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6章

9話 心から

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「どうしたの?」

 坊ちゃんが,僕の顔をじっくりと覗き込んだ。
 僕はそれを見て,坊ちゃんの腕の中にいるのだと改めて感じてホッとする。

「坊ちゃん,暖かくて,心地いいですね」

 僕は、坊ちゃんの首に手を回して,耳元で呟いた。ちゃんと聞いて欲しいと思ったから。それに,僕自身が坊ちゃんを感じたかった。

「ん?……そうだね」

 一瞬,聞き取れなかったのか坊ちゃんは頭にはてなを浮かべた。けれど,すぐに優しげな表情になって,僕の額にキスを落とした。

(坊ちゃんになら,やっぱり……坊ちゃんには,我慢をしてほしくない……)

 心の中で強く自分がそう言った。それから,何度も見たことのある表情に,余計に落ち着いて,冷静になって考える。そうして,どうしてもカイン様の願いを叶えてやりたいと思った。今まで,我慢させてきた分まで。

「だから,我慢しなくていいと……」

 恥ずかしくなりながらも,坊ちゃんの手をとり、自らの臀部へと誘う。

「えっ……」

 もう一度,驚いた表情をしてから,坊ちゃんは嬉しそうな表情を浮かべて、「いいの?」と尋ねた。

「いいです……」

 恥ずかしさも相まって僕は俯いて頷いた。だから,その時の坊ちゃんのことは見れなかった。それに,何より僕は坊ちゃんの言葉を聞いて,この人に抱かれるんだと改めて理解した。

「……そっか,なら,ゆっくり,慣らさないといけないね」

 少しの沈黙のあと,坊ちゃんが優しくお尻の側面をなぞってきた。

「そ,それは……」

「動かないでね」

 子どもを慰めるかのように優しく言って,ゆっくりと体積を感じた。

「大丈夫?」

 それを聞かれて,すぐに僕は頷いた。

「なら,動かしちゃうね」

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