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34.囚われの停滞者
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ここはガーディアン本部、第1部隊のフロア。
玲音はタブレットで2年前の魔族との戦いの資料を見直していた。
たくさんの魔人と魔物がこのエウスに攻め込んできてた。その中には悪魔の姿やキメラの姿もあった。悪魔は誰かが契約して召喚したに決まっている。魔のつくものとの契約は基本的に禁止されている。
その首謀者は未だ捕えられず、姿すら見た者はいない…。
そして、悪魔やキメラに関しては、そのことを研究していた研究者が怪しいが、その研究者は魔族との戦いが起きる3年ほど前に処刑されている。
「何度見ても胸糞悪い資料だな」
池田和人。それが処刑された者の名前だ。
歳は65歳、家族はいなく独身、一人暮らし。
キメラをつくるために人体実験を繰り返した非道な奴だ。
「その3年後に魔族との戦いが起こった…そして今回のキメラ…誰かがその研究を受け継いだのか?」
だとしたら一体誰が?
玲音は考えが行き詰まりうーんと頭を唸った。
「池田和人の住んでいた街に行ってみるか…」
そう思い立った玲音は池田和人の家があった街に向かうのだった。
「ここが…池田和人が住んでいた家か…」
玲音は池田和人が住んでいた家の前にいる。
だいぶ年期が入っているようだが、普通の一軒家だ。玄関や家の周りを見るに今でも誰かが住んでいそうだ。
「とりあえず…訪ねてみるか」
玲音はインターホンを押した。
「どちら様でしょうか?」
インターホンから女性の声がしてくる。
「ガーディアンの獅子王玲音と申します。少しお話を聞かせていただけないでしょうか?」
「………どうぞ」
特に何も言うことなく家に住んでいる女性は玲音を招き入れた。彼女は池田和人の関係者なのか、それとも全く関係ない人なのか…。
リビングに通されると椅子に座るように促され、お茶を出してくれた。
その人はショートカットヘアで赤い瞳の20代後半くらいの女性だった。
「ありがとうございます。この家に住んでいた人について調査をしていまして…ここにはお一人で住んでいるんですか?」
「ええ。安く貸し出しをしていたので、借りているんです」
「いつから住んでいるんですか?」
「3年ほど前からです」
「3年前から……池田和人と言う人物をご存知ですか?」
その名前を出した時、一瞬女性は身体を強ばらせた。しかしそれは一瞬ですぐに普通に戻る。
「…いいえ」
玲音は女性の身体が強ばった事を見逃さなかった。
「実は…彼は非道な研究を繰り返していましてね…5年前に処刑されたのですが…誰かがその研究を引き継いでいる可能性が出てきまして…引き継いだ人物をご存知ありませんか?」
瞬間、女性の雰囲気がピリ着いたものに変わる。
「…知りません。」
「そうですか」
玲音はお茶を啜る。
「もしかして、貴方は白金の停滞者様ですか?」
女性の突然の質問に玲音は驚きながらも
「はい。そう呼ばれていた事もありました」
そう返した。
「やっぱり!白金の髪に、綺麗なオッドアイの瞳……端正なお顔…本当に素敵なお方ですね」
うっとりと女性は玲音を見つめる。
その瞬間、玲音はパタリと倒れる。
床に玲音が飲んでいたコップと共にお茶が零れ、それを見ていた女の口角が怪しげに上がる。
「ふふ…これであの方も喜んでくれるでしょう」
完全に意識が無くなった玲音を女は満足気に微笑みながら見ていた。
………………
ガーディアン本部第1フロアは、ざわついていた。
「隊長から緊急信号が送られてきた」
そう言ったのは那由汰だ。いつも冷静沈着の彼の顔には少しだけ焦りの色が伺える。
