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続いたら続いたで
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炊き出しをした日に配った、てるてる坊主の効果なのだろうか?あれから、3日、雨が止んだ。
晴れて気持ちがいいのだが、夏だけあって、日差しも強く気温がとても高くなった。
私も毎日ノクトと一緒に馬に乗り、工事現場へと向かっている。アデルと話したように日陰になるよう大きな白い布を翌日には備えておいてよかった。
その日陰で、さっきまで動き回っていた男たちが、暑さにやられ、寝込んでしまっている。
「ほら、お水飲んで」
私は、即席で大工さんに作ってもらった桶に水を入れ、木の茶碗を持ち、水を配っていた。
うだるような暑さが続くと、雨で寒いくらいの気温の中、仕事をしていた人たちにとって、寒暖差が体に答えたようだ。水と同時に一つまみの塩を渡すと、ちょっとだけ顔色も良くなる。
意外と元気なのは、最近までアンバーにいた石切りの町の男たちで、大きな声で話をしながら仕事をしていた。
確かに、アンバーの一部地域は、山からの熱波でこの気温より高くなる場合もある。石切りの町は、そんな地域特性もあって、ピュールたちは、未だに元気に仕事をしているのかと関心した。
しかし、そんな彼らにも休息は大事だ。
一番暑い時間帯である2時から4時にかけては、少々休憩を取るように呼びかけた。
「アンナリーゼ様が、今日も給仕なのか?」
「えぇ、そうよ!今日は、お水しかないけど……」
そういって、木の椀をみなに渡しお水を汲んでいく。このお水、井戸から汲んだものなので、とても冷たくて美味しい。
それと、疲労回復の意味も込めて、ヨハンが作ってくれた万能解毒剤を薄めて入れた。
「ふぃー生き返る……」
「お水が、こんなにうめぇーとは……」
「今日は、格別でしょうね……暑いですもの!」
「本当ですね!雨ばかり降っていたから、どうも暑さに慣れてない人が多いみたいだね」
「なるほど、確かにそうかもしれないわ!」
「しかしながら……」
ピュールたちの視線の先を見ると、近衛たちが情けなく伸びきってしまっていた。
「情けないな……国を守るやつらが、こんなんじゃ……」
「任せておけないよな?」
「でも、俺たちじゃ、とてもじゃないけど……」
「そうは言っても、招集がかかったら、兵役に出ないといけないでしょ?」
「それは、そうだけど……」
「できることなら、私は、そんなことにあなたたちのこの手は使って欲しくないわね!」
私はピュールの手を取った。ごつごつとした手は、仕事人の手だ。
「この手は、領地のために、石材を切り出したり、奥さんや子どもたちを抱きしめたり、ちょっと仕事をサボりがちな部下にげんこつしたり、優しい手であってほしいわ。そうなるように努力をするのが私なのだけど……」
ぎゅっと握ると、頼んますよ!アンナリーゼ様と聞こえてきた。
「しかし、アンナリーゼ様のとこのあのおじさん、本当にすごいよな?うちの親父も少し前までは、石切りのところでめいっぱい働いていたけど……別格だな?」
「そうでしょ、そうでしょ?うちの元貴族をなめてもらっちゃ困るわ!」
「そういうえば、そうだった。インゼロの将軍だったんだよな?インゼロの将軍があんなに仕事をしているのに……」
「近衛は給料泥棒ね!と言いたいところね……」
はぁとため息をつくと近衛たちが、そんなぁ……と声を揃えて嘆く。その目には、生き生きと動き回っているノクトの姿が見えるのではないだろうか。ため息まで聞こえてきた。
「もう一杯、お水はどう?きっと、頑張れるから!でも、夕方までは、休憩して!これほど、暑いと、みんな体を壊してしまうからね!」
はいと返事をする近衛たちは、上体をちょっとだけ起こしたが、そのままゴロンとしてしまう。
暑いのだ、それでいいだろう。休息を取って、暑さが和らいだところで、もう一仕事頑張ってくれればいい。
