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11.一難去ってまた一難
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琴子は風早の扇で花凜を吹き飛ばしどうにか向こう岸まで運べた事に安堵した。
それと同時に大きな鳥の魔物の風を切る風圧と琴子が起こした突風で吊り橋が完全に壊れた。
琴子は宙に投げ出され真っ逆さまに落ちていく。
幸い下は川だ。運が良ければ生き残れるであろう。
そう思った琴子は覚悟を決めた。
「はっ!!」
握りしめていた風早の扇で風を起こし川に叩きつけられる衝撃を和らげた。
ガーディアンに入隊してから数ヶ月。
自分の能力もだんだん分かってきた。
琴子の能力は言霊。
物体を具現化する事に長けている。
弱い風や少量の水などを具現化させることは出来るが、戦いの場では発生する量や力が弱すぎてあまり役に立たない事も分かった。
ただ風早の扇のように武器から発せられる力は強力である。琴子は武器の具現化が得意なようだった。
それから一生懸命練習してとりあえず風早の扇を具現化し、使うところまでできるようになったのだ。
「(風早の扇が使えて本当に良かった。こんなに役立つなんて思ってなかった)」
猛練習して良かったと心の底から思った琴子であった。
川の流れは思ったよりも緩やかで簡単に岸に上がる事が出来た。
「寒い…」
ぶるりと身体を震わせ、琴子は燃やせそうなものを急いで集めた。
幸いよく燃える木がたくさん生えていたため燃やせるものは簡単に集められた。なんて運がよいのだろうか…。
「《燃えろ》」
琴子がそう言うと集めた燃やせそうな物たちが燃え始めた。
「ふぅ~。一安心…」
体温を奪ってしまうので取り敢えず全部脱いだ。
「早く乾かないかな…」
全裸は心もとない。
スースーするし、本当に落ち着かない。
「早く…みんなを探さなきゃ…」
琴子のピアス型の端末は壊れてしまったのか反応しない。結局、服が乾くまで1晩そこで過ごしたのだった。
一方、要と花凜は野営していた。
数時間前に大きな魔物と戦った時の事を花凜は思い出し表情が曇る。
「…………」
魔物が現れた時、花凜は怖くて怖くて動けなかった。
自分の能力を最大限に活かせれば吊り橋を少しの間補強する事も出来たかもしれないのに、恐怖で体が固まって動けなかった。しかもそのせいで琴子は、自分を助け、橋ごと崖下の川に落ちてしまったのだ。
彼女は勝手に張り合って素っ気なくする自分を助けてくれたのだ。
「(張り合うなら…それなりに動きなさいよ…私っ!!)」
ぎゅっと拳を握りしめ、悔しさと後悔と琴子の心配で心の中がぐちゃぐちゃだった。
あの大きな鳥の魔物も、自分はほとんど何も出来ずに副隊長、要が倒したのだ。
不甲斐ない自分に余計腹が立つ花凜だった。
「元気出せ…」
そんな花凜に要はホットココアを渡した。
「…ありがとうございます。」
「琴子はきっと大丈夫さ。」
そう言いながら要は左腕につけてる腕輪型の端末で自分と花凜と琴子のバイタルを見ている。
任務前に端末をリンクして誰かが遭難しても生死が分かるようになっているのだ。
「よし、生きてるな。なぜか通信はできねぇが…」
「花の魔物のせいですか?」
「なぜそう思う?」
「変な花粉みたいなものを撒き散らしてるので…」
「そうかもしれないな…日が登ったら琴子を探す。今日はもう休みな。見張りは俺がする」
そうして夜が明け、2人は琴子を探し始めた。
琴子は今大きな黄色い熊…ハニーベアーに追いかけられている。あの蜂蜜大好きな赤い服きた可愛い熊では決して無い。鋭い牙を向き、涎を垂らしながら琴子を食べようと追いかけてくる。
