ドスグロ団地

charmee

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インタビュー一周目

201号女性Fへのインタビューを終えて

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複雑な話になって来たな…。

ニイサカは団地近くのスーパーマーケットのベンチに腰掛けていた。

F氏から帰りがけにもらったキュウリの浅漬が入ったビニール袋を恨めしくみながら、頭の中を整理する。

事件(かどうかはまだわからないが)当日、F氏は11:55に慌てて階段を駆け上がり204号室の方向へ走っていく管理人A氏を見ている。

しかし103号室のD氏は、12:00丁度のお祈りの時間に2階から物音がしたと言っている。

I氏は首吊りによる自死とされている。大きな物音は首を括った瞬間と考えるのが普通だろう。

つまり…首を括る前に管理人は204号室へ行っていた?何故?なんのために?

ビニール袋からキュウリを取り出し、ひと齧りする。

珍しいのか女子中学生の集団がニヤつきながらニイサカの横を通って行く。

純朴そうな彼女達に妙に田舎を感じる。

田舎の団地で起きた事件…この段階で事件というのは勇み足だろうか。

F氏の部屋には高そうな衣服やカバンがたくさんあった。

アクセサリーも乱雑に置かれ、年齢の割に化粧品も充実していた。生活保護受給者とは思えない。

彼女は、104号のE氏はクスリでもやっているんじゃないかと言っていた。鋭い。それは恐らく正解だ。

101のB氏と102のC氏が売春?それはさすがに飛躍しすぎだろう。

イヤ、待てよ。サイレンが鳴った時に202号のG氏が出て来たのは101号か102号の可能性が高い。

もしその時…

いや、やめよう。可能性を広げるのは重要だが、先入観を持ち過ぎても良くない。

もうひとつ目撃情報、死んだI氏と203号のH氏はやはり仲が良かったようだ。

それ以上にI氏とC氏が仲良く話していたと言っていた。しかしC氏は「会釈くらいしかした事がない」と話している。

隠さなければならない理由があるのだろう。

そしてF氏はD氏と同様、「I氏は殺されたんだと思う」と話している。二人共一切根拠は無い。

少し興奮して来た気持ちをグッと沈めて、G氏とH氏のインタビューに望もう。


それにしてもこの浅漬はうまい。
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