ある日突然家のクローゼットが悪の秘密結社に繋がった話

浅木宗太

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少しずつ日常になってきたこと

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「フジカさんってぇ~、どこの高校に通ってらっしゃるんです?」
 ほぼほぼ当たり前になりつつある怪人たちとの夕食、テレビさんがキャピッと効果音がつきそうなポーズをとりながらそう言った。
「どこって、急にどうしたんですか。」
「ほら、我々の個人情報はネットを検索すればすーぐに出てくるじゃないですかぁ?なので、フジカさんにも聞いちゃおうと思いまして」
ね!と言うテレビさんに同意するように頷くボスとリリィさん。私としては彼らの口がどこについていてどこに食べ物が消えているのか、ほぼ毎日のように一緒に食事をしていて全くわからない疑問についてこっちが教えて欲しい。
「館代附属ですよ。そこの普通科です。」
「館代と言ったら、お嬢様校じゃないですか。」
「元、ですけどね。今は共学です。」
「でも館代大学といえば魚の養殖技術とか色々と凄いですからねぇ。ボス、運動会のお弁当は豪勢にしましょう!周りに負けられないですよぅ!」
「エビフライだな?唐揚げも入れるぞ!」
「あ、うちの学校、運動会のお昼は保護者と別々ですよ?」
「なんだよ、館代も大したことねーな。」
「今ので私、館代見損ないました。」
 わかりやすく今までのテンションが急降下する怪人。どうやら運動会のお弁当の在り方一つで彼らの中のうちの学校の印象は地に落ちたようだ。
「フジカ、うちの会社、運動会ある。」
 隣に座っているリリィさんが私の袖をちょいちょいと引っ張りながら言う。
「運動会、くるといい。リリィもボスも歓迎する。」
「そいつは良い考えだな!そうと決まれば一般人にもできる競技考えなきゃだな!」
「じゃあ、私はデルドロとウルフマンに連絡入れて良い感じの食材でも集めてきてもらいますねぇ!」
「気が早い。運動会、まだずっと先」
 呆れ顔で二人を見るリリィさん。だが二人は御構い無しに運動会について盛り上がっている。一般人にもできる競技、と聞こえたあたりで一体どんな運動会を開催しているのか気になるのだが、聞くタイミングを逃してしまったため、聞けそうに無い。その後もテレビさんとボスの会話の中で鉛玉とか、爆竹とか聞こえた。まともな競技が提案されるのを心から願うばかりである。
「あ、そうだ。明日は課外がないので早く帰ってこれそうなんです。」
「おや、それは良かった!何時頃になります?」
「六時くらいには。」
「確かにいつもより早いな。それまでに明日の分の仕事終わっかな……。」
「終わらせる。ボス、逃げないでしたら終わる。」
「そうですよ。あーた、次逃げたら経理になんて言われるか。そうなったらリリィちゃんも私も知りませんからね。」
「きちんと仕事は終わらせてくださいね。ボス。」
 ボスはやる気のなさそうな顔で「へい……。」と返事をした。
「そういえば、トータさんは今日何時頃おかえりになるんですかねぇ。」
「どうかな……。」
 二日前に遊園地に行った後から、兄を見かけていない。家には帰ってきているのだが、彼の帰りが遅いのと、私がいつもよりも早く家を出るせいで生活の時間が合わないためだ。兄の帰りが遅い原因である例の事件の犯人は、あの失敗に終わった事件から息を潜めている。この一ヶ月ほどで既に未遂を含めて四件も事件が起きているのもあるが、このまま犯人を検挙できなかった場合、警察のメンツは丸つぶれだ。どうにかして捕まえようと躍起になっているらしい。かなり捜査が難航しているのだろう。
 結局その日、彼らがいる間に兄は帰ってこなかった。朝起きるとボスが詰めた兄用の夕食の入っていたお弁当箱はきれいに洗った状態でカゴに伏せてあったので、どうやら帰ってはきているようだ。指定コートを着て、マフラーを巻き、まだ薄暗い外へと繰り出す。見上げた空には厚めの雲が満遍なく広がっている。傘は必要だろうか、とも考えたが、鞄の中に折り畳み傘が入っていたことを思い出し、そのままバス停へ向かった。
 その日も特に何もない一日で、クラスメイト達はアイドルの誰がかっこいいとか、ドラマの続きが気になるだとか、そう言う話をしていた。正直、あまり芸能人にも芸能界にも興味がないため、そう言う話はあまりわからない。というか、昔からそうだったような気もする。
 規定通りの授業、ほんの少しの先生の小噺。帰りには「今から部活行きたくないよー!」なんて言う友人に「がんばれー」と励ましを。そして学校から出て、目の前のバス停に向かおうとした時、私の目の前は真っ暗になった。
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