「アンナリーゼ様」
「アルカ!どうかしたの?」
「今しがた、山の方へ行ってまいりました」
「ありがとう。暑かったでしょ?休んで!」
「いえ、山は、木陰が多いので、涼しいですから」
「そう、それは……よかった。それで、何かあるのよね?」
「えぇ、報告が」
調査してくれたらしく、いろいろなメモを取ってくれている。私だけに報告と言うよりかは、全体で共有した方がいいので、私はアデルとリアノとノクトを呼ぶと三人が一緒に降りてきた。
今日は、三人とも建物建築の方へ行っていたらしい。
少し広いところで五人が腰掛けた。
今、ここにいる中では、私たちが話し合い、方向性を決めていくことになる。
「アンナリーゼ様、喜ばしいことです!」
「どうしたの?」
「ここ3日の晴れ間のおかげで、水分量もだいぶ減ったのではないかと予想します。ただし……」
「また、雨が降れば、わからないってことかしら?」
「そうですね……」
「うーん、晴れている間に工事は出来るだけ終わらせたいわね!」
「えぇ、そうですね……工事の方はどうですか?」
「住居の方はどうにかなりそうです。あと1週間もあれば、部屋割りもできるかと思います。あとは、壁ですね……」
「あれね……」
五人は壁の方を見ながら、同じようにため息をついた。
遅れているということは、見て取れる。ただ、それでも、積み上がっていっているのも目に見える形で出来ていた。
「間に合うかしら?」
「あと5日程、晴れてくれれば……」
「そればっかりは、わからないわよね?」
ため息とともに提案をして見た。夕方は5時過ぎに帰ることにしていた。ただ、暗くなるまで作業をすることはできないだろうか?例えば、暑すぎる今のような時間は、休憩をして。
提案をすると、そうしましょう!その方が、効率が上がる気がします!
近衛や領民を集めて、アデルが説明をすると駆けていった。
日が昇る前に集合して、日が昇ることから作業を始める。お昼から暑い時間を避けて涼しくなった頃に作業を開始する。
そういうふうに説明をしているらしく、だれだれの近衛たちは、転がりながら話を聞いているのであった。
晴れて気持ちがいいのだが、夏だけあって、日差しも強く気温がとても高くなった。
私も毎日ノクトと一緒に馬に乗り、工事現場へと向かっている。アデルと話したように日陰になるよう大きな白い布を翌日には備えておいてよかった。
その日陰で、さっきまで動き回っていた男たちが、暑さにやられ、寝込んでしまっている。
「ほら、お水飲んで」
私は、即席で大工さんに作ってもらった桶に水を入れ、木の茶碗を持ち、水を配っていた。
うだるような暑さが続くと、雨で寒いくらいの気温の中、仕事をしていた人たちにとって、寒暖差が体に答えたようだ。水と同時に一つまみの塩を渡すと、ちょっとだけ顔色も良くなる。
意外と元気なのは、最近までアンバーにいた石切りの町の男たちで、大きな声で話をしながら仕事をしていた。
確かに、アンバーの一部地域は、山からの熱波でこの気温より高くなる場合もある。石切りの町は、そんな地域特性もあって、ピュールたちは、未だに元気に仕事をしているのかと関心した。
しかし、そんな彼らにも休息は大事だ。
一番暑い時間帯である2時から4時にかけては、少々休憩を取るように呼びかけた。
「アンナリーゼ様が、今日も給仕なのか?」
「えぇ、そうよ!今日は、お水しかないけど……」
そういって、木の椀をみなに渡しお水を汲んでいく。このお水、井戸から汲んだものなので、とても冷たくて美味しい。
それと、疲労回復の意味も込めて、ヨハンが作ってくれた万能解毒剤を薄めて入れた。
「ふぃー生き返る……」
「お水が、こんなにうめぇーとは……」
「今日は、格別でしょうね……暑いですもの!」
「本当ですね!雨ばかり降っていたから、どうも暑さに慣れてない人が多いみたいだね」
「なるほど、確かにそうかもしれないわ!」
「しかしながら……」
ピュールたちの視線の先を見ると、近衛たちが情けなく伸びきってしまっていた。
