BLACK DiVA

宵衣子

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27.show time!!

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「(見られてるの私じゃないけど、なんか緊張する…)」

琴子はそう思いながらも皇帝の人を惹きつける様な存在感に目が離せなかった。
玲音はその視線に気付くと丁寧にお辞儀をした。琴子もそれに合わせてお辞儀をする。
何人かの人達は皇帝にあいさつをしに行ったりしていた。

「俺達も行こうか…あいさつに。」

一応な…と言って玲音が琴子を連れて皇帝の元へと向かう。

「(緊張する…!去年は歌を歌って次の予定が詰まってたからすぐ帰ったし…こんなしっかりあいさつなんてしなかったから…)」

ていうか、皇帝に見つめられるって本当に隊長は何者?と琴子は思うのだった。

「玲音、私の命の恩人。」

「皇帝陛下…ご無沙汰しております。」

「元気そうで何より。して、そちらの女性は?」

皇帝はそう言うと琴子を見た。

「彼女は僕の部下です。」

琴子は深々と丁寧に頭を下げる。

「朝日奈 琴子です。」

「おー!そうか!!君が珍しく女性を連れているからちょっと気になってな…まぁ、楽しく過ごしてくれ」

「はい…ありがとうございます。」

その時、皇帝の隣に控えていた第3皇子が琴子に話しかけてくる。

「へぇ~琴子ちゃんって言うんだ。」

彼は琴子の髪を手で持つとキスをした。

「お綺麗だね…とっても」

そう言いながら彼は琴子を熱っぽく見つめる。

「っ!!」

第3皇子は皇后ゆずりの蜂蜜色の髪にルビー色の瞳、端正な顔をしていた。

「ありがとうございます。勿体ないお言葉です。」

琴子は突然の社交辞令に黒蝶だった時の営業スマイルを浮かべる。
すると突然、玲音にグイッと引っ張られた。

「殿下もお久しぶりです。相変わらず手が早い。」

玲音はニコニコ黒い笑みを浮かべている。

「やぁ、玲音。久しぶり。手が早いってなんの事かなぁ~?綺麗なものに綺麗と言って何が悪いの?」

これまたこちらも黒い笑みを浮かべている。

「(何んなの?この状況は…???)」

琴子はそんな2人の不穏な空気に内心オロオロしていた。
そもそも何でそんなに仲良さげなの??と疑問に思いながら玲音見るのだった。

「本当の事を言っただけですよ…それでは僕達はこれで失礼します」

玲音は一礼すると琴子の腰に手を添えてその場を離れた。
琴子が玲音にどうしてそんなに、仲良さげなんですか?と聞くと「殿下と俺、歳が一緒だったから同じ学校に護衛として通ってたんだよ」と答えた。どうやら玲音と皇子は学友であり、主従の関係だったらしい。

琴子と玲音の背中を見ながら第3皇子は楽しそうに微笑むと、

「へぇ~、なるほどねぇ~」

と呟いたのだった。
それから玲音と琴子は少し涼みにバルコニーに出た。風が優しく琴子のほほを撫でる。

「あの…隊長、皇帝陛下の命の恩人なんですか?」

「皇帝陛下が大袈裟なんだよ…俺はナイトとしての責務を全うしただけ。」

それは今から4年ほど前のこと。
玲音がまだナイトだった時。
皇帝陛下の暗殺を企てるものと、その組織によるナイト狩りに非常に悩まされていた。
ナイトの戦力を削いで、手薄になったところで皇帝陛下を殺そうと考えていたのだろう。
その組織のもの達は手練で何十人ものナイトが餌食となった。

「相手は手練だった…まるでこっちの動きを把握してるみたいだった…ま、犯人に元ナイトがいたからこちら側の動きなんて丸見えだったんだけどな。」

そうして混乱に乗じてまんまと暗殺者は皇居へ侵入。間一髪でその動きに気づいた玲音が皇帝陛下の命を守った。この事件の解決には玲音の貢献によるところが大きかった。

「当たり前の事をしただけなのに…」

毎回、エウス際のパーティに誘われるんだよ…と玲音は困ったように呟いた。どうやら本人はあまりパーティに参加したくないらしい。

「だいたい一般人の俺がこんな大層なパーティなんて場違いだよな~」

「そんな事はありません」

ふと第三者の声がしてきて、声がするほうを見るとなんと、皇后様が立っていた。
玲音と琴子は慌ててお辞儀する。

「あの時…次々に削がれていく戦力に皆、戦意喪失していた。そこで貴方か諦めずに立ち向かってくれたからこそ、私の大切な人が死なずに済んだんだもの。」

「そんな…大袈裟ですよ。ナイトとして当たり前の事をしたまでです」

「ふふ…。貴方だけだったわ。あの時、諦めなかったのは。本当にありがとう」

できればナイトを辞めないで皇帝専属のナイトになって欲しかったわ…と皇后は言った。
そんな大層な事、恐れ多いです。と玲音は返していた。それから少し談笑して皇后は戻って行った。

「隊長、ナイト辞めなかったら出世街道まっしぐらだったんじゃないですか??」

「うーん…出世にはそんなに興味無いしな~、俺は俺がやるべき事をやるだけだ…」

「やるべき事…ですか?」

「2年前の魔族との戦い…その黒幕を捕まえる事。ナイトだと主に皇族の護衛とかで自由がきかないから…」

それから少しだけ涼んで2人はまた会場に戻った。

…………

エウス際の雑踏の中を一人の男が鼻歌交じりに歩いていく。異様な雰囲気を醸し出す男だがこの雑踏だ、誰も気づくものはいない。

「さぁ…show time!!」

ニヤリと男が微笑んだ瞬間、どこからとも無く魔物が現れる。途端に上がる悲鳴。

「魔物!?」

「魔物だー!!」

「逃げろ!!!」

突如、現れた複数の魔物たち。それは犬みたいな形だったり、鴉みたいな形だったり…多種多様だった。そして暴れまくり人々を襲う。
人々は逃げ惑う。エウス際は一気に混乱に陥った。
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