産業創世記 ギデオン(休載中)

初書 ミタ

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第2章 黒い宝石1-12

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大西洋上の大海原を走るのは、ゴールデンハインド号、

船長の名はアン・ボニー。読者は思うだろう、偽物だと。

そう偽物と偽者だ。そのカリブの海賊アン・ボニーの肌は真っ黒だった。黒人だ。

嘘だと思うだろう、だが事実だ。カリブの海賊の3割強は黒人の乗組員。

当然、海賊船の船長もいる。むろん女性は珍しいが。

年齢は30半ば、身の丈は8フィート ボディービルダーのような体つきだ。

顔には大きな傷と白い刺青。あまり美人ではない。



「野郎ども、最近は 金より乗り組み人が不足している。

このままでは船が動かんぞ。」

アンボニーは大きな銅鑼声を張り上げ

野郎どもを叱咤した。



海賊船といっても、金銀財宝を乗せ、強固な武装の護衛のいる

大型船を襲うなど無謀、そもそも船員が足りて無いので、

船を奪っても動かせない。そんな折見張りが、大声を張り上げた

「漂流船だー。」


漂流していると言うことは、向こうも船員が足りてない

何を乗せているかは知らないし、興味も無い。

だが、向こうもこちらを殺せば、船を動かせない。

悪いようにはならないだろう。

「よっしゃー、急いであの船につけろ。いそげー。」



この船は全乗組員が黒人。長期間奴隷として船を動かして、

生き残ってきた、手練だ。アンボニーはマルコムXも真っ青な

白人が大嫌いな人種だ。白人がいれば殺すつもりだった。


アンボニーは、両親を殺され、村を焼かれ、若い者だけが

奴隷船に乗せられた。船の底に全員が座れるだけのスペースもなく

次々に死んでいった。幸運か不運か、そのうちに伝染病が発生し、

船員にまで被害が出たため、生きたまま、海に捨てられたのだ。



海を漂う塵にしか見えない彼らを幸運が救った。

旧型のキャラックが通りかかったのだ。

それが先代の船長、ラッカムだ。読者は思うだろう、偽者だ、しかも黒人だ。

その通りだ。年を取ったので、彼は彼女に船長を任せ、船の中で隠居している。



ゴールデンハインド号はゆっくりと、漂流する船に接舷した。

アンボニーは船の甲板を見渡すといった、いつもの通りにしな。

そういうと、アンボニーは言った。



「危害は加えないから、全員甲板に並びな。どうせ動かせないんだろ。

出てこないやつは敵とみなすから、殺すよ。」


全員が出てくると、銃声が6発した。それは白人の乗組員全員の


眉間を捉えていた。即死だ。残ったのは1人だけだ。



「助けてください。敵意はありません。降伏します。」



そう流暢な英国英語で話しかけてきたのは10歳に満たない少女だ。


しかもネイティブ並みの発音。落ち着いている。度胸もありそうだ。



「なんだいあんたは。」


本人はそれほど自覚は無いが、潮風のせいでガラガラの

大きな銅鑼声を張り上げて、アンボニーはその少女を見た。

慰み者にでもなってたのか。



「私は、オラバ族の元酋長ウバと申します。提督殿の御慈悲にすがり

何でもいたしますので、御助命をお願いいたします。

我々の船には300人分の金塊がございます。そちらも差し上げますので

お願いいたします。」



金塊300人分。

おかしな表現にアンボニーはすぐには理解できなかった。

だから詳しく説明するように言うと、ウバは答えた。

船に乗るときウバ以外の黒人全員が金塊を食べさせられ、英国へ

連れて行かれるところだったと。

「はぁ、乗組員の補給は無理そうだね。分かった乗りな。」

そういうと、乗組員に黒人の死体を解体して金塊を取り出すように命じた。

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