産業創世記 ギデオン(休載中)

初書 ミタ

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第1章 監獄の住人17-30

30

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戴冠式を控え、シオンナスィがロンドンのウエストミンスター

に向かった後、2日後。



マンチェスターのシナゴークの前にヘアリング商会のごろつきがいた。

パトリシアシャムロックは犯人がケルト人であることが分かると

ボウストリートランナーの一人として、密偵にやってきていた。

パトリシアはヘアリング商会の一人に言った。




「却って仕事がやりやすくなってよかったんじゃない。」




「そうだな、豚共、豚小屋に石を集めやがった。」




内心パトリシアは憤怒の念を抱いていた。

貴族や王を狙うならまだしも、貧民、民百姓を狙うがごとき所業

到底許せるものではなかった。

このゴロツキを叩き潰してミンチにして煮たらどれだけ気持ちいいか。

今回は、ハイルドギースとしてではなく、

ボウストリートランナーとしての仕事だ。

こんなゴロツキに負けるとは思わないし、逃げられるだろう。

だか、殺すのが目的ではない、背後関係を探るのだ。

気を日締めなおしていた。



暗黒のシナゴークの奥から声がした。

慇懃で丁寧ではあるが、そこには底知れぬ、

何か粘つくようなものがあった。



「私はハイヤーハムシェル、ドイツ出身の田舎者でございます。

ここに住むものは皆 1日に1シリングも稼いでおりません。

塵を拾い、物を乞い、そしてやっとこの新たなる革命期

得ることが出来た、自由や平和なのです。どうか奪わないで頂きたい。



「この建物は石造り、お気づきでしょうが、オスマンから

燃える水を運んでまいりました。」



「何をはったりを。」


「おかしら本当ですぜ、石炭に似た油のにおいがします。」



「ここに5万カラットの宝石があります。」

「襲うのを辞めていただけるのであれば、差し上げましょう。」



そういうと、黒い服の男が麻の袋を持ってきていた。



「ふざっけるなぁ、くだらん、くだらん。

何が人の命は大切だ。だ。

たかが5シリング盗めば死刑だ。借金で死ぬやつもいる。

借金は昼飯代だぞ。それならば、人を殺してでも

殺して奪ってでも、我が糧を得る。家族のために

仲間のために、俺の祖先は誇り高きヴァイキングだ。

ドイツ人の偽の王などにかしずくことなどない。

お前らの言うゴイムだよ。だからゴイムらしくするさ。」



「お前と俺が殺しあって、勝てたら、その条件を飲んでやろう。」



「そうですか、私は戦闘は経験がありませんし、

まだ死にたくないので、こうします。」

ハイヤーハムシェルはあらかじめ用意していた

燃える水に火を放ちミグェから外の井戸へ抜けていった。



深夜、赤々と燃えるシナゴークを包む炎は

月明かりに照らされ10マイル先からも見えたという。

この後、この事件で焼け残った後は、ゲットー襲撃や

第二次大戦の空爆など、様々な推測や尾ひれをつけて

現在も残っている。

第1章 産業創世記 監獄の住人 完

第2章に続く。

Industry Genesis 1 Citizen of Prison fin to be continued 2
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