産業創世記 ギデオン(休載中)

初書 ミタ

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第2章 黒い宝石1-12

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産業革命期の真っ只中、細々と炭鉱で働くものたち、

そして、細々とそれを監視するものたち。

前者はおおむね流浪罪のベイグランシーと

アフリカから連れてこられた道具かであった。

後者はゲットーから通う貧困ユダヤ人。

1日に3シリングで雇われていた。




ベイグランシーとユダヤ人は仲が悪く、彼らの多くは

ユダヤ人はブルジョアの手先と誹謗し、都市資本家の豚と呼んでいた。

道具達の扱いはひどく、鞭で打たれる、耳を削がれる、などは日常

死を持ってあてがわれる罰が多かった。最も炭鉱で生き埋めになり

苦しみながら死ぬよりは幾分かましであったが。



その日は珍しく、黒い道具の一人が脱走を試み

見せしめのために、ユダヤ人の手で縛り首になっていた。

この施設の予算は非常に脆弱で、脱走を阻むのは

低いフェンスと寝ぼけたユダヤ人の見張り程度だ。

しかし、抜け出しても外で生活ができるわけでもなく、

流浪罪で連れ戻され、殺されるだけだ。

なぜなら、道具達は真っ黒ですぐに見分けがつくからだ。

だから、道具達も頭がおかしくでもならない限り、従順だった。




実際に白人のベイグランシーも連れてはこられるのだが

すぐに逃げ出すので、1週間もいるものはいない。

彼らは、ユダヤ人が黒人を道具として迫害していると言う

プロパガンダ政策の一環として、実行されている。



往々にして言われる事だが、なぜ近代のように

反乱を起こさないのかである。彼らの多くは諦めていた。

故郷はあまりに遠すぎた。この世にもっとましな場所が

あるとは思えなかった。



白人は言うのだ。農村部で飢えに苦しみ、5シリングで死ぬ。

監獄船の糞尿と奴隷船の黒い血、そのどこに違いがあるのかと。

帰るところなど結局のところどこにも無いのだ。

この世に楽園など無い、死を超越できるものこそ

真の幸福である。それが大方の道具の一致であった。



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