ないでどうするのです?」
「いや、そうは言っても……デリアは、ナイフ投げうまいよ。僕じゃ無理」
それじゃ困るのだけど?と睨むと、無理と視線を兄が送ってくる。
ふぅっとため息をひとつ、席に深く座り直した。
ジョージアも未ださっきの出来事から戻ってきていないのか、呼吸がとても浅い。
「ジョージア様、大丈夫です?」
「……うん、大丈夫。あの、デリアって、何者なの?」
「私の侍女です。少々、ディルによって調教されてますけど……」
「アンナ様、言い方!」
調教に反応したデリアの顔は真っ赤であるが、間違ってはいない。ディルは、表向きアンバー公爵家筆頭執事ではあるが、裏でもきちんと筆頭執事として実力はかなりある。
「ジョージア様は、知りませんか?ディルの裏の顔って言えばいいのかしら?」
「何か、それは……かっこいいですね?」
「あら、ディル。気に入ってもらえた?」
「えぇ、とても。裏ですか。裏表なく、私はアンバー公爵家の筆頭執事なのですけど」
「確かに」
「……もしかしなくても?」
「アンバー公爵家にもあるんですよね。裏組織が。今は殆どが情報収集機関となっているのですけど、
それなりにみんな戦えますし、特に優秀な侍女たちは私たちを守るための訓練を受けています」
「……知らなかった。えっ?なんで、アンナは知っているの?」
「……ジョージア様」「旦那様……」「はぁ……」
「うん、俺が自分の家のことすら知らなさすぎるのは、わかった。わかったけど……デリア、そのため
息は、ちょっと傷つくよ?」
「では、旦那様」
はい!と緊張の面持ちでデリアに向き合うジョージア。その姿が、私やデリアに叱られる前のアンジェラそっくりで笑ってしまいそうになりそっぽ向く。それでも、堪えられず、体を震わせてしまった。
すると、その振動が伝わったのか、ジョージアがムッとしてこっちを見たが、すぐにデリアに向き直って、聞く体制だ。
思わず、ジョージアの頭をアンジェラみたいに撫でてしまったのであった。
護衛をつけて欲しいわ!」
「あの、アンナリーゼ様?」
「何かしら?リアン」
「アンナリーゼ様のお子様たちはどうなさるのですか?」
「エマがついているから、大丈夫だと思うよ?どう?デリア」
「はい、その辺りは抜かりなく。私もなるべく見回りにお子様のところへは向かいます」
「えっと……エマですか?」
「そう、エマ。エマってね、実は特殊な生まれなのよ」
「えっと、デリアが拾ってきた子だと聞いてますけど……」
「間違ってはいないよ。間違っては……」
俺も疑問に思っていたんだけど?とジョージアが聞いてくる。エマのことは、デリアが後継にと連れてきた子ではあった。
笑わない表情の乏しい子で出自も何も誰にも教えていなかった。
「言ってもいいよね?デリア」
「……はい」
「エマは、本職は暗殺者。私と侍女カルアの命を狙ってここに送り込まれようとした刺客ね!」
「はっ?」「えっ?」「暗殺者?」「アンジェラの侍女?」
なかなか、いい反応をしてくれる面々に私はニコッと笑うと、突拍子もない話で、驚いていた。ディルも知らない事実だったようで、エマの普通に不自然なところがなかったということが確認がとれた。
「カルアを……主に侍女の口封じをするために、送られた暗殺者だったのよ。この屋敷に入るまでに、
デリアに気づかれて手酷く躾け直されたわけなんだけど……」
「よく、気が付いたね?」
「たまたまです。アンナ様にもいろいろと教えてもらっていたときで、自分でも試していました。足音
のしない人は、まず、疑っていいって言ってたので、あぁそうかも?と思って、声をかけたのです。
ヨハン教授に聞いたところ、薬で記憶を混濁させられ、催眠をかけられて、いろいろとわからなく
させられていたようです」
「それで、そんな危険な子をどうして?」
ジョージアの意見はもっともだろう。他にも聞きたいと目が訴えている。
「私が責任を取るから、まず、薬漬けになっているのを抜いてくれと言いました。相当小さい頃から