「情けないな……国を守るやつらが、こんなんじゃ……」
「任せておけないよな?」
「でも、俺たちじゃ、とてもじゃないけど……」
「そうは言っても、招集がかかったら、兵役に出ないといけないでしょ?」
「それは、そうだけど……」
「できることなら、私は、そんなことにあなたたちのこの手は使って欲しくないわね!」
私はピュールの手を取った。ごつごつとした手は、仕事人の手だ。
「この手は、領地のために、石材を切り出したり、奥さんや子どもたちを抱きしめたり、ちょっと仕事をサボりがちな部下にげんこつしたり、優しい手であってほしいわ。そうなるように努力をするのが私なのだけど……」
ぎゅっと握ると、頼んますよ!アンナリーゼ様と聞こえてきた。
「しかし、アンナリーゼ様のとこのあのおじさん、本当にすごいよな?うちの親父も少し前までは、石切りのところでめいっぱい働いていたけど……別格だな?」
「そうでしょ、そうでしょ?うちの元貴族をなめてもらっちゃ困るわ!」
「そういうえば、そうだった。インゼロの将軍だったんだよな?インゼロの将軍があんなに仕事をしているのに……」
「近衛は給料泥棒ね!と言いたいところね……」
はぁとため息をつくと近衛たちが、そんなぁ……と声を揃えて嘆く。その目には、生き生きと動き回っているノクトの姿が見えるのではないだろうか。ため息まで聞こえてきた。
「もう一杯、お水はどう?きっと、頑張れるから!でも、夕方までは、休憩して!これほど、暑いと、みんな体を壊してしまうからね!」
はいと返事をする近衛たちは、上体をちょっとだけ起こしたが、そのままゴロンとしてしまう。
暑いのだ、それでいいだろう。休息を取って、暑さが和らいだところで、もう一仕事頑張ってくれればいい。
「アンナリーゼ様」
「アルカ!どうかしたの?」
「今しがた、山の方へ行ってまいりました」
「ありがとう。暑かったでしょ?休んで!」
「いえ、山は、木陰が多いので、涼しいですから」
「そう、それは……よかった。それで、何かあるのよね?」
「えぇ、報告が」
調査してくれたらしく、いろいろなメモを取ってくれている。私だけに報告と言うよりかは、全体で共有した方がいいので、私はアデルとリアノとノクトを呼ぶと三人が一緒に降りてきた。
今日は、三人とも建物建築の方へ行っていたらしい。
少し広いところで五人が腰掛けた。
今、ここにいる中では、私たちが話し合い、方向性を決めていくことになる。
「アンナリーゼ様、喜ばしいことです!」
「どうしたの?」
「ここ3日の晴れ間のおかげで、水分量もだいぶ減ったのではないかと予想します。ただし……」
「また、雨が降れば、わからないってことかしら?」
「そうですね……」
「うーん、晴れている間に工事は出来るだけ終わらせたいわね!」
「えぇ、そうですね……工事の方はどうですか?」
「住居の方はどうにかなりそうです。あと1週間もあれば、部屋割りもできるかと思います。あとは、壁ですね……」
「あれね……」
五人は壁の方を見ながら、同じようにため息をついた。
遅れているということは、見て取れる。ただ、それでも、積み上がっていっているのも目に見える形で出来ていた。
「間に合うかしら?」
「あと5日程、晴れてくれれば……」
「そればっかりは、わからないわよね?」
ため息とともに提案をして見た。夕方は5時過ぎに帰ることにしていた。ただ、暗くなるまで作業をすることはできないだろうか?例えば、暑すぎる今のような時間は、休憩をして。
提案をすると、そうしましょう!その方が、効率が上がる気がします!
近衛や領民を集めて、アデルが説明をすると駆けていった。
日が昇る前に集合して、日が昇ることから作業を始める。お昼から暑い時間を避けて涼しくなった頃に作業を開始する。
そういうふうに説明をしているらしく、だれだれの近衛たちは、転がりながら話を聞いているのであった。
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