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12/2 風呂場には勿論あれがある
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(I)
しっかりと私が手を握っている相手はとても淋しい表情でこちらに笑いかけていた。
「お疲れ様。覗いたら寝てたから、さ」
「リュウ!?」
私はばっと身体を起こす。服も着ているし、手も縛られてない。薬も打たれた感じはない。
つまり、何もされていなかった。
「運んでくれた、だけ?」
(M)
リュウが頷く。
「そういう話だっただろ?」
「そ、そうだけど、意外で」
リュウが眉尻を下げて笑った。そういう笑い方をすると子供の様に見えた。そういえばこの人は幾つなんだろうか。
「昨日は俺も愛に会えて興奮してちょっとやり過ぎた。悪かったよ。今はもう冷静だ」
(I)
優しく笑うリュウは決して悪い男ではない。むしろ、普通にしていたらそこそこの美男子の部類だろう。
「ねぇ、リュウは何歳なの?」
少しだけ、少しだけリュウのことが知りたくなり聞いてみる。
リュウは優しい穏やかな顔のまま答えてくれる。
「22だ」
思ったよりも若かった。
(M)
「なんだ、子供じゃないの」
私がつい言うと、リュウが口を尖らせた。
「何だよ、愛だって大して変わんないだろ。それにいいじゃないか、年下の旦那も。尻に敷けるしなんせ元気だ」
まだ諦めてはいないらしかった。
私は話を逸らす事にした。
「で、現場にはいつ向かう?」
(I)
軽くあしらわれたリュウは不服そうな顔をして見せたが気にしない。
時計は朝の10時を回った所だった。
「目立たない時間の方が良いかしら?」
私がセオリー通りの発言をすると意外な事にリュウは首を横に振る。
「いや、今から行こう」
ニヤリと笑うリュウの目は輝いていた。
(M)
「と、その前に。風呂入ってくか? 気になるだろう」
「あんたが覗かないならね」
確かに拐われた後は顔も洗わず歯磨きもしていない。さっぱりしたかったのは事実だった。
リュウが愛を案内した。
「服も下着もちゃんと新品だから」
リュウが当たり前の様に言うが。
「サイズ……」
(I)
「愛の事なら何でも知ってるからね」
思わず、ぶん殴りたくなる笑顔だ。
「はぁ。もういいわ。入るから出て行って?」
「もし、一緒に入りたくなったら言えよ?俺はいつでも待ってる……ぐはっ!」
気持ちの悪い言葉をのたまうリュウの顔面にシャンプーボトルがめり込んだ。
(M)
私は脱衣場に入ると辺りを確認した。一見カメラなどの盗撮機器はない様に見えるが、リュウの事だ。可能性は十分にあった。
ポケットからスマホを取り出しアプリを立ち上げる。画面に緑の円が広がった。風呂場の中に濃く光る点がひとつあった。
「やっぱり……」
思わず溜息が出た。
(I)
何だかやられっぱなしで腹が立ってきた。そうだ、何か仕返しをしてやろう。そう思った私は徐にスマホを操作し始める。
(逆探知して、映像をこっちで操作しよう)
スマホを操作する事、ものの数分。隠しカメラの映像を私はジャックした。
(ただジャックするだけじゃつまらない。何か悪戯してやろう)
(M)
何がいいか。そうだ、あれがいい。
ある映画のワンシーン。私がこういう時によく使う映像のひとつだ。
女のシャワーシーン。そこに忍び寄るナイフを持った男の手。瞬間、カメラが血塗れになる、というB級映画から拝借した映像。
アングルが変わるのですぐに気付くだろうが驚くだろう。
(I)
私はすぐさまその映像を流す。その映像は私のスマホからからも確認できる。
映像の男が忍び寄る。この時点で何やら別室から声が聞こえた。やはりリュウは盗撮していたようだ。
徐々に徐々に女との距離が詰まっていく。
お、刺された。飛び散る血飛沫。そしてカメラは真っ赤に染まっていった。
(M)
「愛!」
リュウがドアの鍵を壊して飛び込んできた。
脱衣場スマホを手に仁王立ちしている愛を見て、風呂場と愛を交互に見る。
「あ、あれ? 今、ナイフで刺され」