「隊長は単独調査で1人で聞きこみ調査に出ていました。場所は…池田和人の住んでいた街…ウエストタウンです。」
と彩芽が玲音の足取りを報告する。
「今日は重人の護衛任務が入っているから動ける人員は限られるわ…どうするの?」
と色気ムンムンのお姉様、芽愛が言う。
琴子は重人護衛任務に組み込まれていなかったため今日は自由が効く。
もちろん1人でも助けに行くつもりだ。
「私、行きます!」
「どんな状況か分からない中、1人では行かせられないわ。せめて2人で行ってもらわないと…」
「なら俺が行こう」
第三者の声に、声がしてきた方を向くとそこには、水色の髪を後ろに結った男性、ナイトの伊咲凪がいた。ここにいる一同、何でこんな所にナイトがいるの?状態である。
「ちょっと玲音に用事があって来たら、なにやら不穏な話し声が聞こえてきてな…俺の大事な友人だ。この後俺は非番なんでな…」
という訳で、琴子と伊咲凪は急いでウエストタウンに向かった。そうして2人は池田和人の家の前にいる。
「ここに隊長は来ていたみたいです。隊長はここにいるはずです。」
隊長から送られてきた信号のGPSがここを示している。そしてインターホンを押した。
……………。
しかし誰も出ない。
「出ませんね…」
すると伊咲凪がドアノブに手をかけた。
緊張した面持ちの2人は見つめ合うと頷き合う。
「開けるぞ」
伊咲凪はドアを開けた。
中は薄暗く、人気を感じられない。
中へと続いている廊下が不気味に感じられた。
伊咲凪を先頭に2人は警戒しながら進んでいく。
リビングに出ると、地面に零れているお茶があった。絨毯に零れたお茶はまだ乾いていない。
「これは…やっぱり隊長はここに居たんですね」
「…ああ。」
それから2人は家の中を探索する。
「隊長!!どこにいるんですかっ!!!」
琴子は声を出して玲音を呼ぶ。しかし返事はかえってこない。心配で心配で堪らない。こうしてる間にも玲音に危険が迫っているかもしれないのだ。命だって危ういかもしれない。
「どこに…いるのっ……」
不安に押しつぶされそうだった。
俯く琴子の頭をいつの間にかやってきた伊咲凪が撫でる。
「大丈夫だ。あいつはそう簡単に死んだりしない」
そう言う伊咲凪の言葉からは自信が感じられた。
よっぽど玲音を信頼しているのだろう。
ふと部屋に飾っている写真に目がつく。
優しそうに笑う中年の男性と一緒に写っているのは嬉しそうに笑う少年だった。
琴子はその少年を見た事があるような気もしなくも無いが…どこで見たのか思い出せない。
「これは…池田和人だな。」
伊咲凪はその写真を見て中年の男性の事を池田和人と呼んだ。
「知り合いですか??」
「いや…池田和人は人体実験を繰り返した極悪非道な者だよ。5年くらい前に処刑された。」
「そうなんですか………この少年は…?」
「分からない」
また2人は家の中を探索し始めた。
玲音はタブレットで2年前の魔族との戦いの資料を見直していた。
たくさんの魔人と魔物がこのエウスに攻め込んできてた。その中には悪魔の姿やキメラの姿もあった。悪魔は誰かが契約して召喚したに決まっている。魔のつくものとの契約は基本的に禁止されている。
その首謀者は未だ捕えられず、姿すら見た者はいない…。
そして、悪魔やキメラに関しては、そのことを研究していた研究者が怪しいが、その研究者は魔族との戦いが起きる3年ほど前に処刑されている。
「何度見ても胸糞悪い資料だな」
池田和人。それが処刑された者の名前だ。
歳は65歳、家族はいなく独身、一人暮らし。
キメラをつくるために人体実験を繰り返した非道な奴だ。
「その3年後に魔族との戦いが起こった…そして今回のキメラ…誰かがその研究を受け継いだのか?」
だとしたら一体誰が?
