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第2章 黒い宝石1-12
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しおりを挟むフワッ、一陣の風が吹き抜ける。
上空を飛ぶハゲタカの一羽が落ちてきた。
コムラ・オラバは弓の名手であった。
コムラは弓を射ることはとても好きだ。
だが、生き物を遊びで殺す事はいけない。
ハゲタカは見事に羽を射抜かれ、バタバタともがいていた。
「ほら、よしよし、すまないな。」
そういうとコムラは矢をはずし
ハゲタカを逃がしてやった。
我々はオラバ族という、内陸で農業をしながら暮らしていた。
ただ、コムラには酋長として生まれた以上、
趣味のみに生きるわけにはいかない。
海に近いところに住んでいたものたちは、
コムラの10代以上前の世代から
金や宝石と交換し、部族同士が戦争で勝つために武器を
競うように集めていた。
「白い人」はそのうち金や宝石を掘り出すために
彼らを武器で脅して道具として使い、危険な山の坑道で働かせた。
最近では、土地も名誉も権力も白い人にすべて奪われ、
彼らの祖国イングランドで、同じようなものを大量に作るようになり
人間自体が売り物として連れて行かれるらしい。
だがコムラにとってはどうでもいい、彼らは人を殺すために武器を買い
殺しあって、奴隷になってしまったのだ。
誰も殺すなと誰も教えなかったのか。
他の部族は、物として売られ、飢えに苦しみ、ずっと働きっぱなしだ。
海沿いに残ったもので部族間の争いが起き、その結果滅んでしまった。
今年5歳になる娘が一人いる。妻はこの子を産むときに亡くなった。
コムラは外部からいろいろなものが入ってくる事はよい事だと思っている。
コムラの部族は、武器など買わずに文字の書かれた質のよい書物を
集めていた。直接、白い人に接触するのは危険なので、家畜と交換に
他の部族を通じて、集めていた。別にコムラのために集めているのではない。
娘のためだ。白い人が彼らより強いのは、彼らより広い世界を知り
多くの知識を持っているからだ。
コムラの遠い祖先に、砂漠を渡り、白い人と戦って帰ってきた者がいた。
ヨーロッパと言うところから来た鉄の塊の戦士がアラブのイスラム戦士と
戦ったらしい。鉄の戦士は凶悪で残忍、狂っていたと伝えられている。
その兵士たちは、白い人であった。住民を皆殺しにして回ったらしい。
初代オラバはエルサレムから帰った英雄であり、
その足の速さで伝令を務め、勝利に貢献し、鉄の戦士を弓で多く殺した。
そして、遠い国で姓を与えられ、コムラは意味も知らず
名乗っている。その初代オラバは、白い人、鉄の戦士が来たら
決してかかわるなと、一族の掟に定め、オラバ族は白い人がやってきたとき
掟に従い土地を捨て、内陸の荒野に移り住んだのだ。
初代オラバは正しい預言者だった。
初代オラバはこのあたり一帯を治める 王であった。
だが旅に出る事を選び、もどってきたときは、異邦人として扱われた。
コムラの一族には秘密の名前がある。初代オラバは叙勲を受けるとき
イスラムの酋長からサウルと言う姓を賜った。
娘、ウバには彼らの文字アラビア語でサウルと刺青を入れた。
コムラは娘とともに平穏に日常を送っていた。娘は5歳だが
英語を学びつつある。会話を学ばせるために
白い人の愛妾となっていたが捨てられた女を一族に入れた。
初代オラバの予言は正しいだろう、かかわってはいけない、
だが向こうからかかわってきたらどうするか。
将来オラバ族を率いるであろう娘ウバには武力は期待できない。
だから、多くの知識と聡明な頭脳を与えたかった。
もはや、この大陸のどこに逃げても、白い人、虐殺の狂人はやって来る
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