7 / 13
警視庁零課 2
しおりを挟む
警視庁本庁・零課。突然のバイブ音に彼は急いでカバンを漁る。そして見つけたスマートフォンの表示も見ることなく、通話ボタンを押した。
「もしもし?」
「ああ、繋がりましたねぇ。」
「テレビさん?」
怪訝な顔の上司に「お隣さんです」と席を立ち、部屋の隅に移動する。
「どうしたんですか、一体。て言うかなんで電話番号を。」
「話は後々!トータさんそこ、テレビありますよね?ポチッとつけちゃってくれません?」
疑問に思いつつも、急かしてくる怪人の圧に課長のデスクのすぐ近くにあるテレビをつける。
「つけましたけど……。」
どうしたんですか?本当に。と言うよりも早く、テレビ画面から真っ黒いボディ、もとい、ボスがあの呪いのビデオよろしくの動きで出てきたのである。この時ばかりは男だらけの零課と言えど、大きな悲鳴が上がった。
「誰かと思ったら、お前か……。」
「お、志木じゃん。捜査一課から飛ばされたのかよ。っと、そうじゃねえ。トータ、フジカが帰ってこねぇ。」
「え、今の時間って。」
壁掛け時計は夜の八時半を指している。
「学校が終わってからだったら、いつもの事じゃ……。」
「違うんですよぉ!今日はフジカさん、早く帰るって言ってたんですよ!あ、テレビの中から半分だけ失礼いたします。」
テレビの中から上半身だけを乗り出した状態のテレビマンの言葉に嫌な予感が董太の脳裏を過ぎる。
「まさか……。」
「そのまさかだ。」
ボスの合図でリリィがタブレットを持って現れる。画面は地図になっており、赤い点が一つ。
「リリィ、フジカに防犯ぶざー、持たせておいた。」
「それも発信機付きのやつな。いらねえだろっつってたんだが、一番嫌な形で役に立っちまったなぁ。」
彼はため息を吐きつつ、志木の椅子に座る。志木にはこの怪人の目的がどうやら分かっているようで、課内に居た部下達に指示を出し、頭を掻く。
「お前がきたと言うことは……その、あれなんだな?」
「そうそう!分かってんじゃん志木~!つうかぶっちゃけよ?悪の秘密結社が人助けとか、世間に知られるわけにいかねーからさ。ちょっと協力してくんねーかな?」
今回はなんとなく、きな臭い感じがするんだよなぁ。と椅子の上でゆらゆらと揺れるボスに志木は顔を顰める。
「……手を貸そう。方針はどうするんだ。」
藤華に持たせた発信機の反応があったのは、町外れにある工場の中だった。町外れの工場、と言うだけあってそれは人の居なくなった寂れた町外れに建っている。元々は、大手の家電メーカーの工場だったというその建物は、二階建てのそこそこしっかりした作りをしているが故か、最近では不良達のたまり場になっているため、どうにかして欲しいという電話が入った事もある。出動しても不良達は見つかりはしなかったが。
ボスの提案したそれは、作戦、と言うにはとてもシンプルなものだった。まずは正面を切ってテレビマンとリリィが工場の中に入る。そして大怪我をさせない程度に騒ぎ、犯人の気を引いているうちに別働隊で白滝と志木、そしてボスが救出に向かう。犯人の人数など、不確定要素は大きく、相手が武器を持つ可能性もとても高い。拳銃などを持っていた場合、生身で脆い人間より我々の方が対処しやすい。と言うのがボスの考えである。一通り、話を聞き終わった志木は一つため息を吐く。
「……分かった。それならそっちはお前の言う通り、彼らに任せよう。沢目木、四谷橋、お前達は彼らと共に犯人が複数人いた場合の確保を。」
「良いんですか?志木さん。」
「……こいつとはこの零課創設時よりも前からの付き合いだ。お前達は犯人検挙だけを考えろ。後のことは俺がどうにかするさ。」
どこか思い出すような面持ちでそう告げる志木。そして「このままで居ても始まらんな」と自ら頬を軽く叩くと座っていた椅子から立ち上がる。
「こうなった以上、俺が後から本部にお叱りは受ける。代わりに一匹たりとも逃すな!開始!」