私はリュウの脳天にチョップを叩き込んだ。
「うがっ」
「そんなわけないでしょうが」
しっかりと私が手を握っている相手はとても淋しい表情でこちらに笑いかけていた。
「お疲れ様。覗いたら寝てたから、さ」
「リュウ!?」
私はばっと身体を起こす。服も着ているし、手も縛られてない。薬も打たれた感じはない。
つまり、何もされていなかった。
「運んでくれた、だけ?」
(M)
リュウが頷く。
「そういう話だっただろ?」
「そ、そうだけど、意外で」
リュウが眉尻を下げて笑った。そういう笑い方をすると子供の様に見えた。そういえばこの人は幾つなんだろうか。
「昨日は俺も愛に会えて興奮してちょっとやり過ぎた。悪かったよ。今はもう冷静だ」
(I)
優しく笑うリュウは決して悪い男ではない。むしろ、普通にしていたらそこそこの美男子の部類だろう。
「ねぇ、リュウは何歳なの?」
少しだけ、少しだけリュウのことが知りたくなり聞いてみる。
リュウは優しい穏やかな顔のまま答えてくれる。
「22だ」
思ったよりも若かった。
(M)
「なんだ、子供じゃないの」
私がつい言うと、リュウが口を尖らせた。
「何だよ、愛だって大して変わんないだろ。それにいいじゃないか、年下の旦那も。尻に敷けるしなんせ元気だ」
まだ諦めてはいないらしかった。
私は話を逸らす事にした。
「で、現場にはいつ向かう?」
(I)
軽くあしらわれたリュウは不服そうな顔をして見せたが気にしない。
時計は朝の10時を回った所だった。
「目立たない時間の方が良いかしら?」
私がセオリー通りの発言をすると意外な事にリュウは首を横に振る。
「いや、今から行こう」
ニヤリと笑うリュウの目は輝いていた。
(M)
「と、その前に。風呂入ってくか? 気になるだろう」
「あんたが覗かないならね」
確かに拐われた後は顔も洗わず歯磨きもしていない。さっぱりしたかったのは事実だった。
リュウが愛を案内した。
「服も下着もちゃんと新品だから」
リュウが当たり前の様に言うが。
「サイズ……」
(I)
「愛の事なら何でも知ってるからね」
思わず、ぶん殴りたくなる笑顔だ。
「はぁ。もういいわ。入るから出て行って?」
「もし、一緒に入りたくなったら言えよ?俺はいつでも待ってる……ぐはっ!」
気持ちの悪い言葉をのたまうリュウの顔面にシャンプーボトルがめり込んだ。
(M)
私は脱衣場に入ると辺りを確認した。一見カメラなどの盗撮機器はない様に見えるが、リュウの事だ。可能性は十分にあった。
ポケットからスマホを取り出しアプリを立ち上げる。画面に緑の円が広がった。風呂場の中に濃く光る点がひとつあった。
「やっぱり……」
思わず溜息が出た。
(I)
何だかやられっぱなしで腹が立ってきた。そうだ、何か仕返しをしてやろう。そう思った私は徐にスマホを操作し始める。
(逆探知して、映像をこっちで操作しよう)
スマホを操作する事、ものの数分。隠しカメラの映像を私はジャックした。
(ただジャックするだけじゃつまらない。何か悪戯してやろう)
(M)
何がいいか。そうだ、あれがいい。
ある映画のワンシーン。私がこういう時によく使う映像のひとつだ。
女のシャワーシーン。そこに忍び寄るナイフを持った男の手。瞬間、カメラが血塗れになる、というB級映画から拝借した映像。
アングルが変わるのですぐに気付くだろうが驚くだろう。
(I)
私はすぐさまその映像を流す。その映像は私のスマホからからも確認できる。
映像の男が忍び寄る。この時点で何やら別室から声が聞こえた。やはりリュウは盗撮していたようだ。
徐々に徐々に女との距離が詰まっていく。
お、刺された。飛び散る血飛沫。そしてカメラは真っ赤に染まっていった。
(M)
「愛!」
リュウがドアの鍵を壊して飛び込んできた。
脱衣場スマホを手に仁王立ちしている愛を見て、風呂場と愛を交互に見る。
「あ、あれ? 今、ナイフで刺され」
私はリュウの脳天にチョップを叩き込んだ。
「うがっ」
「そんなわけないでしょうが」
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