「ハニーベアーって蜂蜜しか食べないんじゃないの??〇ーさんみたいに!!!」
そんな事をボヤきながらもとにかく琴子は走る。
ここで食べられるわけには行かない。
「あぁぁあ!!も、限界っ…!」
「伏せて」
凛とした女の人の声が響いて、琴子は地面に伏せる。
すると一閃の矢が飛んできて琴子を追いかけていたハニーベアーの目に刺さる。
「グォォォ!!!」
痛さにハニーベアーは顔を歪め地面でのたうち回る。
「これでお終い」
その言葉と同時にもう一本、さっきよりも大きな炎を帯びた矢が飛んできてハニーベアに当たった瞬間、ハニーベアーを炎が包み込んだ。
こうしてハニーベアーは丸焦げになったのだった。
地面に平伏す琴子に助けてくれた女の人は手を出す。
見ると自分と同じ位の歳の赤いショートボブの女の人が立っていた。
「私は琴子。助けてくれてありがとう」
「私は紅葉。その服は…ガーディアンかな?」
「うん。この森の調査をしているの。紅葉さんはどうしてこの森に?」
「私はランカーなの。ここの地元の人達からの依頼で…森の元気がないからその調査に。」
ランカーとはランカーギルドを通して犯罪以外の依頼ならなんでも受ける、何でも屋みたいなものだ。
どうやら目的は一緒らしい。
「調査しているうちに連れともはぐれてしまったの…」
紅葉はやれやれと困った様にため息をついた。
「私も魔物に襲われて仲間とはぐれてしまったの…一緒に探しましょう」
琴子と紅葉は目的も同じことから一緒に行動する事にした。
一方、要と花凜は…花凜が糸で索敵し琴子の位置を確認していた。
「もう少しです!副隊長!!」
どこか焦り気味の花凜に要は不思議そうな顔をする。
「そんなに急がなくても」
「ダメです!急がないとっ!琴子ちゃんの進んでいる先には…花の魔物がいますっ!!!」
焦る花凜の言葉に要の顔色が変わった。
「それは…急がないとな」
2人は琴子と合流するべく急ぐのだった。
それと同時に大きな鳥の魔物の風を切る風圧と琴子が起こした突風で吊り橋が完全に壊れた。
琴子は宙に投げ出され真っ逆さまに落ちていく。
幸い下は川だ。運が良ければ生き残れるであろう。
そう思った琴子は覚悟を決めた。
「はっ!!」
握りしめていた風早の扇で風を起こし川に叩きつけられる衝撃を和らげた。
ガーディアンに入隊してから数ヶ月。
自分の能力もだんだん分かってきた。
琴子の能力は言霊。
物体を具現化する事に長けている。
弱い風や少量の水などを具現化させることは出来るが、戦いの場では発生する量や力が弱すぎてあまり役に立たない事も分かった。
ただ風早の扇のように武器から発せられる力は強力である。琴子は武器の具現化が得意なようだった。
それから一生懸命練習してとりあえず風早の扇を具現化し、使うところまでできるようになったのだ。
「(風早の扇が使えて本当に良かった。こんなに役立つなんて思ってなかった)」
猛練習して良かったと心の底から思った琴子であった。
川の流れは思ったよりも緩やかで簡単に岸に上がる事が出来た。
「寒い…」
ぶるりと身体を震わせ、琴子は燃やせそうなものを急いで集めた。
幸いよく燃える木がたくさん生えていたため燃やせるものは簡単に集められた。なんて運がよいのだろうか…。
「《燃えろ》」
琴子がそう言うと集めた燃やせそうな物たちが燃え始めた。
「ふぅ~。一安心…」
体温を奪ってしまうので取り敢えず全部脱いだ。
「早く乾かないかな…」
全裸は心もとない。
スースーするし、本当に落ち着かない。
「早く…みんなを探さなきゃ…」
琴子のピアス型の端末は壊れてしまったのか反応しない。結局、服が乾くまで1晩そこで過ごしたのだった。
