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第4章 禁術の魔法
禁術の魔法 3
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シエンナからテト地区イーリアへと続く街道は、深い森を抜け緩やかに起伏する平原に入った。道の両側では枯れた草が、風に吹かれてカサカサと寒々しい音をたてている。どんよりと曇った空の下、百人規模のシエンナ騎士一行が南に馬を走らせていた。中には馬車もあり、戦争に必要な物資なども載せている。
テト地区で最も大きな都市が、商業都市として栄えているイーリアだ。イーリアはこの地方特有の白安岩を使い造られた美しい街だった。城壁は太陽の光が当たると煌めき、夜には月のように白く朧げに輝くことから白幻都市と呼ばれていた。
「見えたよレイ。白幻都市イーリアだ!」
隣で馬を走らせるレイにノアが声をかけた。
隊の後方で荷馬車の後ろについて馬を走らせるレイとノア。
「ああ」
レイは興味なさそうに答えた。
「もう、いつまで気落ちしてんの」
「いや、どうしたもんか考えてたんだ」
「だから、何でかなー。そんなストレートに『見せて下さい』って言ったって見せてくれるわけないよ」
「もういいから、何回も言うな」
「バカ正直なんだよレイはさー。ちょっとバカがついちゃうんだよ」
「うるさい」
「まさか、そんな直球で『禁術のある書庫に入らせてくれ』なんて言うと思わなかったよ。案の定、断られてさ。考えればわかるよね。そんな簡単に『はいどうぞ』って入れてくれるわけないよね」
「……申請は出した」
「何のコネもない申請が通ることはないってさ」
「……だから考えている」
「あーあ、あの日チャンスだったのに。せっかく私が、こっそり鍵開けといて入れてやろうと思ったのに。全部台無しにするんだもん」
「……それ泥棒だろ」
「泥棒じゃない。何も取らないし」
「いや、そう言う問題じゃなくて」
「じゃ、何? だってさー、レイが見たいって言ったからだよ。私、うまく行くようにいろいろ段取ったのに」
「もういいよ。一人でやるから。ほっといてくれ」
「バーカ。レイのバーカ」
荷馬車の後ろのシートが捲れて、亜麻色の髪の少女アルマーマが顔を出す。
「もう、うるさい。兄弟喧嘩はあっちでやってくれる」
レイとノアが顔を見合わせる。
「兄弟じゃない」
と口を揃えて言った。
「そ、じゃ痴話喧嘩? どっちでもいいから静かにして」
「……」
違う! と言う前にアルマーマが消えて、レイとノアは気まずいまま顔を背けた。
テト地区で最も大きな都市が、商業都市として栄えているイーリアだ。イーリアはこの地方特有の白安岩を使い造られた美しい街だった。城壁は太陽の光が当たると煌めき、夜には月のように白く朧げに輝くことから白幻都市と呼ばれていた。
「見えたよレイ。白幻都市イーリアだ!」
隣で馬を走らせるレイにノアが声をかけた。
隊の後方で荷馬車の後ろについて馬を走らせるレイとノア。
「ああ」
レイは興味なさそうに答えた。
「もう、いつまで気落ちしてんの」
「いや、どうしたもんか考えてたんだ」
「だから、何でかなー。そんなストレートに『見せて下さい』って言ったって見せてくれるわけないよ」
「もういいから、何回も言うな」
「バカ正直なんだよレイはさー。ちょっとバカがついちゃうんだよ」
「うるさい」
「まさか、そんな直球で『禁術のある書庫に入らせてくれ』なんて言うと思わなかったよ。案の定、断られてさ。考えればわかるよね。そんな簡単に『はいどうぞ』って入れてくれるわけないよね」
「……申請は出した」
「何のコネもない申請が通ることはないってさ」
「……だから考えている」
「あーあ、あの日チャンスだったのに。せっかく私が、こっそり鍵開けといて入れてやろうと思ったのに。全部台無しにするんだもん」
「……それ泥棒だろ」
「泥棒じゃない。何も取らないし」
「いや、そう言う問題じゃなくて」
「じゃ、何? だってさー、レイが見たいって言ったからだよ。私、うまく行くようにいろいろ段取ったのに」
「もういいよ。一人でやるから。ほっといてくれ」
「バーカ。レイのバーカ」
荷馬車の後ろのシートが捲れて、亜麻色の髪の少女アルマーマが顔を出す。
「もう、うるさい。兄弟喧嘩はあっちでやってくれる」
レイとノアが顔を見合わせる。
「兄弟じゃない」
と口を揃えて言った。
「そ、じゃ痴話喧嘩? どっちでもいいから静かにして」
「……」
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