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女子高生、異世界へ行く。

一般人、召喚術を見学する

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凄い見覚えのある人だなぁというのがはじめに思ったことです。いえほんと。
割と大掛かりな支度までして呼び出された当人……破壊神と名乗っていたその人は紙の上に乗せられていた素材達をマントの下にゴソゴソとしまい込む。格好こそ、ファミレス前に倒れていた時と同じだが、その手には万年筆と硝子ペンを足して二で割ったようなデザインの大きな杖が握られており、本人も宙に浮いた状態であぐらをかいている。
「もう一度聞くぞ?何用だクソジジイ」
「帝国軍の目撃情報があった。調査だ調査」
ダレンさんはそう言いながら地図を壁から外し、テーブルの上に広げる。そして、持っていたままの杖で地図の二十五分割されたうちの一区画、B-2区画を指す。
「目撃情報が本当だった場合はお前さんにはこの区画でミスターを呼んで欲しい。だが先ずは本当に居るかどうかだ」
「索敵からやれと」
「その通りだ」
頷く老人にその人は深くため息をついた。そして「対価は充分だしなぁ」と呟くと右手に持っていたペン杖で頭上に丸を描く。
「行け。いけ好かんあの連中を見つけたら戻ってこい」
指示を出すと同時に指を鳴らす。ポンッという音と共に丸っこい蝙蝠のような生き物が弾丸のように飛び出していく。ついでに窓ガラスも割れた。
「あれはサービスで直しといてやる」
「当たり前だろが」
透過しろって言ってんのにいつまで経っても覚えやしないな……とボヤきながら左手で破壊された窓ガラスに触れ、「お前は割れていない」と呟くと、飛び散っていたガラス片が窓枠へと戻っていく。全部集まるとカチカチと音を立てて一枚のガラスへと変わる。
「あの方の能力、破壊神という名前のくせに言葉で相手を錯覚させたりするというものなんですよね。物質にも干渉できるのでそこは流石人智を超えた者って感じですが」
「煩いぞ保管庫。言葉は慎め」
言われたルベドさんは特に悪びれる様子もないどころか「イヤですねぇ、そんな怖い顔しないで下さいよ」と平然と言ってのけている。だいぶ肝が座っているようだ。私はいつの間にか足元に居た花ガエルの幼生を抱き上げる。この子は元々庭に居た一匹だが、何故か私についてまわるようになり、しまいには家の中が快適であると気が付いたのか、完全室内飼いですが?というような顔でアーチボルト邸の一階部分を好き勝手にうろついている。
「さっきのが帰ってくるまでお茶でもいれます?多分そろそろお湯が湧いてると思うんですよね」
「それもそうだな、茶を飲みながら作戦については話そう」
じゃあ、お茶いれてきますねと言おうとするとパリーンッ!と言う音と共に黒い塊が今修復されたばかりの窓をぶち抜いてさっきの子が戻ってきた。
ダレンさんも破壊神さんもお互いに無言で頷きあった後、片方は窓ガラスを修復し、片方は使える椅子を集めてきていた。
窓をぶち破った本人は凄く誇らしげな顔をしていた。
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