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第1章 監獄の住人17-30
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しおりを挟むユダヤ人が襲撃事件を警戒し、すべての財産を
マンチェスターのゲットーに集積している。
英国中にそんな噂が流れていた。
幾人かのエージェント、さくらが混じる中、
ハイヤーハムシェルは混乱する民衆に語りかけた。
「かつての中世で、働くことの報酬は唯一
食べていくことでした。それが例えキリスト教徒にとっても
唯一の財産であり権利。まさに暗黒の時代です。」
「どんなに努力しても、いかなる犠牲を払おうとも、
百姓は王や貴族になれない、将軍になれない。
ただ生きていくことそれが対価でした。」
「そんなことが許されていいのか、この革命で
この大英帝国での革命で、それは覆された。」
「我々ユダヤ人は、ゴミ拾いや乞食、売春をやめ、
労働者となった。われわれは時間を売ることによって
自由を権利を得た。これを手放すことは死と同意義。」
「我々を信用して欲しい。賊を破滅させるため、
すべての財産をカルテルが預かりましょう。」
大衆柄悲鳴が上がる。
様々な抗議の声が上がってきた。
ある乞食は言った。
「ふざけるなー、お前らは傍観していたじゃないか、
貴族として暮らし、何もしなかった。
お前らなんか仲間じゃない。信用できるかー。」
ある売春婦は言った。
「賊から身を守るためといえ、全財産をとおっしゃるのですか。
信用できません。何か、何か、保障はあるのですか。」
さらに怒号の飛び交う中、澄んだ声が響き渡った。
「無論、何の担保もなしにとは言いません。
王家である私が担保となりましょう。」
「大英帝国皇帝と交渉し、この地に再び平和を取り戻します。」
「我が祖ドーニャグラツィアナスィの誇りに誓って。」
一人のラビが跪いて祈る。
「おお、こんな塵石のために、ヘロデの至玉をと。」
シオンが下がりハイヤーハムシェルが、声を張り上げる。
「皆さんの血と汗の結晶、労働の対価は決して 塵などではない。
ここはもはや、暗黒の中世ではない。皆さんの時間は
王の命と等価なのです。」
「それほどまでに憂慮されている。オスマンからやってこられた。
神ヤハウェと契約したモーセの正統なる後継者、
我々の王が!」
一面の大衆は、静まり返っていた。
マンチェスターのゲットーの住人は宝石を預け、
一時的に郊外にテントを張って、避難することになった。
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