現実世界でも異世界でも最弱の俺が最強として扱われているのはどう考えてもおかしい。

友樹 みこと

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【外伝】旅の理由

【クラリス・クラリア】魔族の子どもなのに、天使なんてどう考えてもおかしい

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クラリス・クラリアが産まれたのは、魔界最北の地、凍てつく闇の街フリズダウンと言う場所だった。
ユニコーン達が棲まうこの地は、誰も寄り付こうとはしない。年中闇が空を覆い、雪が降り続ける極寒の地に生物が生きれる環境はない。水でさえも凍りつくこの地は快適とは言えず、誰も領土としても欲さなかった。その上ユニコーンは魔界でも強力な魔族として知られている。基本的なステータスは低いがその角に触れたものは一瞬で絶命すると言われていたのだ。
ユニコーンの両親の間にある日、人型の子どもが産まれた。
それ自体は珍しいことではない。ただ、その人型のユニコーンには、聖属性が備わっていたのだ。
両親は娘である人型を隠した。もし見つかってしまえば自分達まで異端だと思われ周囲から何をされるかわからない。
しかし、3日足らずで人型の存在が見つかってしまった。
人型は強い魔力を持ち、聖属性を持っていたため、氷の地の長である、女王ヘル・コキュートがすぐに勘付いたのだ。
ヘルは人型を捕まえ、人型の聖属性を分離する儀式を行った。
それは見せしめのため街の中心で行われ、ヘルは人型の肉体を複製し、そこに聖属性を完全に分離した。
そして、聖属性の人型に刃を突き刺し全てが終わるはずだったその時、2人がその手を左手と右手で掴む。
2人には方翼づつ白と黒の翼が生え、その魔力は膨大な量に膨れ上がる。
ヘルはその瞬間気付いた。彼女は魔族の子どもではなく、天使だった。それを、魔族に産ませることで堕天させ意図的に作られた堕天使であると。
聖属性と魔属性を持つ唯一の存在、堕天使。それをユニコーンに産ませることにどれほどの意味があるのかは未知だったが、誰かが意図的に行ったことは間違いない。
ヘルはその引き金を引いてしまった。分離することで、聖属性と魔属性をより強く認識し、その存在をより濃く確かなものにしてしまった。
彼女達は自我を持たずただひたすらに暴れまわり、街の全ての住人を殺害した。

気付いたとき2人は、白いワンピースを着ていた。
その時、すでに人間でいう7歳くらいの肉体は持っており、両足で立つ事が出来た。
記憶は曖昧で、自分がいる場所はどこなのかわからない。
ただ、優しい声と共に一つの言葉だけが彼女達には残っていた。

「溶けることのない雪のように闇がありますように」

彼女達がこの言葉の意味と、過去に向き合うのはしばらく後の話である。
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