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第2章 教え子は小悪魔ちゃん?
第12話 女子校生「センセイに〇〇〇されちゃった」
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朝から疲れた。
五十嵐の誤爆に晒されて身体はすでにボロボロ。
邪な妄想をしてしまったおかげで心はモンモン。
下腹に熱湯が溜まって破裂しそうだった。
どうにか心に平穏を取り戻したものの、油断すると五十嵐のあられもない姿がフラッシュバックしそうになる。
そんな臨界状態みたいなメンタルで今日も今日とても愛宕女学院に出勤した。
今日は挨拶当番なので校門に立って生徒達を出迎える。
四月中旬。この時期は入学したばかりの新入生達が馴染まない制服を着て登校してくるのがお馴染みの光景だ。
五十嵐にもあんな時期があったなぁ。
中一の少女達と今朝送られた写真を比べ、なぜか感慨深くなった。
ランドセル背負ってる小学生と大差ないお子ちゃまだったあの子が、いつの間にか大人びたカラダになっていた。
あの子は現在十六歳。かつては結婚可能年齢だったし、なんなら妊娠だってできるから確実に大人に近づいている。
だが肉体が大人になっても不用意にあんな画像を送ってしまう辺り、心はまだまだ子供だ。
今一度あの子には『判別ある行動とは何か』をきちんと説明してやらねばならない。
「おはようございます、能登先生!」
「お、おはよう……五十嵐」
五十嵐には威厳ある教師として接しないと、と思っていた矢先、その五十嵐がぴょこんと現れた。
他の生徒はそのまま校門を潜っていくのに、五十嵐は俺と真正面で対峙した。
なぜ……?
「先生、どうかしました?」
きょとん、と小首をかしげる無垢な五十嵐と、あの画像の中の彼女が重なる。
ふざけてふしだらに着崩した白百合の妖精……。
制服の下に隠された神秘的官能……。
写真集の中に住んでいる男の妄想……。
いかん、いかんぞ!
本人を前に妄想するなんて。
教師の威厳、教師の威厳……。
「な、なんでもない……」
「そうですか。それはそうと先生、昨日の夕べはありがとうございました!」
「ちょっ…… 五十嵐、その話は……」
その話とはどの話?
実は俺がバツイチなこと。
家に引っ張り込んだこと。
連絡先を交換したこと。その流れであられもない画像を受信したこと。
脛の傷が多すぎて自分でも軽く引いている。
どれか一つでもバレたらアウト!
「えー、なになにー? 凪音と能登っち、何かあったのー?」
そこに彼女の親友の春日ひまわりがひょっこり顔を出した。
「えへへー。実はね――」
「五十嵐、ストップ!」
「なによー、能登っち~。私のことのけものにしないでよー。それとも私に知られるとまずい話なわけ?」
まずいんだなぁ、これが。免職と免許剥奪レベルの話なんだ~。
「昨日、能登先生にまた助けられちゃった!」
もう間に合わない!
さよなら愛宕女学院、よろしくお願いしますハローワーク。
自らの命運が決したと諦めた。
が、五十嵐の口から出たのはまったく別な話題だった。
「えー、何それー? 何があったの?」
「えっとね、下校途中に他所の学校の男子に絡まれたんだけど、そこに能登先生が駆けつけて守ってくれたの!」
「ひゅー、能登っちやるー!」
いやいや、俺は当然のことをしたまでですよ。
と、謙遜するが、首の皮一枚繋がった状況に心底安堵した。
お礼はあの少年のことか。紛らわしい。
「それにしてもこの前といい昨日といい、立て続けに能登っちに助けられるなんて……。もしかして能登っちが凪音の運命の相手だったりして?」
「やだもう! ひまわりったら何言ってるの!?」
ほんと、何言ってるんだこの子は。ナンパから助けたくらいで運命だなんて……夢見がちなこと考えるところは本当に女の子だな。
「先生にはもう運命の人がいるんだよ?」
「あはは、だよねー。んー、でも凪音なら略奪愛しそう」
「えー、私ってそういう感じ? でも人のモノほしくなる気持ちちょっと分かるなー」
「わー、彼氏できても凪音には紹介できないやー……」
ケラケラ、と無邪気に笑ってるけど、何気に会話内容エグいよ?
ともかく、五十嵐は約束を覚えていた。昨晩バツイチなのを知った上で俺を妻帯者として扱ってくれる配慮と演技力には頭が上がらない。
「それじゃあ能登っち、またあとで教室でねー」
パタパタとローファーでリズムを刻み、春日が去っていく。嵐が去り、肩の力が一気に抜けた気がした。
「それでは先生、私も教室に行きますね」
「あ、あぁ。今日も一日よろしくな」
「はい、よろしくお願いします! それはそうとセンセイ?」
瞬間、俺の周りの空気が二度ほど低下した。
唐突にやってくる、人智を超えた自然の力。
それは昔、皆既日食を観察した際、太陽が隠れて生じた温度差に似ていた。
「今朝送っちゃった画像、センセイに差し上げますね」
草花がそよ風に揺れるような、囁き声。
すごく優しい声音なのに、俺を掴んで揺さぶる超常現象。
差し上げる? え、あの画像を?
……いやいや、それはまずいだろ!?
俺が送らせたわけじゃないからギリセーフ(だと思う)。でもそれをありがたく頂戴したらそれはアウトだろ!?