何かしらの薬を飲まされていたようで、薬を抜くのに、時間がかかりましたよ」
「薬って、どうやって?」
「ヨハンの万能解毒剤です。それを飲ませるんですけど、なかなか……それこそ、200本近く飲ませて
やっと、解毒できました」
「薬って、結局なんだったの?」
「正確にはわかりませんが、催眠剤みたいだと、ヨハンには聞いています」
「あの、それで……エマがアンジェラ様の侍女って……」
不安を隠せないリアンは、少々震えながら言っている。
エマと1番長くいるはずでも、暗殺者という言葉で不安になったのだろう。たぶん、私より暗殺にかけてはエマの方が秀でている。私は方法を知っているだけで、実際使うことなんてないんだから……
「大丈夫よ。薬はもう抜けているし、もし、殺意が湧くのであれば、それはエマの心からのもの。もし、
そうなったら、どうしようもないけど、エマの命はデリアが握っているからね?」
「あの……デリアにも何か?」
「リアンには話していなかったかな?デリアは、少々特殊な侍女なのよ」
スカートの中からナイフを取り出し、デリアに向けて投げる。もちろん、デリアの心臓目掛けて。
それを見て、デリアの隣にいたリアンがひぃっと小さく悲鳴をあげた。
何食わぬ顔をして、デリアが私の投げたナイフを受け止め、投げ返してくる。兄に向けて……
今度は、兄と行方を見ていたジョージアがえっ?っと固まってしまった。兄にはこれくらい自分で受け止めて欲しいところではあるのだがとチラッと見たが動く感じもしないので、私が遮った。
「あ……危ないな……」
手元に戻ってきたナイフを太腿につけているホルダーにしまい込み座り直した。
兄は冷や汗をかいているのか、ハンカチで額を拭っている。隣を見ればジョージアも似たような感じだ。
「お兄様もこれくらい避けるか、取るかくらい反応出来ないでどうするのです?」
「いや、そうは言っても……デリアは、ナイフ投げうまいよ。僕じゃ無理」
それじゃ困るのだけど?と睨むと、無理と視線を兄が送ってくる。
ふぅっとため息をひとつ、席に深く座り直した。
ジョージアも未ださっきの出来事から戻ってきていないのか、呼吸がとても浅い。
「ジョージア様、大丈夫です?」
「……うん、大丈夫。あの、デリアって、何者なの?」
「私の侍女です。少々、ディルによって調教されてますけど……」
「アンナ様、言い方!」
調教に反応したデリアの顔は真っ赤であるが、間違ってはいない。ディルは、表向きアンバー公爵家筆頭執事ではあるが、裏でもきちんと筆頭執事として実力はかなりある。
「ジョージア様は、知りませんか?ディルの裏の顔って言えばいいのかしら?」
「何か、それは……かっこいいですね?」
「あら、ディル。気に入ってもらえた?」
「えぇ、とても。裏ですか。裏表なく、私はアンバー公爵家の筆頭執事なのですけど」
「確かに」
「……もしかしなくても?」
「アンバー公爵家にもあるんですよね。裏組織が。今は殆どが情報収集機関となっているのですけど、
それなりにみんな戦えますし、特に優秀な侍女たちは私たちを守るための訓練を受けています」
「……知らなかった。えっ?なんで、アンナは知っているの?」
「……ジョージア様」「旦那様……」「はぁ……」
「うん、俺が自分の家のことすら知らなさすぎるのは、わかった。わかったけど……デリア、そのため
息は、ちょっと傷つくよ?」
「では、旦那様」
はい!と緊張の面持ちでデリアに向き合うジョージア。その姿が、私やデリアに叱られる前のアンジェラそっくりで笑ってしまいそうになりそっぽ向く。それでも、堪えられず、体を震わせてしまった。
すると、その振動が伝わったのか、ジョージアがムッとしてこっちを見たが、すぐにデリアに向き直って、聞く体制だ。
思わず、ジョージアの頭をアンジェラみたいに撫でてしまったのであった。
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