産業創世記 ギデオン(休載中)

初書 ミタ

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第1章 監獄の住人17-30

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そして、ユダヤ人を苦しめる最大の要因ともなった、イエオーシュアです。


ローマを支配する偽の王サンヘドリンも安泰ではありませんでした。

ローマの施政者と癒着し、腐敗し、民衆は苦しみました。

しかし、その支配者は、一人の若者に脅かされます。



彼は、サンヘドリンの悪政に声をあげ、12人の仲間とともに人々を救い

励まし、諦めないことを教えました。今は、神の御言葉を伝え、真の世界の

あり方を述べた、クムラン教団の盟主であり、ペルシャに逃れた真の王家

ナスィを取り戻そうとしました。しかし彼は、12使徒ではなく

ある裏切り者の手により、過酷な拷問の末、その命を散らせます。



彼の信奉者の中核12人と信徒は、卑劣なローマ帝国と悪魔のようなサンヘドリン

と言う偽のヤハウェ、偽の王に痛めつけられ、犯され、殺され、そして逃げました。

それは屈したためではありません。彼らの役目は、救済者であり革命家の

イエオーシュアの言葉を残し、彼の遺志を継ぐためだからです。

ペルシャ帝国の庇護を得た彼らは、役目を終えると、自然に消えていきました。




このことは、後に死海文書、ナグハマディ文書として残っています。


敵であるローマ帝国を、血や暴力でなく 「愛」によって屈服させ

完全に作り変えました。それ以降、彼は、神の子と呼ばれました。



しかし彼の死は、小さな石の投げかけか、とも思われました。しかし、その小波は

大きなうねりとなり、全ヨーロッパ、大航海時代においては全世界に広がり、

ヘブライ文明、ローマ文明、そして世界全体を飲み込んだのです。

彼を密告し、架刑にかけた、裏切りのパウロは、彼の死後、真実を知り

信仰に目覚め、人生を慈愛に満ちたそのイエオーシュアとその隣人に

人生をその生命を賭け、その人生を逆賊として過酷に閉じました。


しかし彼の遺志はパウロの使徒に引き継がれ、

ユダヤ人で無いものをも引き込み、ついに成就したのです。


現在、大英国で貴族になったギテオンは、彼の信者であり、

表向きはキリスト教徒だと認識されています。




「シオン公女、ギデオン卿からのお手紙を預かっております。

ロンドン到着の直前に渡すようにとのことです。」

(ギテオンが手紙? なぜ、オスマン領内で渡さなかったのかしら)

シオンはペーパーナイフを取り上げるとヘブライ語の手紙を開けた。






(はじめまして王女殿下、いえお久しぶりと言うべきでしょうか。

大英帝国では我々ユダヤ人の扱いはよろしいほうでしたが

ここ最近は暗雲が立ち込めております。

ユダヤ人区画ゲットーに、賊が入り込み手に負えないのです。

国王を動かそうにも、先代の王と違いモーセスハッペンハイムを使い

自由にできると言うわけではありません。わたくしも国王への謁見を

望んでも相手にされない始末。王女殿下は戴冠式にてオスマン帝国の

大帝の名代、直接話せる機会が必ずあるはずでございます。

出自はよろしくないのですが、モーセスの推薦する優秀な若者、

ハイヤーハムシェルバウアーと言う青年を接待役としております。

年頃は殿下の2つ下、15歳でございます。類稀なる才覚を持つもの

我々の運命を殿下に託します。ご無礼を承知でお願い申し上げます。

言い忘れましたが御寝所は、7階でございます。お楽しみください)





「真なる王か・・・。重いわね。」


(シオンは大英帝国のユダヤ人がヨーロッパの虐げられたものたちが

自分をどう見るかは理解していた。

私はもう、公爵家の箱入り娘ではない、自己の宿命を果たさないと。)


コンコン、部屋のドアがノックされる。

手紙を読むためかの英国紳士は部屋から出ていたのだ。


「どうぞ、はいりなさい。」


ふと外を見ると、巨大な船がたくさん並んでいる。

鉄でできた建物からはもうもうと煙が上がっていた。

濃い霧が辺りを包んでいた。そしてそれをしのぐように灯りがあった。


「ここが、大英帝国、世界最大の大帝国。」



シオンは思わず言葉を漏らしていた。


「殿下、これくらいで驚かれては大変ですよ。まもなく到着いたします。」


英国紳士は自身の国家がかつての大帝国オスマンから見ても、

驚愕に値するものだと知り満足げにうなづいていた。


(さあ、気を引き締めて、臆病にならず、そして驕らず。)


「いくわよ」


シオンはひとり自分に言い聞かせるようにつぶやいた。


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