かといって既読つけた画像を今更取り消すのは不可能なので証拠の抹消は不可能だ。
……あれ、これって結構マズい?
五十嵐の誤爆に晒されて身体はすでにボロボロ。
邪な妄想をしてしまったおかげで心はモンモン。
下腹に熱湯が溜まって破裂しそうだった。
どうにか心に平穏を取り戻したものの、油断すると五十嵐のあられもない姿がフラッシュバックしそうになる。
そんな臨界状態みたいなメンタルで今日も今日とても愛宕女学院に出勤した。
今日は挨拶当番なので校門に立って生徒達を出迎える。
四月中旬。この時期は入学したばかりの新入生達が馴染まない制服を着て登校してくるのがお馴染みの光景だ。
五十嵐にもあんな時期があったなぁ。
中一の少女達と今朝送られた写真を比べ、なぜか感慨深くなった。
ランドセル背負ってる小学生と大差ないお子ちゃまだったあの子が、いつの間にか大人びたカラダになっていた。
あの子は現在十六歳。かつては結婚可能年齢だったし、なんなら妊娠だってできるから確実に大人に近づいている。
だが肉体が大人になっても不用意にあんな画像を送ってしまう辺り、心はまだまだ子供だ。
今一度あの子には『判別ある行動とは何か』をきちんと説明してやらねばならない。
「おはようございます、能登先生!」
「お、おはよう……五十嵐」
五十嵐には威厳ある教師として接しないと、と思っていた矢先、その五十嵐がぴょこんと現れた。
他の生徒はそのまま校門を潜っていくのに、五十嵐は俺と真正面で対峙した。
なぜ……?
「先生、どうかしました?」
きょとん、と小首をかしげる無垢な五十嵐と、あの画像の中の彼女が重なる。
ふざけてふしだらに着崩した白百合の妖精……。
制服の下に隠された神秘的官能……。
写真集の中に住んでいる男の妄想……。
いかん、いかんぞ!
本人を前に妄想するなんて。
教師の威厳、教師の威厳……。
「な、なんでもない……」
「そうですか。それはそうと先生、昨日の夕べはありがとうございました!」
「ちょっ…… 五十嵐、その話は……」
その話とはどの話?
実は俺がバツイチなこと。
家に引っ張り込んだこと。
連絡先を交換したこと。その流れであられもない画像を受信したこと。
脛の傷が多すぎて自分でも軽く引いている。
どれか一つでもバレたらアウト!
「えー、なになにー? 凪音と能登っち、何かあったのー?」
そこに彼女の親友の春日ひまわりがひょっこり顔を出した。
「えへへー。実はね――」
「五十嵐、ストップ!」
「なによー、能登っち~。私のことのけものにしないでよー。それとも私に知られるとまずい話なわけ?」
まずいんだなぁ、これが。免職と免許剥奪レベルの話なんだ~。
「昨日、能登先生にまた助けられちゃった!」
もう間に合わない!
さよなら愛宕女学院、よろしくお願いしますハローワーク。
自らの命運が決したと諦めた。
が、五十嵐の口から出たのはまったく別な話題だった。
「えー、何それー? 何があったの?」
「えっとね、下校途中に他所の学校の男子に絡まれたんだけど、そこに能登先生が駆けつけて守ってくれたの!」
「ひゅー、能登っちやるー!」
いやいや、俺は当然のことをしたまでですよ。
と、謙遜するが、首の皮一枚繋がった状況に心底安堵した。
お礼はあの少年のことか。紛らわしい。
「それにしてもこの前といい昨日といい、立て続けに能登っちに助けられるなんて……。もしかして能登っちが凪音の運命の相手だったりして?」
「やだもう! ひまわりったら何言ってるの!?」
ほんと、何言ってるんだこの子は。ナンパから助けたくらいで運命だなんて……夢見がちなこと考えるところは本当に女の子だな。
「先生にはもう運命の人がいるんだよ?」
「あはは、だよねー。んー、でも凪音なら略奪愛しそう」
「えー、私ってそういう感じ? でも人のモノほしくなる気持ちちょっと分かるなー」
「わー、彼氏できても凪音には紹介できないやー……」
ケラケラ、と無邪気に笑ってるけど、何気に会話内容エグいよ?
ともかく、五十嵐は約束を覚えていた。昨晩バツイチなのを知った上で俺を妻帯者として扱ってくれる配慮と演技力には頭が上がらない。
「それじゃあ能登っち、またあとで教室でねー」
パタパタとローファーでリズムを刻み、春日が去っていく。嵐が去り、肩の力が一気に抜けた気がした。
「それでは先生、私も教室に行きますね」
「あ、あぁ。今日も一日よろしくな」
「はい、よろしくお願いします! それはそうとセンセイ?」
瞬間、俺の周りの空気が二度ほど低下した。
唐突にやってくる、人智を超えた自然の力。
それは昔、皆既日食を観察した際、太陽が隠れて生じた温度差に似ていた。
「今朝送っちゃった画像、センセイに差し上げますね」
草花がそよ風に揺れるような、囁き声。
すごく優しい声音なのに、俺を掴んで揺さぶる超常現象。
差し上げる? え、あの画像を?
……いやいや、それはまずいだろ!?
俺が送らせたわけじゃないからギリセーフ(だと思う)。でもそれをありがたく頂戴したらそれはアウトだろ!?
かといって既読つけた画像を今更取り消すのは不可能なので証拠の抹消は不可能だ。
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