ドスグロ団地

charmee

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インタビュー一周目

203号男性Hへのインタビューを終えて

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鳥肌が立った。

頬の筋肉が小刻みに揺れている自覚があった。

H氏に気付かれてはいなかっただろうか。

ニイサカは今日宿泊するビジネスホテルにいた。

夜は地元の居酒屋で旨い肴を食べるつもりだった。

店の検索までしていた。

しかし、今ニイサカの眼の前にはベッドに置かれたコンビニ弁当と濃い目のハイボール缶が見える。

混乱と興奮。

とても外出する気にはなれない。

しかし今日は強い酒を飲まなければならない。

アルコールで高揚を抑えるという普段とは逆の作業が必要だ。

会社に報告せねば。と思ってから、まずは落ち着こうと椅子に腰掛けたら動けなくなってしまった。

体は全く動かないのに、内心異常に動揺している。

この動揺はインタビュー中からだった。

いつもより質問も早口だったに違いない。

Hには気付かれないように努めたが、どうだったかはわからない。

「ニイサカがH氏に気付いた」事に気付いたかもしれない。

動揺のせいでインタビューの内容は褒められたものではなかった。

と言うか若干上の空な部分もあり、この後の動画チェックが憂鬱でもある。

とりあえず今覚えている事は、H氏の回答はすべて当たり障りなかった…結局のところインタビューを嫌がっていたのだ。

あと通報の内容と時系列に整合性がない。

管理人かH氏が嘘をついている事になる。

それか201号のF氏が、全く無意味に足音を聞いたと嘘をついている。

それはないだろう。今のところ、彼女が嘘をつく意味が無い。

そう言えば…201号のF氏はH氏の事を「どこかで見た気がする。」と言っていた。

鋭い女性だ。普通は気付かない。

あれから時は流れ、H氏も大分成長している。

一部の週刊誌やインターネットでは、当時彼の顔を拝む事ができただろう。

いや、今だって検索すればすぐに出てくるはずだ。

俺は職業柄、何度も何度もイヤというほど彼の顔写真を見ている。

それでも10年は前の話だ。

生気のない青白い顔

切れ長のキツネ目

額を隠す直毛の髪

痩せ型の体型

間違いない…

彼は14歳にして連続殺人事件の犯人

Hこと「ミカミソウイチ」だ。

ニイサカは350mlのハイボールを一気に飲み干した。

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