「もしもし?」
「ああ、繋がりましたねぇ。」
「テレビさん?」
怪訝な顔の上司に「お隣さんです」と席を立ち、部屋の隅に移動する。
「どうしたんですか、一体。て言うかなんで電話番号を。」
「話は後々!トータさんそこ、テレビありますよね?ポチッとつけちゃってくれません?」
疑問に思いつつも、急かしてくる怪人の圧に課長のデスクのすぐ近くにあるテレビをつける。
「つけましたけど……。」
どうしたんですか?本当に。と言うよりも早く、テレビ画面から真っ黒いボディ、もとい、ボスがあの呪いのビデオよろしくの動きで出てきたのである。この時ばかりは男だらけの零課と言えど、大きな悲鳴が上がった。
「誰かと思ったら、お前か……。」
「お、志木じゃん。捜査一課から飛ばされたのかよ。っと、そうじゃねえ。トータ、フジカが帰ってこねぇ。」
「え、今の時間って。」
壁掛け時計は夜の八時半を指している。
「学校が終わってからだったら、いつもの事じゃ……。」
「違うんですよぉ!今日はフジカさん、早く帰るって言ってたんですよ!あ、テレビの中から半分だけ失礼いたします。」
テレビの中から上半身だけを乗り出した状態のテレビマンの言葉に嫌な予感が董太の脳裏を過ぎる。
「まさか……。」
「そのまさかだ。」
ボスの合図でリリィがタブレットを持って現れる。画面は地図になっており、赤い点が一つ。
「リリィ、フジカに防犯ぶざー、持たせておいた。」
「それも発信機付きのやつな。いらねえだろっつってたんだが、一番嫌な形で役に立っちまったなぁ。」
彼はため息を吐きつつ、志木の椅子に座る。志木にはこの怪人の目的がどうやら分かっているようで、課内に居た部下達に指示を出し、頭を掻く。
「お前がきたと言うことは……その、あれなんだな?」
「そうそう!分かってんじゃん志木~!つうかぶっちゃけよ?悪の秘密結社が人助けとか、世間に知られるわけにいかねーからさ。ちょっと協力してくんねーかな?」
今回はなんとなく、きな臭い感じがするんだよなぁ。と椅子の上でゆらゆらと揺れるボスに志木は顔を顰める。
「……手を貸そう。方針はどうするんだ。」
藤華に持たせた発信機の反応があったのは、町外れにある工場の中だった。町外れの工場、と言うだけあってそれは人の居なくなった寂れた町外れに建っている。元々は、大手の家電メーカーの工場だったというその建物は、二階建てのそこそこしっかりした作りをしているが故か、最近では不良達のたまり場になっているため、どうにかして欲しいという電話が入った事もある。出動しても不良達は見つかりはしなかったが。
ボスの提案したそれは、作戦、と言うにはとてもシンプルなものだった。まずは正面を切ってテレビマンとリリィが工場の中に入る。そして大怪我をさせない程度に騒ぎ、犯人の気を引いているうちに別働隊で白滝と志木、そしてボスが救出に向かう。犯人の人数など、不確定要素は大きく、相手が武器を持つ可能性もとても高い。拳銃などを持っていた場合、生身で脆い人間より我々の方が対処しやすい。と言うのがボスの考えである。一通り、話を聞き終わった志木は一つため息を吐く。
「……分かった。それならそっちはお前の言う通り、彼らに任せよう。沢目木、四谷橋、お前達は彼らと共に犯人が複数人いた場合の確保を。」
「良いんですか?志木さん。」
「……こいつとはこの零課創設時よりも前からの付き合いだ。お前達は犯人検挙だけを考えろ。後のことは俺がどうにかするさ。」
どこか思い出すような面持ちでそう告げる志木。そして「このままで居ても始まらんな」と自ら頬を軽く叩くと座っていた椅子から立ち上がる。
「こうなった以上、俺が後から本部にお叱りは受ける。代わりに一匹たりとも逃すな!開始!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる