神堕ちのランドスケープ  ~魔王の第2王女は澱みなく~

ゆんさん@

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第6話 「神殿の秘密」

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禁断の神殿の扉の前に立ったエスデスとレオンは、巨大な石の扉に彫られた細かいレリーフを眺めた。
それは神々の戦いや人々の生活を描いたもので、両者の関係の深さを物語っていた。

「この扉を開けるには、特別な呪文が必要だろう」とレオンは言い、
古い書物から得た知識を頼りに唱え始めた。
エスデスは彼の横で、心の中で彼を支えていた。

数分の沈黙の後、扉はゆっくりと開いた。
中からは深い闇と、微かに輝く光が見えた。二人は息を呑み、神殿の内部へと足を踏み入れた。

中は広大な空間が広がっており、中央には巨大な祭壇があり、その上には輝く宝石が置かれていた。
その周りには沢山の彫像が配置されており、それぞれが神々の姿をしていた。

「この祭壇の宝石…ラグリア王国を守る力を持っているのかもしれない」
とエスデスがつぶやいた。

レオンは祭壇に近づき、宝石を手に取った。その瞬間、彫像たちが動き始め、神殿の中は赤、青、黄色の光で満たされた。彫像たちはエスデスとレオンの前に立ちはだかり、警護の姿勢を取った。

「これは試練の一部なんだろう。」レオンは宝石を元の場所に戻しつつ、エスデスに向かって言った。
「この彫像たちと戦わずに、宝石を手に入れる方法を考えなきゃね。」

エスデスは深く考え、彼女の瞳にはかつての神話の一節が浮かんできた。「神堕ちの詩」である。それは神が人間の世界に堕ち、その過程で多くの試練を乗り越えた物語だった。その詩には、彼女が求める答えがあるかもしれないと直感した。

「レオン、『神堕ちの詩』を覚えてる?」とエスデスが問うと、レオンは驚きの表情を浮かべた。

「もちろん。それがこの場面で役に立つと?」彼は不安げに尋ねた。

エスデスは頷き、
「神堕ちの詩には、神が人間として試練を乗り越える際、心の純粋さと誠実さが鍵となったという部分がある。この彫像たちも、私たちの心の中を試しているのかもしれないわ」

レオンはエスデスの考えに賛同し、二人は手を取り合い、心を一つにして彫像たちの前に立った。

その後、エスデスが柔らかな声で「神堕ちの詩」を歌い始めた。

響き渡る、まるで澱みのないエスデスの歌声。神殿内を圧倒的神秘が包み込む。

まるで全てのものがその動きを止めるような。


すると、彫像たちがエスデスの歌声に反応し、次第にその動きを鈍らせ、やがて最終的には完全に静止したのだ。

歌が終わると、神殿内部は静寂に包まれた。

レオンは驚きと感動の表情でエスデスを見つめ、
「君の考えは正しかった。心の純粋さと誠実さ、それがこの試練の鍵だったんだ」と言った。

二人は再び祭壇に近づき、宝石を手にすることができた。

しかし、これからの旅はまだ長い。
神堕ちの詩が示すように、二人の前にはさらなる試練が待っているのかもしれない。
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