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作戦開始は月明かりとともに
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それは月明かりのみが頼りの暗闇の中にひっそりと息を潜めていた。高齢化から人の住まなくなってしまった家々は蔦が生い茂り、今では不法投棄された家具や家電達が山済み。それらは月明かりに照らされて、巨大で不気味な生き物が寝そべっているかの様にも見える。
「本当、よく見かける刑事ドラマやアニメで出てきそうな場所ですねぇ。助けてヒーロー!ぬぁんちゃって!」
「テレビ、煩い」
「リリィちゃんたら手厳しいんですからァ。んもう!でもね、ご安心を!わ・た・く・し、お仕事はちゃーんとこなすできる怪人ですので」
散歩にでも来たかのような軽い足取りで歩く彼等。そして次の瞬間、堂々と両開きのドアを蹴破った。驚いたのは中にいた男達で、いきなりの出来事に慌てふためく。
「おやおやまあまあ、なーんも無いんですねぇ。あ、もしかしてリフォーム中でした?」
作りかけと思われるテレビ画面も、機材も何もかも端へ寄せられ、中央に置かれた簡易テーブルと椅子だけの光景に見回すような仕草をしながら言う。流石にその様子に今になって怒りを覚えたのか、突っ立っていただけの男達は攻撃態勢に入る。
「お前らなにもんだ!」
「あ!私ですか?私、悪の秘密結社、メディア部門を任されております、ァ、テレビマンと申します!」
「人事部部長。死霊使い系女子リリィ・リビンデッド。お前達もこき使ってやるよ」
しっかりと口上を述べ、どこか満足げな二人に対し、意味の分からない二人組におふざけとしか思えない自己紹介まで披露された男達の怒りのボルテージは最高潮に達する。
「ふっざけやがって……!やっちまえ!」
その声を合図に鉄パイプを持った男が襲いかかる。しかし、当人達は動く気配を見せない。
「これだから血の気の多い方々って嫌なんですよねぇ。ま、幸いここには数多くの同胞達がありますし」
パチン、と指を鳴らすテレビマン。すると壁際に積まれた大量のテレビの画面が一斉に光を放つ。男達は光をまともに直視してしまった事、そして長時間薄暗い環境下にいた為にそれは効果的な目潰しとなってしまう。何人かは武器を落とし、手で目を覆っている。
「今ですよ、リリィさん」
「分かっている」
不機嫌そうな顔のリリィは手に持っていたぬいぐるみを放り投げた。ぬいぐるみはそのまま落下する事なく、宙に留まる。
「捕まえろ。一匹も逃すな」
彼女がそう命令を下せば、それから無数の腕が出てきて男達をがんじがらめにしていく。その様子を見届けた二人は外の警察官達に合図を送る。
「協力ありがとうございます!あとは課長達を待つだけです。」
「まあ、我々手塩にかけた夕食を冷やご飯にされた恨みがありますし?ボスならどーにかできるとは思うんですけどもぉ。」
画面に青白い光をチカチカと点滅させながら首を傾げる。
「なーんか、嫌な予感がするんですよねぇ。」
「本当、よく見かける刑事ドラマやアニメで出てきそうな場所ですねぇ。助けてヒーロー!ぬぁんちゃって!」
「テレビ、煩い」
「リリィちゃんたら手厳しいんですからァ。んもう!でもね、ご安心を!わ・た・く・し、お仕事はちゃーんとこなすできる怪人ですので」
散歩にでも来たかのような軽い足取りで歩く彼等。そして次の瞬間、堂々と両開きのドアを蹴破った。驚いたのは中にいた男達で、いきなりの出来事に慌てふためく。
「おやおやまあまあ、なーんも無いんですねぇ。あ、もしかしてリフォーム中でした?」
作りかけと思われるテレビ画面も、機材も何もかも端へ寄せられ、中央に置かれた簡易テーブルと椅子だけの光景に見回すような仕草をしながら言う。流石にその様子に今になって怒りを覚えたのか、突っ立っていただけの男達は攻撃態勢に入る。
「お前らなにもんだ!」
「あ!私ですか?私、悪の秘密結社、メディア部門を任されております、ァ、テレビマンと申します!」
「人事部部長。死霊使い系女子リリィ・リビンデッド。お前達もこき使ってやるよ」
しっかりと口上を述べ、どこか満足げな二人に対し、意味の分からない二人組におふざけとしか思えない自己紹介まで披露された男達の怒りのボルテージは最高潮に達する。
「ふっざけやがって……!やっちまえ!」
その声を合図に鉄パイプを持った男が襲いかかる。しかし、当人達は動く気配を見せない。
「これだから血の気の多い方々って嫌なんですよねぇ。ま、幸いここには数多くの同胞達がありますし」
パチン、と指を鳴らすテレビマン。すると壁際に積まれた大量のテレビの画面が一斉に光を放つ。男達は光をまともに直視してしまった事、そして長時間薄暗い環境下にいた為にそれは効果的な目潰しとなってしまう。何人かは武器を落とし、手で目を覆っている。
「今ですよ、リリィさん」
「分かっている」
不機嫌そうな顔のリリィは手に持っていたぬいぐるみを放り投げた。ぬいぐるみはそのまま落下する事なく、宙に留まる。
「捕まえろ。一匹も逃すな」
彼女がそう命令を下せば、それから無数の腕が出てきて男達をがんじがらめにしていく。その様子を見届けた二人は外の警察官達に合図を送る。
「協力ありがとうございます!あとは課長達を待つだけです。」
「まあ、我々手塩にかけた夕食を冷やご飯にされた恨みがありますし?ボスならどーにかできるとは思うんですけどもぉ。」
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