玲音は考えが行き詰まりうーんと頭を唸った。
「池田和人の住んでいた街に行ってみるか…」
そう思い立った玲音は池田和人の家があった街に向かうのだった。
「ここが…池田和人が住んでいた家か…」
玲音は池田和人が住んでいた家の前にいる。
だいぶ年期が入っているようだが、普通の一軒家だ。玄関や家の周りを見るに今でも誰かが住んでいそうだ。
「とりあえず…訪ねてみるか」
玲音はインターホンを押した。
「どちら様でしょうか?」
インターホンから女性の声がしてくる。
「ガーディアンの獅子王玲音と申します。少しお話を聞かせていただけないでしょうか?」
「………どうぞ」
特に何も言うことなく家に住んでいる女性は玲音を招き入れた。彼女は池田和人の関係者なのか、それとも全く関係ない人なのか…。
リビングに通されると椅子に座るように促され、お茶を出してくれた。
その人はショートカットヘアで赤い瞳の20代後半くらいの女性だった。
「ありがとうございます。この家に住んでいた人について調査をしていまして…ここにはお一人で住んでいるんですか?」
「ええ。安く貸し出しをしていたので、借りているんです」
「いつから住んでいるんですか?」
「3年ほど前からです」
「3年前から……池田和人と言う人物をご存知ですか?」
その名前を出した時、一瞬女性は身体を強ばらせた。しかしそれは一瞬ですぐに普通に戻る。
「…いいえ」
玲音は女性の身体が強ばった事を見逃さなかった。
「実は…彼は非道な研究を繰り返していましてね…5年前に処刑されたのですが…誰かがその研究を引き継いでいる可能性が出てきまして…引き継いだ人物をご存知ありませんか?」
瞬間、女性の雰囲気がピリ着いたものに変わる。
「…知りません。」
「そうですか」
玲音はお茶を啜る。
「もしかして、貴方は白金の停滞者様ですか?」
女性の突然の質問に玲音は驚きながらも
「はい。そう呼ばれていた事もありました」
そう返した。
「やっぱり!白金の髪に、綺麗なオッドアイの瞳……端正なお顔…本当に素敵なお方ですね」
うっとりと女性は玲音を見つめる。
その瞬間、玲音はパタリと倒れる。
床に玲音が飲んでいたコップと共にお茶が零れ、それを見ていた女の口角が怪しげに上がる。
「ふふ…これであの方も喜んでくれるでしょう」
完全に意識が無くなった玲音を女は満足気に微笑みながら見ていた。
………………
ガーディアン本部第1フロアは、ざわついていた。
「隊長から緊急信号が送られてきた」
そう言ったのは那由汰だ。いつも冷静沈着の彼の顔には少しだけ焦りの色が伺える。
「隊長は単独調査で1人で聞きこみ調査に出ていました。場所は…池田和人の住んでいた街…ウエストタウンです。」
と彩芽が玲音の足取りを報告する。
「今日は重人の護衛任務が入っているから動ける人員は限られるわ…どうするの?」
と色気ムンムンのお姉様、芽愛が言う。
琴子は重人護衛任務に組み込まれていなかったため今日は自由が効く。
もちろん1人でも助けに行くつもりだ。
「私、行きます!」
「どんな状況か分からない中、1人では行かせられないわ。せめて2人で行ってもらわないと…」
「なら俺が行こう」
第三者の声に、声がしてきた方を向くとそこには、水色の髪を後ろに結った男性、ナイトの伊咲凪がいた。ここにいる一同、何でこんな所にナイトがいるの?状態である。
「ちょっと玲音に用事があって来たら、なにやら不穏な話し声が聞こえてきてな…俺の大事な友人だ。この後俺は非番なんでな…」
という訳で、琴子と伊咲凪は急いでウエストタウンに向かった。そうして2人は池田和人の家の前にいる。
「ここに隊長は来ていたみたいです。隊長はここにいるはずです。」
隊長から送られてきた信号のGPSがここを示している。そしてインターホンを押した。
……………。
しかし誰も出ない。
「出ませんね…」
すると伊咲凪がドアノブに手をかけた。
緊張した面持ちの2人は見つめ合うと頷き合う。
「開けるぞ」
伊咲凪はドアを開けた。
中は薄暗く、人気を感じられない。
中へと続いている廊下が不気味に感じられた。
伊咲凪を先頭に2人は警戒しながら進んでいく。
リビングに出ると、地面に零れているお茶があった。絨毯に零れたお茶はまだ乾いていない。
「これは…やっぱり隊長はここに居たんですね」
「…ああ。」
それから2人は家の中を探索する。
「隊長!!どこにいるんですかっ!!!」
琴子は声を出して玲音を呼ぶ。しかし返事はかえってこない。心配で心配で堪らない。こうしてる間にも玲音に危険が迫っているかもしれないのだ。命だって危ういかもしれない。
「どこに…いるのっ……」
不安に押しつぶされそうだった。
俯く琴子の頭をいつの間にかやってきた伊咲凪が撫でる。
「大丈夫だ。あいつはそう簡単に死んだりしない」
そう言う伊咲凪の言葉からは自信が感じられた。
よっぽど玲音を信頼しているのだろう。
ふと部屋に飾っている写真に目がつく。
優しそうに笑う中年の男性と一緒に写っているのは嬉しそうに笑う少年だった。
琴子はその少年を見た事があるような気もしなくも無いが…どこで見たのか思い出せない。
「これは…池田和人だな。」
伊咲凪はその写真を見て中年の男性の事を池田和人と呼んだ。
「知り合いですか??」
「いや…池田和人は人体実験を繰り返した極悪非道な者だよ。5年くらい前に処刑された。」
「そうなんですか………この少年は…?」
「分からない」
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