一方、要と花凜は野営していた。
数時間前に大きな魔物と戦った時の事を花凜は思い出し表情が曇る。
「…………」
魔物が現れた時、花凜は怖くて怖くて動けなかった。
自分の能力を最大限に活かせれば吊り橋を少しの間補強する事も出来たかもしれないのに、恐怖で体が固まって動けなかった。しかもそのせいで琴子は、自分を助け、橋ごと崖下の川に落ちてしまったのだ。
彼女は勝手に張り合って素っ気なくする自分を助けてくれたのだ。
「(張り合うなら…それなりに動きなさいよ…私っ!!)」
ぎゅっと拳を握りしめ、悔しさと後悔と琴子の心配で心の中がぐちゃぐちゃだった。
あの大きな鳥の魔物も、自分はほとんど何も出来ずに副隊長、要が倒したのだ。
不甲斐ない自分に余計腹が立つ花凜だった。
「元気出せ…」
そんな花凜に要はホットココアを渡した。
「…ありがとうございます。」
「琴子はきっと大丈夫さ。」
そう言いながら要は左腕につけてる腕輪型の端末で自分と花凜と琴子のバイタルを見ている。
任務前に端末をリンクして誰かが遭難しても生死が分かるようになっているのだ。
「よし、生きてるな。なぜか通信はできねぇが…」
「花の魔物のせいですか?」
「なぜそう思う?」
「変な花粉みたいなものを撒き散らしてるので…」
「そうかもしれないな…日が登ったら琴子を探す。今日はもう休みな。見張りは俺がする」
そうして夜が明け、2人は琴子を探し始めた。
琴子は今大きな黄色い熊…ハニーベアーに追いかけられている。あの蜂蜜大好きな赤い服きた可愛い熊では決して無い。鋭い牙を向き、涎を垂らしながら琴子を食べようと追いかけてくる。
「ハニーベアーって蜂蜜しか食べないんじゃないの??〇ーさんみたいに!!!」
そんな事をボヤきながらもとにかく琴子は走る。
ここで食べられるわけには行かない。
「あぁぁあ!!も、限界っ…!」
「伏せて」
凛とした女の人の声が響いて、琴子は地面に伏せる。
すると一閃の矢が飛んできて琴子を追いかけていたハニーベアーの目に刺さる。
「グォォォ!!!」
痛さにハニーベアーは顔を歪め地面でのたうち回る。
「これでお終い」
その言葉と同時にもう一本、さっきよりも大きな炎を帯びた矢が飛んできてハニーベアに当たった瞬間、ハニーベアーを炎が包み込んだ。
こうしてハニーベアーは丸焦げになったのだった。
地面に平伏す琴子に助けてくれた女の人は手を出す。
見ると自分と同じ位の歳の赤いショートボブの女の人が立っていた。
「私は琴子。助けてくれてありがとう」
「私は紅葉。その服は…ガーディアンかな?」
「うん。この森の調査をしているの。紅葉さんはどうしてこの森に?」
「私はランカーなの。ここの地元の人達からの依頼で…森の元気がないからその調査に。」
ランカーとはランカーギルドを通して犯罪以外の依頼ならなんでも受ける、何でも屋みたいなものだ。
どうやら目的は一緒らしい。
「調査しているうちに連れともはぐれてしまったの…」
紅葉はやれやれと困った様にため息をついた。
「私も魔物に襲われて仲間とはぐれてしまったの…一緒に探しましょう」
琴子と紅葉は目的も同じことから一緒に行動する事にした。
一方、要と花凜は…花凜が糸で索敵し琴子の位置を確認していた。
「もう少しです!副隊長!!」
どこか焦り気味の花凜に要は不思議そうな顔をする。
「そんなに急がなくても」
「ダメです!急がないとっ!琴子ちゃんの進んでいる先には…花の魔物がいますっ!!!」
焦る花凜の言葉に要の顔色が変わった。
「それは…急がないとな」
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